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2月4日
 今、巷をさわがせているのは、小沢問題とJAL問題などが代表的な話だと思う。
 そのJAL問題は、第2の国鉄の様相を呈していたのが、今後、良い意味で第2のJRになるかどうか、皆さんも関心のある方は多いと思うのです。
 ところが、このJAL問題、現在は乱脈経営、サービス精神欠如というようなポイントが特に取り上げられているんだけど、実はこの問題を社員の皆さんの努力で乗り越えても、遠くないうちにもっと大きな致命的な問題に直面する事は、なぜか誰も触れていないのです。

 その問題点というのは、日誌をお読みの方が最も関心を持っていらっしゃると思える、車のエコカー化と、実は密接な関わりがあるのです。

 オレが、今更ここで言うまでも無く、今、日本に限らずエコカーにシフトさせるための努力が世界の各メーカーで血みどろの努力が払われているのは皆さんもご存知のとおりです。
 去年から、特に大ブームの「ハイブリッドカー」をはじめ、「プラグインハイブリッド」や「電気自動車」は言うに及ばず、地球が存続するうちにホントに実用化する気なのかと疑いたくなる「水素自動車」「燃料電池車」「HCCI」などまで、挙げればきりが無いバリエーションです。
 これらは、なぜ必死の努力が払われているかというと、つい目先のCO2問題の改善のように思いがちだけど、実際には石油の採掘量が、そろそろピークを超え、今後は採掘量が減少し、さらに残りが少なくなってくると、同じ量を採掘するのにかかるコストが増大してくるという予測が顕著になっているため、脱石油依存を進めなければ、自動車文化は生き残れないという危機感があるからなのです。
 そのために、石油、天然ガスなどを中心とした石油系エネルギー以外からでも、動力エネルギーを生み出すことができる電気動力をエネルギーの中心にシフトするための、一時の方便として、石油消費量を現行のエンジンよりも減らす事ができ、開発もインフラも現在のものを流用できるハイブリッドをステップの1つとして利用しているわけです。

 石油消費量を減らせる自動車で、とりあえず採掘のピークを過ぎて採掘量が減少し始める石油の需給に応えながら、インフラの整備と高密度バッテリーの開発をすすめて、電気自動車に移行しようという自動車業界の戦略は、自動車業界が生き残るためには、まさにガケップチの戦略と言って間違いないし、それだけ危機感を感じているのです。

 それがJALの将来と何の関係があるの?と、話の冒頭を覚えている方なら突っ込みたいと思うでしょう。
 これは、実は大ありなのです。
 正確に言えば、JAL問題というのは正しくなく、航空輸送産業問題というべき話なのです。
 それは、航空機業界は、完全に石油依存体質で、自動車業界のように脱石油のための準備が全く整っていないのです。
 ちょっと詳しい方であれば、ご存知だと思うけど、現在の航空機は、燃費改善のための努力はされているけど、石油以外で航空機を飛ばすための研究が全く立ち遅れていて、石油が枯渇しなくても、採掘量の現象が顕著になり、同じ量を採掘するためのコストが上昇し始めると、たちどころにコストに響くだけでなく、それが深刻さを増せば、まさに運行不能という事になりかねないのです。
 なんと言っても、機体の上面にソーラーセルを貼り付けて、ソーラー発電したくらいではモーターに直結したプロペラを回して飛行するのはムリだし、電池の重量が重いというのが航空機では致命傷なので、飛行場で充電しても飛べる距離がたかだか知れてしまうのです。
 しかも、それらが可能になったとしても、モーターを使う以上は、ジェット推進のような高速ではないので、航空機の早さというメリットをかなりスポイルする事になるわけです。

 オレが子供の頃に未来の航空機として「原子力推進」があったけど、これも墜落時のリスクだけでなく、重量対効率を考えると、まったく非現実で、原子力推進機関のメリットは、搭載する対象が重く、相対的に原子力機関の重量が気にならない船などか、連続使用が前提の潜水艦、空母、一部の人工衛星の電源などでないと非常に非効率なのです。
 他に、未来の航空機の動力について、実はいくつか構想が発表されているけど、どれも車でいう燃料電池レベルの話で、とても近い将来実用化できる話では、今のところないのです。

 というような事を考えた場合、車が乗れなくなると騒ぐ前に、航空機が使えなくなる問題に直面する事になるわけで、エコカーの話が盛り上がるのは、ある意味では結構な事だけど、今後の航空機をどう考えるかを一緒に論じなければいけないのに、まったくそんな議論は表でなされていないのです。
 きっと、現実的な問題としては、石油の採掘量がはっきりと減少し始めてから大騒ぎし、航空機のエネルギーを代替する手段が実用化されない以上、石油は、他の代替手段が無い航空機や、素材の原材料への配分を優先するという事になって、その時に自動車は割を食う事になって、さらにエンジン搭載の自動車が淘汰されるという事になりそうです。
 個人的には、それを見越してEUの自動車メーカーが危機感を募らせているというのが、今のメーカーごとの姿勢に感じる事ができるような気がします。
 そして、そのEUメーカーと同じ危機感を持っているのは、日本ではトヨタとホンダで、それ以外のメーカーは、不思議なほど牧歌的な雰囲気のように感じられるのはオレだけなんでしょうか?
 もう1つ不思議なのは、トヨタがいつの間にか、10年先を読むような戦略を持てるようになった事。
 昔のトヨタは、中庸を絵に描いたような方針で、他社が取り組んだ先進技術が目処がつけば採用するというようなマーケティング的にはまさに「マーケットリーダー」的な戦略だったのに、いつの間にかナンバー2企業の戦略である「チャレンジャー」的な取り組みを重視し始めている事です。
 この点は、まさに日本をマーケットの中心に据えていたのを、世界という市場にシフトさせたから見えてきた視点なのだと思います。
10月28日
 海上自衛隊の護衛艦くらま(DDH144)が関門海峡で衝突事故に遭遇したのは、皆さんもご存知のとおりです。
 その報道は、テレビでは一部の番組を除いて、比較的客観的な姿勢が感じられるも
のの、地方紙の見出しには「海自やまぬ事故」〜「改革指針効果なく」というセンセーショナルな見出しが書かれていたのです。
 少なくとも、その記事(今日の朝刊)の締め切り時刻までに、衝突相手の韓国籍コンテナ船の事情
聴取の内容も発表されていないし、細かな状況は不明の段階で、そのような憶測見出
しを使うのはフェアではないし、事実関係を誤解させ、ある方向に世論を誘導しかねない書き方に、正直個人的には驚きを隠せなかったのです。
 これもあくまでも個人的な考えだけど、政策などの考え方については、個々のマスコミで会社としての理念があれば、それを元に記事を書いても良いと思う(その場合は客観報道ではなく、自社の考えに基づく記事である事を明示するべきだとは思う)。
 しかし、事故などは、まず確認された事実を書くべきだし、その事故に関する世論の反応を紹介する場合は、ちゃんと事実関係とは別物として読めるように扱わなければ、決して事故の報道とは言えないと思うので、配信した報道機関には襟を正してもらいたいと感じています。
 
{関門海峡海上交通センター}
 夕方までに公表された事実に衝突の原因を作ったとされる韓国籍のコンテナ船の乗組員への事情聴取で、「関門海峡の航行を監視する管制(関門海峡海上交通センターのこと)から、通常の船舶のルールに反して、左側から先行の船舶を追い越せという指示があった」と話していることが報道されているのもご存知のとおりです。
 海上保安庁は、「指示は出せる事になっていない」と会見で発表した。
 これを「どうも先行船舶からの連絡をコンテナ船に伝えただけ」と取材を通じて報道しているけど、これは意味が判りにくいと思うので、少し補足すると海上も航空も、具体的な指示を出す管制と、情報提供のみおこなう機関の2つに分かれているのです。
 最近、航空の分野も空港が多すぎという事で物議を醸しているけど、空港の中でも離陸や着陸に強制力のある指示を出す管制(例、羽田や広島)と、気象情報や滑走路がどのような状況になっているかというような情報のみを提供し、離着陸などは機長の責任において判断する事を求められる(例、広島西)とは、同じように管制塔があっても権限が異なるのです。
 その広島西飛行場と同じようなシステムが、今回”管制”と言われた関門海峡海上交通センターなので、潮の流れや、伝達しかできないのです。
 ただし、いくら指示権がないと言っても、狭く流れの早い関門海峡で、ルールに反する追い越しの伝言をして良いかどうかは別の問題のようには思うので、これについては検討の余地があるのではないでしょうか?

{ダメコン}
 今回のくらまの事故で、不思議と全く論じられていない視点が少なくとも1つあるように感じています。
 それは、事故としてでの視点ではなく、いわゆる軍艦として護衛艦の対処能力に関することなのです。
 護衛艦の対処能力といっても、衝突しそうな船を撃沈して衝突を防ぐというような妄想のような話でもなければ、あたごの事故の時にも間違った批判の的になっていた「高性能レーダー」を搭載しているので衝突が防げなかったのがおかしいというような、システムの本質を理解していない批判の論調とは違い、ダメージコントロールに関することなのです。
 軍艦である護衛艦は、任務の性格上、対処相手からの攻撃を考慮した設計になっていて、ソマリア沖の海賊対処に海上保安庁の巡視船ではなく海上自衛隊の護衛艦を派遣したのも、もし海賊からの攻撃があった時に、民間の船に近い構造が前提になっている巡視船では、ダメージが大きくなり乗組員の安全にも大きな影響が考えられるからです。
 そのため、攻撃を受けたときの事を考慮した設計になっているだけでなく、ミサイルなどの攻撃を受けて艦体が被災した時に、被害が大きくならぬように対処するダ
メージコントロールの訓練を普段から行っている護衛艦を派遣するのは、一部の政党がどう批判しても、少なくともそういう技術的には合理的な判断なのです。

 ところが、今回の衝突で大きな火災を生じたくらまは、自艦内の体制だけではすぐに消火できなかっただけでなく、何名もの体調不良者を出してしまっただけでなく、外部の消火活動の応援を受けながらも、なかなか鎮火できなかったのです。
 もちろん、何名も倒れたという事実から、乗り組んでいる応急部門の隊員は必死の応急活動を行ったと思っていいし、その努力には敬意を表したいけど、結果として、あれだけ鎮火に時間がかかって、自力だけでは対処できなかったのは、(そういう事が起きるのは考えたくは無いけど)、実戦や平和維持活動などの活動中に、砲弾やミサイルなどの攻撃を受けた場合のダメージコントロール能力が、思ったより不足しているのではないかという不安が現実化したように感じるのです。
 第2次大戦で日本の軍艦の多くが沈没したのは、もちろん多くの理由があるけど、その中に取り上げられているのは、ダメージコントロール能力の低さがあったのは事実なのです。
 当時、アメリカの軍艦が沈没確実なほどの被害を受け、攻撃した日本側の指揮官がそのように戦果報告したのに、翌月には大修理を終え戦列復帰して、日本の主力部隊を攻撃し、同じような被害を受けた日本側の艦船は、処置に困り、その場で味方の攻撃で処分せざるを得なかったというようなケースもあり、被害を多くした理由の1つにはダメージコントロール能力の不足があったのです。
 それを教訓にしているはずの護衛艦の衝突事故と火災は、またしても、ダメコン不足の懸念を呼び覚ましてしまった事例のような気がしていけません。
 特に戦地でのダメコン活動は、今回みたいな平和時の対処と違って、警戒や防御活動を行いながら応急処置をおこなう必要があり、今回よりも障害が大きいので、是非、事故の責任追及や原因究明だけでなく、応急体制や装備の見直しを検討してもらいたいと感じた事故でした。
6月1日
 どーも、ご無沙汰していますm(__)m
 という一言でこの期間を誤魔化すつもりはありませんが、世界の自動車産業は驚く状況になっているのは、皆さんもご存知のとおりです。
 オレも、周囲の関係者も、いくら「まさか」があってもGMやクライスラーが一挙に破綻するなんて、誰も10年前には考えていなかったというのが正直なところです。
 GMは、10数兆というケタ違いの負債で、あまりにもケタが大きいのでピントきませんが、ちょっとした国家予算規模です。
 という事は、1つの国家が破綻したようもので、混乱が無いわけがありません。
 では、フォードは健全なのかというと、これもマツダの株を売り抜けて現金化した事で、当座を凌いでいるだけで、今後も予断は許さない状況である事は間違いありません。
 そして、クライスラーも、これまたまさかフィアットの支配下に入るなんて、まさに小が大を制する話で、本当に驚きを隠せず、ヘタなお化け屋敷よりもビックリです。
 
{一番嬉しかったこと}
 というテーマが、そのままになってました。(これまた失礼)
 以前からずっと考えていて、ついに今年から着手した事があります。
 とまぁ、最近のちょっとしたブームに乗っかったんじゃないと否定したいわけじゃないけど、今年から少し畑を使って野菜を育てているのです。
 ホラ、ブームに乗ってるじゃんか!?と思った皆さん、一応オレの行動には遡る理由があるのです。
 それは、ウチの紹介ページをお読みになったり、この日誌を通読されている方であれば、オレが講師としていくつかの仕事をしている事をご存知だと思うし、その中にフード関連での仕事があるのです。
 オレの担当領域は「マーケティング」で、実際に料理をするわけでもないし、ワインをテイスティングするわけでもないけど、いつものオレの持論というか行動パターンとして、教える内容の周辺は、なるべく広い裾野で理解しておくという事を数年間続けていったので、例の問題になった輸入野菜の安全性だけでなく、国産の安全性や、旬を活かさない生産や食生活の問題まで、数年前から、たくさんの課題が日本の食習慣にある事を実感していたのです。
 そして、それを本来のリズムに戻すためには、何を重視した農法をしなければならないかを考え、それを講義の隙間に紹介していたのです。
 しかし、いくら実践している方が、全国に散見されるとは言え、あくまでも伝聞なので、それではオレの見解としては説得力も持てないと思っていて、いつかは実際にそれを検証できるフィールドが必要だと思っていたのです。
 
 幸いな事に、昨年、平成お気楽社員Tさん(現在役職付)との会話がきっかけで、畑を借りる事ができる状況になったのです。
 Tさんとの付き合いは、恐ろしい事に10年経過しようとしているけど、ホンマに人は大切にするもんだと実感したしだいです。(Tさん最大のヒットです!)
 
 さて、当初は、耳学問満載とは言え、シロートが始めるワケなので、なるべく小さい区画でと思っていたので、借りた区画自体が大きいなぁ〜と思っていたのです。
 ところが、実際に色々な野菜を育て始めると、当初の面倒くさいと思っていた考えとはまるで逆で、さらにスペースがあれば…と、予想外に欲が出てきたのです。
 それで、紆余曲折の後、それまでの区画の1.8倍くらいに今月から拡げて、さらに、時間を惜しんで農耕生活も繰り広げる事になったのです。
 そのたった数ヶ月の実践で感じる事は、先人が伝えていた、最近の農業であまり言われていない様々な教えは確実に生きている事や、自然の様々な影響力が、どれほど植物に大きな影響を与えているかを痛感せざるを得なかったのです。
 自然回帰というのは掛け声としては簡単に言える事です。
 でも、それを自然な形で取り入れるのは、なかなか難しい事でもあるけど、本当に人智の及ばない自然の営みの偉大さに畏敬の念を持たざるを得ないというのが正直な感想なのです。
 そして、有機無農薬で旬を大切にした露地栽培の大変さもさる事ながら、その作物のおいしい事は、体を動かすモチベーションになっています。
 というわけで、夏の畑仕事を楽しめるために、枝豆を作っているのは言うまでもありません(笑)
 実際には大豆を作っていて、夏に少し未熟大豆としての枝豆を楽しむつもりではありますが。
 
 春以降に、会う人会う人に「よく焼けてるねぇ〜。サーフィンでも始めたんか?」と言われるので、「畑仕事じゃ」というと、一様に爆笑され、「新枝さんが畑仕事って想像できん」と言われ、いつも感じているのは、オレの実際の価値観と、想像されている価値観に大きな隔たりがあるんだなぁ〜と思わずにいられません。
 どうも、オレは「都会で、パソコンを駆使して、デジタルでクールな仕事をして忙しそうにしている」キャラらしいのです。
 ホントは逆で、農業は素晴らしい仕事だと、これまで以上に感じていて、できる事なら田畑を増やしたいと思っているくらいなのです。
 
 さて、大切な事を忘れるところでした。
 某時計メーカーの担当者より、正しい故障診断ができた2番目に嬉しかった事の続編である、最も嬉しかった事は、畑をゲットできた事じゃなく、井戸の話なのです。
 その畑には、昔から備え付けられている手押し式のポンプ付の井戸が設置されているのです。
 ところが、このポンプ、若干内部のパーツの磨耗が進んでいるためか、当初、ポンプの上部に「呼び水」を入れてからポンプを押しても、水をくみ出せなかったのです。
 仲介してくれたTさんも、Tさんのお父さんと一緒にチャレンジしてくれたそうで、Tさんは断念、でもお父さんはくみ出せたので、Tさん曰く「何で親父ができるか解らん」という事でした。
 でも、その後、オレも何度かチャレンジしていくと、うまく、くみ出すことができたのです。
 それが、今年最も嬉しかった事なのです。
 何度目かのチャレンジの最中に、ポンプ内の圧縮圧力の変化を感じる事ができたのです。
 これまでの車の仕事で、エンジン内部での圧縮の変化を、音や手ごたえで感じていたのが、まさかこんな時に役立つとは思わなかったけど、おかげで現在は当たり前のような顔をして、水をくみ上げる事ができるようになったのです。
 ハイテクマシーンよりも、こういう昔ながらのコツを要するローテクのものを使える事に喜びを感じる事でも、多くの方のオレに対するイメージは違うと言いたいけど、一時は、許可さえ出れば、ポンプを分解して修理したいと思っていたけど、先人と同じように現状で使えるようになったのは、その畑で作物を作る資格を認めてもらったようで、嬉しい限りなのです。
 というわけで、井戸の周囲にペール缶などに組み上げてある協同利用の水が減っていると、嬉々として満タンにして帰るのは、新人としての礼節でもあり、自己満足の行動でもあるわけです。
4月3日 北朝鮮の飛翔体迎撃について
 皆さんも、明日以降の、このニュースの動向に関心を寄せていると思います。
 ミサイルか人工衛星か、国連決議違反なのか科学技術振興かは、たくさん議論されているのでここでは触れないとして、コメンテーターのコメントに妙な論調があるので1つだけ触れようと思います。
 それは、もう数年も前に日誌で書いたパトリオットのPAC3などの射程の事です。
 当時、PAC3を導入すれば弾道ミサイル防御は大丈夫という論調だったので、有効射程は15km程度なので、日本海側にそれこそ中曽根元総理の発言でキーワードの「ハリネズミ」のように20〜30km間隔に配備しなければダメどころか、太平洋側に着弾させるものも防御するには、内陸にも配備が必要なので、今の航空自衛隊の高射隊の配備先だけでは全くお話にならないという内容を書いた事があるのです。
 当時は、PAC3神話みたいなものがあって、PAC3をある程度配備しれば大丈夫という間違ったコメントが多かったので触れたんだけど、今度は、違った意味で勘違いのコメントが見受けられるのです。
 
 というのは、今回のテポドン2(と日米では呼んでいる飛翔体)が、アクシデントか故意で日本の陸地に落下する時はともかく、日本を通り越す本来のルートを飛行した場合、日本の上空では大変高い高度(一説には高度1000km)なので、イージス艦が発射するSM3(有効射程約300km)でも、PAC3でも落とせないという事実(これは事実です)に対して、「そんな撃墜できない防衛ミサイルに、今まで何のためにお金をかけてきたのか、本当に無駄な出費だ」というコメントを何度か聞いたのは、オレだけではないと思います。
 一見、そのとおりのようなコメントだけど、コメンテーターはどういう意味で、このコメントを述べたのか、オレは非常に疑問を感じているのです。
 というのも、SM3もPAC3も、日本の本土防衛のために配備されつつあるミサイルなのです。
 だから、当然日本に狙いをつけた北朝鮮のミサイルでいえばノドンが、その迎撃対象になっているのです。(テポドンは日本の脅威ではありません)
 ところが、今回の飛翔体は、人工衛星か、弾道ミサイルかはともかく、射程を6〜8,000kmとしている、ミサイルであれば北米大陸などを射程に入れたミサイルなので、日本上空はとんでもない高空を通過するし、そもそもそんな高度のミサイルを迎撃する目的でSM3などは開発されていないのです。(そういう高空での迎撃は人工衛星などが担当するべき、アメリカでは戦力化が進んでいます)
 言い換えれば、日本に危害のないミサイルなので、その撃墜は技術的以外にも想定していなくて当然なのです。
 むしろ、この飛翔体がアメリカに向けて発射された場合に、打ち落とせるミサイルであれば、それこそアメリカの防衛に日本が介在する事で、集団的自衛権の問題に抵触しかねない話になるのに、集団的自衛権否定論者が、今回のSM3、PAC3で通常コースのテポドン2を落とせないのは、ダメな装備という意味の意見をコメントするのは、いくらなんでもおかしいじゃろ?と感じたわけです。
 
 という臨時裏日誌?の煽りを受けて、一番嬉しかった事は、次回書きます(笑)
3月6日
{最近2番目に嬉しかった事}
 先日、腕時計を修理に出したのです。
 それは、この6年間使っている某メーカーのタフソーラーというシリーズの時計で、ソーラー&当時はまだ珍しかった標準電波で時間更正をおこなう時計で、オレの事をご存知の方であれば、「アレかぁ」と思い当たる方も多いと思うのです。
 そのタフソーラーのうたい文句は、もちろん「ソーラーパワーで電池交換不要」というものなのです。
 でも、ここで多少メカニズムに詳しい方であれば、ソーラーパネルだけでは、夜や暗いところでは時計が動作しなくなるので、ソーラーパネルで発電して、それを充電するバッテリーもあるはずとお考えのはずです。
 もちろん、その推理は「ご明察!」です。2次電池が装備されていて、この2次電池も交換不要という話だったのです。
 さて、その腕時計は、2年位前に、充電率が下がった表示になった事があったのです。
 もちろん、充電できない状況で使い続けると、充電率が下がるのは当たり前の事なので、窓辺にしばらく置いておくと充電率が回復したのです。
 その時点で、話は解決したんだけど、そのうち、時々充電率不足になる事が起き、その度に充電していたのです。
 そして、通常は、毎日深夜に標準電波で時刻更正するのに、1年近く前に、標準電波を受信していない日がチラホラ生じ、さらにバックイルミが点灯しなくなって、ここ数ヶ月は、太陽光の下で充電しはじめると、すぐに充電率のインジケーターが上昇するのに、何時間充電しても、明るいところから移すと、すぐに下がっていたのです。
 
 そこで、原因を究明するために、構造と想像しながら絞込みを行ってみた結果、明るいところにおくと、すぐにインジケーターが上昇するので、発電は問題なく行っていると判断(ソーラーパネルは正常と判断)。
 しかし、すぐに充電率のインジケーターが低下している事から、2次電池の蓄電能力の低下と考えたのです。
 ここまでは、ちょっと知識がある方であれば、同じ診断をされると思うんだけど、困った問題として、標準電波を受信しない事が多かったり、バックイルミが不灯だったり、その他いくつかの機能も不良なのをどう考えるかなのです。
 説明書にも、そんないくつものトラブルを解説なんてしていないので、直接判断はできないんだけど、非常に参考になる一文があったのです。
 それは、充電率が最低状態になった場合、機能の一部が制限される事があるという説明だったのです。
 
 ただ、そういう制限が付くのは、3段階のレベルの中で、最も低いレベルのときであり、オレの時計は2段階目なので、特に問題ないはず…という事になっているのです。
 ここで、よくある判断としては、交換不要のはずの2次電池はダメ、その他の機能は故障と判断しがちではないかと思うのです。
 でも、オレは、立て続けにいくつかの不良が発生した場合、個々の故障である可能性は否定しないものの、それらの関連性は十分に検討する必要があると思うのです。
 これは、車の故障診断の時にも、もちろん活用している考え方というか、車の故障を診断する時に身に付けた考えで、先日も、近いタイミングで2つの不良が生じていた車を、1つの原因として絞り込んで修理したのです。
 一般的に、年に1回、消耗品以外の故障が生じると、普通の方は、「よく壊れる」という認識をお持ちになるのは自然な事だと思うのです。
 すると、1日という単位で考えた場合、年に1回故障すると、1/365の確率という事になるのはお判りだと思うのです。
 でも、もっと言えば、車は単一の部品ではなく、複雑怪奇な組み合わせなので、何か1つ、年に1回故障するという確率は、故障が発生する可能性が高い部品を仮に1000点に絞ったとしても、個々の部品の故障確率は1/365000という極めて低い確率なのです。
 ただ、結果としての故障は年に1回生じるので、そんなに故障確率が低い部品で構成されているというイメージが無いだけなのです。
 
 ところが、同時期に2つの部品が故障するという話になると、1/365000の確率に1/365000の確率をかける事になるので1/133225000000という、とんでもなく低い確率になるのです。
 それでも、2ヶ所故障が発生する事もあるのは事実だけど、そんなべらぼうに低い確率を、先に考えなくても、もっと違ったアプローチがあっても良いというのが、オレの考えなのです。
 今回も、そういう意味では、同じ日に発生したわけではなけど、最低4つの不具合が生じていたので、2次電池の劣化がすべての原因で、負荷がかからない時にはレベル2の充電率だけど、何らかの機能を動作させる瞬間に電圧不足になり、色々な機能が働かないのではないかと仮説を立てたのです。
 
 その仮説を元に、某メーカーのサービス窓口(電話)に問い合わせ、症状と、この仮説を説明し、「2次電池が不良の可能性が高いのではないでしょうか?」と聞いてみたのです。
 すると、担当者は「年数から言っても、2次電池の不良という事は、まず考えられません。きっと日常の充電不足と、機能の故障だと思います」という回答だったのです。
 補充電に関しては、どういう充電を行ったか説明して、本来ならばそれで十分だし、以前はそれで全く問題なかった事も伝えたけど、回答は「木で鼻をくくった(笑)」ような回答で、「充電不足ですが、どうしても点検をご希望であれば修理に出してください」という事だったのです。
 
 ここで、どういう態度をしたかというと、おとなしいオレとしては、まずは、言いつけどおりに、ちゃんと充電してみたのです(素直でしょ!?…爆)
 それでダメだったので、修理に出してみて、昨日戻ってきたんだけど、結果は、オレの仮説のとおり「2次電池の劣化のみ」で、電池交換で完了でした。
 何が嬉しかったかって?
 自分の仕事以外の分野で、同じように構造理論と症状によって絞込み、診断できたのがとても嬉しいワケなのです。
 さらに、その診断が、メーカーの担当者よりも正しかった事が、喜びを倍増させたのです(笑)
 というわけで、一見どうでもいいように思われそうな、最近の中で2番目に嬉しかった事でした。
 ところで「何で、2番目に嬉しかった事を先に書くんや?」という疑問をお持ちだと思いますが、また1番目は書くつもりです。
なんと2月23日
 新年おめでとうございます(爆)
 「今年になって、日誌が更新されていないのは何かあったのか?」とか、「ナマケモノのオマエにしては、続いたほうがおかしかったから、これで普通じゃ」とか、色々なご連絡をいただき、ありがたい限りです(笑)
 
 特に理由があったわけでもなく、めちゃくちゃ多忙になっていたわけでも無いけど、いろいろな事で間があくと、こうなるのです。
 
[中川大臣の話]
 さて、酒をたしなむのは大好きなオレとしては、もちろん他人事ではない話だけど、世間で言われているように
1.過度の飲酒
2.風邪薬の飲みすぎ
 
 の2択なんでしょうか?
 まぁ、世間では風邪薬の飲みすぎ+飲酒で、薬が強く作用したとも言われているけど、某議員(医師でもある)がコメントしたように、「10数年医師として仕事した経験では、風邪薬の飲みすぎでああなった例は見た事はない」というのも真実なはずです。
 ところが、個人的には第三の選択というのがあるように感じるのです。
 
 それは、薬を服用も事実で、その服用直前?に少量?飲酒したのも事実だけど、服用した薬は風邪薬や腰痛の鎮痛剤ではないという事です。
 日誌では、具体的にどんな薬かは触れないけど、その薬を前提にすれば、同時期の飲酒で強く作用が出るし、その作用は、あんな表情や話しぶりになってもおかしくないし、その直後のバチカンでの行動も、さらには帰国してから記者会見までできたのに入院した理由も、すべて説明がつくのです。
 
 ただ、オレが具体的に記述しないのも、この仮説は個々の人の受け止め方によっては、私見であっても、おおっぴらにコメントするのは望ましくないという考えもあると考えているからだけど、いまや、そういう事に関する偏見は、かなり和らいでいる時代だし、そういう偏見を払拭するためにも、本当は、この仮説が事実であれば中川元大臣は公表するべきだと思っています。
 きっと、特定の診療科の医師であれば、あの画像を見て、同じ考えを持つ人は少なくないはずです。 
12月3日
 常連というよりも、オレのディーラー時代からのお客さんでもあるKさんの依頼で、ウチのHPにも掲載しているバッテリーの劣化を改善するナノパルサーの取り付けに向かったのです。
 到着すると、いつものKさんの笑顔と「お!あたちゃん久しぶり!」と声をかけてもらったのです。
 ところが、工具を持って車に近づこうとしたら、Kさんが突然「なぁ、あのベリーサの価格間違ってない?」というのです。
 というのも、セカンドカーの買換えに際してスタッドレスタイヤの見積りを依頼されていて、それを先日提示したら、ありがたい事に了承をもらったので速攻で手配を済ませていたばかりなのです。
 その見積りが後になって”高い”とクレームを付けられるのも困る話だけど、逆に「安いんでないか〜い♪」などと髭男爵のようなコメントをぶつけられると、計算間違いでもしたか…はたまたサイズを勘違いしているかと、逆に不安になってくるものなのです。
 その予想外のコメントに、「え?」とも「へ!?」ともつかないような返事しかできなかったオレに、Kさんは実に神妙な顔で「とても車両代も含めた金額とは思えん」というのです。
 さらにフリーズしたオレに、Kさんは「あの時のメールで、ワシは”ベリーサ”と”スタッドレスの見積りくれ!”と書いていたはずなのに、とてもベリーサの新車とスタッドレスがセットになっとる金額とは思えん」と言うのです。
 ようやくKさんの突っ込みのポイントを飲み込んだオレは、「ホンマにベリーサ”の”スタッドレスじゃなくて、ベリーサ”と”スタッドレスというふうにメールに書いてあったんですか?」と聞くと、さも当然というような表情で「そうよ」と言うのです。
 
 そこでオレは「普段、マーケティングなどの講義の際に、”物事を分析・把握するのに先入観や思い込みがいかに危険な存在であるか”という事を偉そうに(笑)講義しているのに、オレはKさんのメールで、勝手にベリーサ”の”スタッドレスと思い込んで返事を書いたってワケですか?」と、笑いながら聞いてみると「ははは・・・先入観はいかんねぇ」と、いなされたのです。
 オレの、この講義内容は実際に行っていて、いくら鋭い観察眼を持っていても、当人に何らかの先入観があると、誰でも判るカンタンな事実であっても、間違った判断を下してしまうので、折に触れてそういう事を伝えているのです。
 しか〜し!大変残念な事に、オレは、ベリーサ”の”スタッドレスだと思い込んでいたわけです。
 まぁ、世間一般のカーショップであれば、そういう思い込みで読んでも不自然ではないとは思うけど、ウチというか、オレの場合は、少なくとも一般的な常識が通用しないので、オレがそういう思い込みで読んだ事はホンマにまずいと思ったのです。
 そして、その相方であるKさんも、そういう常識的な付き合いという意味では、非常識な関わりあい(悪い意味ではありませんので念のため!)なので、なおさらそういう思い込みはダメなのです。
 
 というのも、日誌を通読されている奇特な方であれば、思い出されるかも知れないんだけど、Kさんの家族の新居に「寿」マーク入りのトラックで、家電製品一式(当然、オレが販売したわけです)を納めに行ったり、F-4EJファントムのパイロットが遊びに来ているからといって、ウソの修理依頼をでっちあげてくれて、勤務中に鍋をつつく懇親会を設定してもらったりと、ある意味「何でもアリ」の間柄だったのです。
 まぁ、実際には、ベリーサを購入する先は、すでに確定していて、オレがどういう反応をするか確かめたくて、わざと「ベリーサ”と”スタッドレス」と書いたそうなんだけど、実害が無かったとはいえ、そのツッコミを返さなかったウデの悪さにも大いに反省の1日でした(笑)
 
{1人だけの試乗会}
 そのKさんのファーストカーも、最近新兵器になったのです。
 その新兵器であるゴルフGTIにナノパルサーを装着したのが今日の仕事だったんだけど、その後で、「ちょっと乗ってみんさい、なかなかオモロイ車やでぇ」と、いわれたのです。
 「ならば、気合い入れてきまっさ!」と乗り込むかというと、決してそうではありません。
 オレは、仕事で多くの方の車に乗っているのは事実だし、故障診断で必要とあれば、ちょっと手荒な事もする事もあるんだけど、仕事と関係無い場合、滅多な事では他人の車を乗ることは無く、せいぜいあるとしたら、一緒に出かける際に、途中で運転を替わるというケースだけなのです。
 ましてや、「お!ええクルマ買いましたなぁ〜、ちょっと運転させてもらいまへんか?」みたいなノリになる事はないし、たとえお客さんから預かったのでハイパーモデルであっても、必要以外のアクセルを踏み込むという事はしないのです。
 そういうポリシー?を持っている関係で、Kさんの申し出に「外から眺めているだけで良い」とか「助手席に居るだけでいい」とか、まるで「分不相応の片思いの相手に遠慮しているような妙な返事(笑)」をしたんだけど、「まぁまぁ、そんな水臭い事は言わずに、乗ってみればわかるけぇ」と強く勧められ、オレの普段のポリシーは、トーフのように崩れ去ったのです。
 乗ってみると、以前のゴルフとはまるで別物の仕上がりで、エンジンのトルク感、サスペンションのしなやかさ、驚くほど素直な操縦性など、「こりゃ、ちょっとハマりそうなフィーリングですねぇ」と、助手席のKさんと話しながら、これまでのVWのイメージをひっくり返すゴルフGTIの仕上がりに驚きを隠せなかったし、Kさんのこれまでの路線から考えて、ちょっと異質と思えるゴルフという選択も、なんだか納得できた試乗会でした。
 
 というわけで、今日の2編の話、Kさんに「(日誌に)書いてもいい?」と聞くと「ナンボでもネタにしてくれ」と言われたので、キッチリと掲載させていただきました。
11月15日
{最近の入庫で感じたいくつかのこと}
 ウチは、Webショップベースなのに、車の修理なども対応している事は、日誌をお読みの方であればご存知の方も多いと思うし、実情を知らない方にとっては、Webショップの自動車修理は、片手間のカンタンなものに限定されると想像されても不思議ではないだろうと、オレ個人としても思うのです。
 
 ところが、その印象に反して、ヘビーな内容の修理依頼もあるので、それはそれで大変なんだけど、今日は珍しくマジメに「表の業務日誌」(笑)として、最近の入庫で一般の修理工場が「何やってるんだろう?」と感じた2件の修理を紹介しようと思う。
 
{1件目}
 主訴「エアコンをかけるとブレーキの効きが悪い」
 エアコンをかけると加速が悪いというのは、特にパワーのない車でよく聞く話だけど、ブレーキの効きが悪いという話です。
 最初、それはそう思い込むだけで、実は勘違いか、そうでなければ原因が別にあって、たまたま数回エアコンをかけている時に、そう感じられたのではないかと思ったのです。
 ただ、ユーザー自身は、間違いなくエアコンをかけている時にブレーキの効きがはっきり悪いと感じられていたようなのです。
 そして、ユーザーの事情やウチから距離が遠かった事もあり、ユーザーの最寄の修理工場に入庫したんだけど、その時の診断が
1.ブレーキキャリパーをオーバーホールすればよくなる。
2.それでもダメならマスターバックが原因。
 
 という診断だったそうで、そのまま1番のブレーキキャリパーのオーバーホールを実施してもらったそうなのです。
 オレは、あまりにも違和感のある診断内容だったので、依頼は無かったけど、エアコン作動でブレーキが効きにくくなるというケースを考えてみたのです。
 すると、最も考えられるのは、エアコンが作動しているときに、エンジンをエンストさせないためのアイドリング回転数を上げるアイドルアップ制御が適切でなく、エアコン作動時のエンジン回転数が高くなりすぎ、エンジン内の負圧が小さくなり、それが原因でマスターバックの効果が小さくなるというケースしか考えられないと思ったのです。
 ただ、最近の車は基本的に、アイドリング回転数をコントロールするには、昔の車のようにネジで調整したりせずに、コンピューターが回転数を設定回転数に維持するだけなので、よほど何かしでかしたり、制御系に不具合がない限り、そういう事にはならないようにも思ったので、その自動車メーカーのシステムなどに詳しい個人的な先輩に調べてもらうようにお願いしたのです。
 
 すると、そのメーカーから同じ症状に対する対策が過去に出ていたのです。
 それは、オレの予想通り、アイドルアップ制御で回転数が高めになり過ぎるため、アップ時の回転数を抑えて、負圧の減少を抑止するための修正用プログラムが対策として開発されていたのです。
 「やっぱり負圧の変化かぁ」と、オレの予想が正しかった事に少し安心し、作業が済んでいるのは承知の上で、ユーザーにその事を伝えたんだけど、この最寄の修理工場、何を根拠にブレーキキャリパーの作動不良と判断したのか、そしてその次の策としてマスターバックを挙げたのか不思議でなりません。
 だって、どちらもブレーキが効きにくい原因にはなるモノだけど、どちらもエアコンのON・OFFとは関係なく機能しているモノだから、それらが原因で効きにくいのであれば、エアコンを使っていなくても同じ症状のはずだからです。
 さらに言えば、30年も昔であれば、マスターバックの不良は十分に考える余地があるものの、この平成の時代に生産された日本車の場合、ほとんど不良が発生する可能性はなく、2番手の可能性になるなんて、個人的には考えられません。
 
 ちなみに、この車、その後、別件にウチに入庫する事になったんだけど、エンジン内の負圧を確認してみると、エアコン作動時には、非作動時に比べて0.2kg/cm2以上負圧が少なくなっていました。
 そりゃ、確かに効きが悪くなってもしょうがないというものですが、お客さんは、その間違った最寄の修理工場の修理費用について、どうされたのかは知りません。
 
{その2}
 いくつものミスが重なった悲しい出来事です。
 夏の盛りに、高速道路を高速走行中に、オーバーヒートしたそうです。
 ヒートインジケーターの点灯に気付いたユーザーは、すぐに速度を緩め、高速を出て停止させ、ボンネットを開けて冷却をしようとしたそうです。
 エンジン冷却のためにコンビニで水を買ったのは、賢明な判断だけど、その目的が、エンジンの冷却水の経路に補水するためではなく、エンジンの外側に直接水をかけて冷却したのは、もしかするとダメージを少し広げる結果になったかも知れません。
 
 その後も、何度かヒートインジケーターが点灯し、係りつけの修理工場に入庫したそうです。
 すると、当然と言えば当然だけど、「オーバーヒート」という診断だったのです。
 そして、その原因は、「夏に軽自動車が高速で走行すれば、オーバーヒートは当たり前」との(オレとしては信じられない)事らしく、他にオーバーヒートの原因を探ろうとはしなかったそうです。
 その段階で、オレに相談があったんだけど、これまたウチに搬入されないだろうと考え、一応アドバイスだけしておいたのです。
 それは、「結果の診断として”オーバーヒート”は問題ないと思えるが、原因は、単に高速走行をしていたからという片付け方は非常に危険で、まず原因をしっかりと特定する必要がある事」そして、「オーバーヒートと言っても、細かな状況で、どういう修理を実施するか全く判断が異なるので、いくつかの点検を実施して、オーバーヒートの影響の範囲を特定してから、修理方針を決めてもらい、その見積りを前提にどうするかを決めるのが望ましい」という内容を伝えたのです。
 その内容を聞いたユーザーは、修理工場にその事を伝えたものの、原因も特定しようとせず、各種の点検も嫌がっただけならまだしも、「そんな事をしろと、誰が言うとるん!」と、ちょっとした逆ギレに近い反応をしたそうなのです。
 それでも、ユーザーの懸命な説得で、必要と思われる点検の半分程度の事は、エンジンを分解(ヘッドのオーバーホール)の直前に、一応やってくれたそうなのです。
 しかし、その点検結果によって、状況を検討するという事はせずに、当初から診断してたヘッドのオーバーホールをそのまま実施したそうです。
 ヘッドは、残念ながらオーバーヒートの熱害でひずみが生じていて、シリンダーとの接合面を削って平らにしなければならなかったために、その研磨に出したという報告をユーザーから聞いたので、「ホントにヘッドだけで大丈夫なのか?」という事について聞いてみたのです。
 すると、修理工場に質問すると、「シリンダーは大丈夫なので、これで直る」という返事だったそうなのです。
 そして、修理が完了し、ユーザーに車は引き渡されたのです。
 まぁ、ここで一件落着となれば、ここに登場するワケはないので、この件も後日談があるのです。
 
 その後、1ヶ月ほどした時に、そのユーザーに会う機会があったのです。
 2台で連なって走っていると、減速後の加速で黒煙が「ぽわっ」と出たのです。
 その時に、「やっぱりオーバーヒートの修理は、ちゃんとできていないのではないか?」と感じて、その事も告げて、数日が経過すると、オイルの警告ランプが点灯したそうなのです。
 そして、オイル量を確認すると、レベルゲージに付かないくらいに減っていて、オイルを補充したという事だったので、それまでのオイル消費の傾向が無い事を質問して、さらに修理の不具合を感じたわけです。
 
 そして、また800kmほど走行すると、オイルが結構減少していて、前回の補充からの距離から推測すると「オイル1L消費するのが約1,000km」という、オイル消費としては結構なレベルになっているので、「再入庫して、前回の修理上の問題を含めて点検するほうが良い」と伝えたのです。
 
 ユーザーは、修理工場にその事を伝えたら「累積走行距離も多いので、タービンがダメになっている」と、またロクすっぽ点検せずに診断したそうで、それを聞いたオレは「タービンには、事前に確認できるいくつかの点検と、状況証拠で推測できるから、その手順をやってもらうのが大切」と言っておいたのです。
 特に、以前から徐々にオイル消費が悪化したというだけならタービンを最初に疑ってみるのも悪くないけど、修理直後からの顕著なオイル消費というのでは、修理ミスや診断ミスを疑うほうが確率は高いのです。
 さらに言えば、はっきりとパワー不足を感じるそうで、それも伝えると、返ってきた返事は「そんなもの」なんだそうです。
 
 ついでに言えば、そのパワー不足を感じるときのターボの過給圧は十分に上昇しているので、過給圧が十分に確保されているのに、パワーが足らないとすると、最も先に考えるのがタービンの不具合では説明がつかないのです。
 
 そこで、さらにちゃんとした点検をお願いすると、2日間預けるという前提で、見てくれたそうだけど、その時も「(点検せずに)タービンを交換すればいい。それでもしダメなら中古のエンジンを載せ換えれば大丈夫」と、思いつくものを手当たりしだい交換するという、そのうちボディまで交換してしまいそうな診断や修理と言えない方法をやりそうだった事と、実際に乗車してもパワー不足は「こんなもの」という判断だったそうなのです。
 
 オレは、あくまでも客観的な立場なので、これまで「むやみやたら」とクビを突っ込んでかき回して混乱させるのは良くないと思い、発言も遠慮していたんだけど、ここに至って、正直言って堪忍袋の緒が切れたような心境になり、「技量不足で診断できないのはともかく、そんなマトモに診断しようとも思ってなくて、”こんなもの”というような無責任な発言を繰り返すんだったら、そこに頼まないほうが良いから、そのまま引き上げてくる」事を勧めたのです。
 ユーザーもそれに同意し、その後どうなったかというと、そういう発言の責任を取らされる?べくして、ウチで預かる事になったのです。
 夜、持ち帰りながら状況を確認すると、普段ターボつき軽自動車を乗っていないオレでも「加速不良は間違いないなぁ」と感じるほどだったし、その時の燃焼の荒れが原因と思える、エンジンの微振動も確認できたのです。
 そして、オイル消費についても、オイル下がり(作業ミス)か、オイル上がり(診断ミス)かはともかく、エンジン側に明らかに問題があると確信しながら持ち帰り、今回は、特に念を入れた確認をしたい事もあって、オレのディーラー時代の先輩でもある師匠に事情を話し、ウチの引き受けた仕事を一緒にやってもらえないか相談すると、師匠も「ええでぇ。オレも新枝の診断と同じ認識だけど、真相がどうか興味もあるから」と快諾してもらったので、ユーザーから引き取り200kmに加えて、師匠の工場への持ち込み100kmを走破して、持ち込みしたのです。
 
 事前ミーティングに十分時間をかけ、今後の方針を確認し、ユーザーに不用意に大きな負担をかけずに済むような手順を決め、それで確認作業を進めていく事にしたんだけど、師匠もミーティング中、これまでの経緯を聞けば聞くほど「その修理工場は、何を考えとるんかのぉ〜」を連発していました。
 
 その後、各種点検を行ってみると、結局、オーバーヒートの際に、シリンダーまで影響が及んでいたのを、確認せずにヘッドだけオーバーホールしたという診断ミスと、ヘッドオーバーホール作業の際に、ヘッドの付属品の分解・取り付け作業時に作業ミスがあると思われる状況も確認できたのです。
 さらには、3気筒エンジンの2番シリンダーのプラグが融けていて、圧縮も他のシリンダーに比べかなり低下していたので、パワー不足は、これも大きな要因であって、決して気のせいではないという事まで判明したのです。
 本来、オーバーヒートの時に入念な点検をおこなっていれば、ムダになる作業や時間を、そして費用を浪費しなくても済んだのに、ミスだけでなく、その後、自分の作業の落ち度の可能性さえ省みようとせない、最初の修理工場の姿勢は、正直、同業者としても恥ずかしくなる内容でした。
 
 最初の修理工場が、この状況を知り、前回の修理費用についてどういう態度をとるのかは知らないけど、師匠も「あまりにもひどい話じゃのぅ」とオレと同じように嘆いていました。
 本来は、プロにはあってはならないとはいえ、ミスは誰でも犯す可能性があるものです。
 そして、業者や個々の整備士で技量の差があるのは、やむを得ない事だけど、基本的な事を確認しないというのは、そういうやむを得ない差の範囲に収まる事とはとても思えないのです。
 そして、この件は、ミスで片付けられるようなものではなく、プロとしての資質を問われるような内容だと感じています。
 
 ちなみに、今日、紹介した2件のトラブルは、ごく一部のエキスパートでなければ診断できないようなケースではなく、基本的な理論や構造が理解でき、ある程度の経験があれば当たり前に判断できる事であって、オレ達の診断が、実に素晴らしいというような話ではないのです。(と、個人的には考えています)
 後で、その車のメーカー系ディーラーのエキスパート・サービスマンに聞いてみると、そのエンジンは、オールアルミブロックを採用しているため、オーバーヒートしたら、ほとんどの場合、シリンダーはアウトだそうです。
 当初は、実車さえも見る機会に恵まれないまま、電話での相談だけでの診断から始まったこのケース。
 それなのに、オレの診断がほぼ正確だったのは、ある意味嬉しかったんだけど、その結果は、ユーザーにとって、実に残念な結果になったのは、素直に喜べないし、申し訳無いような気分です。
11月8日
 もう2年以上も前の話。
 オレがAED(自動体外式除細動器)のライセンスを、こともあろうにAHA(アメリカ心臓協会)からの認定を、有志の配慮で受けさせてもらった後の、日本最速の法律家ブースカさんとの勉強会で出てきたネタです。
 オレが取得したのを知ったブースカさんも、自発的にライセンスを取得(もちろんAHA以外の機関です)しようと思われ、新幹線乗務員にも1次救命措置の習得が推奨されはじめた時期の話です。
 ブースカさんに限らず、そういう意識を持ってもらうのは大変嬉しい事なので、「是非がんばってください」とエールを送ったのです。
 それだけでなく、新幹線は、停車駅の間隔が長いので、新幹線車内にAEDを設置するという考え方があっても良いのでは?と個人的な見解を伝えたのです。
 当時、新幹線停車駅のような主要駅に、徐々にAEDが設置されはじめた頃だったんだけど、心室細動などが起こってから、AEDでの除細動措置をおこなって、効果的な時間は大変短く、心室細動から7〜8分も措置ができないと、かなりの確率で蘇生に結びつかなかったり、蘇生しても障害が残るので、最寄り駅への緊急停止では間に合わないからという考えと、もう1つは、1編成で何億円もする新幹線車両だし、一般の電
車と違って、速度が速いために列車本数の割りに新幹線は編成数も少ないので投資負担も低いと考えたからなのです。

 その後、その話は、ブースカさんから「近い将来、AEDが新幹線に搭載される方向で検討がすすんでいる」という連絡があったのです。
 オレにとっても、すべての利用者にとっても素晴らしい事で、JR東日本の英断には敬意を表せる事だと感心していたら、ついに「年内にJR東日本新幹線全編成に設置」と公式発表があったのです。
 
 最近は、特定の職業の方だけでなく、AEDを使用できる講習を受けている方も増えているので、この新幹線車両へのAED設置は、必ず良い結果をもたらすと確信しています。
 AEDと心肺蘇生の1次救命措置は、「一家に1人」実施できる人がいるのではなく、「石を投げれば当たる」くらいの密度で、実施できる人がいる事が重要だというのが、オレの持論なので、皆さんも是非、市区町村や消防署主催の講習を受けてみてください。
10月27日
 ようやく当日発行の日誌になるために、3話続けて書いたので、追いつきました(お待たせしていた皆さん、ホンマにすんません)
 
 今日、仕事の隙間の数時間を利用して、「いつかは撮影しよう」と思っていた撮影地に行って来たのです。
 それは呉の入船山記念館という、戦前までの日本海軍の呉鎮守府長官公邸の撮影です。
 今や、財政逼迫の日本国は、国会の議員宿舎はおろか、三権の長である議長の公邸さえもムダだと糾弾されているなか、公務員の格式としては、現在の認証官(天皇の認証を受けて任官する役職)に該当する親任官ではあるものの、各省の長や次官よりも下に位置する鎮守府長官(現在の海上自衛隊では地方総監)に、私邸部分の付いた公邸があり、それが十分な格式を有しているというのは、時代の違いを感じざるを得ないし、その公邸部分の落ち着きと品格は、今日、一緒に同行してもらった人も驚いたそーです。
 
 ちなみに、その人に、当時の海軍事情についていくつか触れる事があったんだけど、「海軍は基本的に水洗トイレ」とか、艦隊勤務の士官(幹部)の航海時以外の昼食にはフルコースの洋食も多かったというような事を伝えると、ビックリしてました。
 以前も、過疎地に住んでいた高齢のおじいさんが英語ぺらぺらで、洋食マナーもバッチリなのを見た、ある人(もちろん若い人)が不思議がっていたので、その方の若かりし頃(海軍士官)を教えた時に、それでも不思議がられていたのは、やっぱり、昔の人は、着物で和食、英語は関係ないというような、今の海外からの日本の間違ったイメージ(フジヤマ、ゲイシャ、ミソスープ)を、今の日本人も当たり前のように持っているんでしょうねぇ。
 
 今日は、話のついでとばかりに軍艦でのメシの炊き方についても、「火じゃ炊いてない」という事を伝えてみると、案の定「だったら何で炊くんですか?」と質問されたので、「今流行のスチームなんよ」(ただし、今流行っているのはレンジに限りますが)と紹介し、その理由として「船の中で火の気はなるべく避けたいのと、当時は蒸気タービンで船を動かしていたので、スチームはナンボでもあったから」と説明したら、「な〜るほど!あったまいい」と、実に納得してもらえたのです(頭が良いのは、軍艦設計者であって、決してオレの事ではありません)。
 こういう事を知っていると、物知りのように言われる事もあるけど、何のことは無く、それを知る機会があったかどうか程度の話なのです。
 一般の軍艦がスチームで炊くのを知っているオレでも、昭和の時代の電車のワイパーが電動ではないのは、ホンの7〜8年前まで知らなかったのです。
 この事は、日本最速の法律家ブースカさんから教えてもらった時に、オレは恥ずかしい事に「電動じゃなかったら、まさか手動?」というアホな事を想像していたのです。
 いくら車のハンドルのように方向を変える操作が不要だからとはいえ、手動でワイパーを動かしているようでは運転に支障があるに決まっているのに、オレはそういう想像をしてしまったのです。
 
 真相は「空気圧」で作動させていたのです。
 軍艦のスチーム同様、電車には、圧縮空気はナンボでもあるので、これも納得な話でした。
 
P.S.
 撮影が終わって、記念館を出て、駐車場に向かっている時に、今日の同行者Xさん(Xにしときます)が妙な声をあげたのです。
 ちょっと、その時の正確な発言を憶えていないんだけど、要旨としては歩道に設置されたモニュメントを見て「これ、”せんとくん”に似ている」というような発言だったのです。
 オレも、見てみると、鹿のツノはないものの、似た雰囲気が漂っていて、横の作品名などを書いているところを見ると、何となく見覚えのある名前が…
 「これ、きっと、せんとくんの作者の作品のはずだよ。せんとくんが問題になった時に、色々調べてみると、作者の以前の作品は、ツノは無いけど、多くの作品があの顔であの体型だったから」と言って、後で調べてもらうように頼んでいたら、「やっぱり、せんとくんの作者でした」と、先ほどニュース速報?がメールで届きました。
 というわけで、一瞬で類似性を見抜いたXさんの眼力は大したものでした!
 でも、作品のプレートを指差して、見覚えがある名前だと言った時に、作者名の「薮内佐斗司」ではなく作品名の「風の童子」のほうを見ていたのはご愛嬌です(童子-Tじゃあるまいし、そんな名前はおらん…笑)
10月23日
{アナタは、どこへ行こうとしてるの}
 とまぁ、重くならない程度に…と言いながら、結構長文で書いてしまったわけなので、少し軽めのネタをお届けします。

 以前から、平成のお気楽社員(現在役職付)のTさんほどではないにせよ、去年から日誌登場回数がグングンと伸びているのが、ご存知イタリアのTさんです。
 この前の、「ピタゴラスのカップ事件」(詳細は9/18分をご覧ください)では、おもいっきり遠路はるばるビックリさせられたので、「少しは日本式でサプライズをしてやるべぇ」と考えていたのです。
 去年は、ウチの素晴らしい??対応に喜んでいただいたチップ分相当額を、そのままもらわずに、箸と箸置きを2ペア送ったけど、今度は何で驚かせようかと、普段使わない頭をフル回転して思案していたのです。

 そこで、思い出したのが、去年、オレが撮影した厳島の鳥居の夕景や花火の写真を、イタリアのTさんはいたく喜んでいたので、四季折々の写真を見てもらって、日本の季節感と、季節ごとの美に親しんでもらおうと思ったのです。
 そこでターゲットにしたのは、広島!と言いたいけど、京都。
 京都の四季を撮影した写真集を送る事にしたのです。
 ホントは、自分で撮影したモノを写真集にして送りたいけど、それはさすがに時間が許さないので、「市販されているものでゴメン」と手紙を添えました。

 もちろん、その中には春夏秋冬だけでなく、それぞれの花鳥風月も織り込まれていて、これこそ伝統ある日本という写真集です。
 それを、何も言わずに出荷商品とは別便で送っておいたのです。
 SAL便という時間がかかる出荷方法だったので、ホントは、「ええ写真集送っときましたでぇ、旦那!(みなさんが想像するヘンな写真集ではありません)」と、Tさんにメールしたいのも、ここに「ビックリさせるために送っときましたで!」とも書かずに、じっと待つことカップラーメンのように、3分間ならぬ3週間。

 ようやく届いたイタリアのTさんのメールには、ベートーヴェンの「歓喜の歌」は、これほどだったろうか?と思うくらいの喜びに満ちたメールでした。
 今は、その写真集のお気に入りの1枚を、PCの壁紙にしているそうです。(ありがたい話です)
 
 さらに、これまでの1年半は、細くもなく、しかし長く連綿と、取引が続いていたんだけど、最近、さらに何人かのお客さん(もちろんイタリア人)を紹介してくれたのです。(これまた実にありがたい話です)

 そして、この今や貴重な存在の親日派と言っても良いイタリアのTさんから、さらなるビッグニュースが寄せられました。
 それは、何とイタリアで「日本語講座」に入校したらしく、Atarashi sanとか、Makotonimousiwakegozaimasen(まことに申し訳ございません)、Nanto orei o mooshiagete yoika wakarimasen(何とお礼を申し上げて良いかわかりません)というような、今時の日本人でも使わないような美しい日本語(ただしローマ字表記)を書いてくるようになったのです。

 オレも、去年の5月にイタリアのTさんに初めて商品を出荷した時には、まさかここまでの展開になるとは思ってもみなかったので、この頃は「もう少し英語を勉強せんといかんなぁ」と思っていたんだけど、オレが英語を上達するよりも、Tさんが日本語をマスターしたほうが手っ取り早いし、確実かもしれません(笑)

 ちなみに、ウチのような場末のネットショップが、ファッションと食の国イタリアと思わぬビジネスを展開しているのが自分でも不思議でいけないのに、実は今、オーストラリアからの適合問い合わせにも対応中で、もしかすると、さらにワールドワイドになってしまうかも知れません。
 
 親日派という枠を超えて、プレゼントした箸でSushiを楽しみ、日本の四季に感動し、日本語まで学び、知日派を目指しているイタリアのTさんといい、超ドメスティックな店であり人間であるオレは、海外活動の範囲を広げていて、お互い「ホントに、どこに向かおうとしているのでしょう」
 まさに、自分でも解りません。
 アレ!?結局、長文でしたか?
 またまた反省です。
10月13日
 質問!何で日誌を更新しないんですか?」
 「ドキッ…(◎o◎)」(解る人には解るリアクションです…笑)
 というわけで、急遽、少しばかり過去に遡りながら、過去日誌を書いてみますm(__)m
 
{プロの資格}
 などと大それたテーマを論じれるような立場でもないんだけど、あまり重くなりすぎない程度に、今日、ちょっと感じた事を書いてみようと思う。
 今日は、Web制作会社と連携した仕事で出張してきました。
 それは、Web制作会社に依頼のあったクライアントのホームページの作成について、Web制作会社がデザイン全般を、そしてオレが写真撮影と、構成などについて担当依頼を受けたからなのです。
 当然、そこのWeb制作会社での内部スタッフが撮影なども行っているんだけど、今回は、色々な事情もあり、オレが引き受ける事になったのです。
 
 まず、商品撮影からのスタートだったんだけど、屋外で撮影する必要があり、しかも商品自体が大きく、表面の光沢もあるので、いかに映り込みを防ぐかというのがとても大きな命題だったのです。
 しかも、行楽には最適、でも屋外での光沢ある商品撮影では最悪と言っても過言ではないほどピーカンの天気で、普段は、撮影も生業にするオレには致命的な欠陥?である「雨男なんじゃない?」が、どれだけウソなのか実感できるほどの天気だったのです。
 幸いに、太陽が高く上がるまでの2時間の間は、何とか影の中で撮影できそうなので、「こりゃ時間との勝負じゃ」と、普段見せない集中力で撮影を続けたのです。
 特に、快晴で湿度も低い日陰というのは、皆さんも意識して撮影されていたならお気づきの方もいらっしゃる(もし、気付かれていれば、アナタは立派なマニア級です…笑)はずだけど、普通の日陰どころではないくらい、青みがかってしまい、個人的には、カラーメーターでこんな高い数値の色温度を測定した経験が無いくらいだったので、カラーメーターを持参していなければ、ちょっと自分の色の確認だけでは、そんな数値をカメラに設定するのをためらうほどでした。
 
 とりあえず、色温度を調整し、映りこみを防ぎつつ、商品の表面の形状のニュアンスを損なわないように撮影が終了し、次に、そのホームページ用の、周辺の有名な観光地などを撮影に行ったのです。
 観光地の撮影は、先ほどまでの緊張感と時間との戦い、という雰囲気とは少し違った雰囲気での撮影になったのもあって、Web制作会社のスタッフも持参したカメラで一緒に撮影していたのです。
 ある銅像を撮影している時に、オレと、そのスタッフは撮影する立ち位置が違ったのです。
 立ち位置の違いは、もちろん構図の違いになって現れるんだけど、構図が違う事自体は、何がベストと言いきれない世界だけに構わないのです。
 ただ、その時は、銅像の背景の木々の後に場違いな鉄塔が立っている事に気付いていたので、オレはその場所をあえて外して撮影していたのです。
 それを質問すると、やはり銅像に気を取られて、鉄塔の存在を全く気付いていなかったそうで、「それで新枝さんは移動したのか」と感嘆の声を漏らしていました。
 
 ま、何やかんやの撮影が終了し、データを持ち帰って一緒に画像チェックを行った時の会話を少し紹介するとこうなるのです。
スタッフ「これどうです?」
オレ「同じアングルでオレが撮影した写真と比較してみればよく解るはずですよ」
 
その写真は、とっても鮮やかな建物なんだけど、スタッフの撮影した画像は、ヒサシなどで影になる部分が非常に暗くくすんだ赤なのに対して、オレの撮った画像は、それが無く、かといって背景の青空も飛んだような色調になっていなかったのと、建物の上部に向かって出ているひずみも小さかったのです。
 
スタッフ「これは露出が違うという事ですか?」
オレ「露出の問題もあるけど、それだけでじゃなくて、色々な条件を総合的に配慮するというのがとっても重要だし、何よりも機材のクセや特徴をどれだけ理解しているかがポイントになる」
スタッフ「そういうことか〜」
 
 本当に、その一言で「そういうこと」がどういう事なのか理解してもらったとは思っていないけど、プロとアマの違いは、ある意味「それで報酬を得るかどうか」というモノサシがあっても良いとは思うけど、趣味と仕事の違いは、「どこまで色々な点を配慮して、その状況の中でのベストを尽くせるかどうか」だと考えているのです。
 そして、「誰に、何を、どのように」というマーケティングの基本的な発想が必要なのも、仕事として撮影を引き受けるときの重要なテーマだと考えています。
 よく見かける話だけど、依頼されたカメラマンが、その仕事を通じて「自己表現」に終始している写真が少なくないのです。
 もちろん、その感性を評価されて、そういう表現を期待されている仕事であれば、問題ないどころか賞賛されるべき事です。
 ところが、そういう要望ではない場合は、その芸術的な感性を盛り込んだ撮影では、本来の「誰に(その写真を目にする人)」対して、望ましい写真にならない事も多いのです。
 例えば、短時間で数枚の画像が入れ替わるフラッシュ用の画像の場合、読者にためには、まず使用されている画像の被写体が認知しやすい事が大切です。
 そのためには、一目で見て、そのエリアの観光地もしくは構造物である事が判断しやすい被写体や撮影アングルを用いる必要があり、それはある意味平凡な構図になる場合もあるのです。
 
 ところが、撮影する側としては、その画像だけを見て「へぇ〜うまいですねぇ」と言われたいという気持ちが強いと、優先するべき条件より、そういう事ばかり気になってしまうので、知っている人間が、写真として見れば評価の高くなりそうな写真を撮ろうとしがちなのです。
 
 でも、それは「誰のための」「何のために」を考えると、的外れな事も多いので、こういうカメラマンとしての欲望を抑えつつ、本来の目的のためにはどういう撮影をするべきかを考える事ができるのが、仕事として引き受けるカメラマンに必要な資質という事もできるのです。
 
 もう1つ付け加えると、「観光地の撮影の時、あなたが撮影をするテンポに比べて、オレの撮影テンポは比較にならないほど早かったでしょ? それは、露出などの判断や操作が早いというだけでなく、何のために撮影するかという理由やイメージが事前に出来上がっているからで、プロは、手を抜いてはいけないけど、時間がかかってもダメなんですよ。時間が必要以上にかかると、それは結局そのコストをお客さんが負担する事になるんです。」
 そういう内容を、スタッフに伝えると「やっぱり奥が深いんだなぁ」と言ってたけど、表面的なマネだけで何とかなるなら専門家なんて不要なのだと伝えて、「だから、低コストのWeb作成はともかく、ちゃんと作るときには、何でも自分でやろうとせずに、自分の責任を持って担える守備範囲に集中する事が大切なんですよ」と伝え、補足で「だから、オレもホームページを作れるからと言っても、ウチのホームページを見てもらえば解るように、デザインが下手だから、仕事を他社のWeb作成を引き受けたりしないでしょ!?」というと、それには、その日最高の納得を得られたようです(爆)
 確かに、ウチのサイトのデザインは、もうちょっと何とかせにゃならんと思っているし、自分のところだからと横着をしているけど、その点だけ激しく賛同されてもねぇ(笑)
 最後に、少し反省の日誌でした。
10月12日
 昨日報道されたので、皆さんもご存知だとは思うけど、アメリカ生産第1位と第3位のGMとクライスラーが合併を模索している事が明らかにされた。
 さらに、その間に挟まっている第2位のフォードが、マツダの株式を売却して、設備投資やリストラの原資に充てる事がほぼ本決まりになってきたという話も同時に飛び込んできたのです。
 1位と3位の合併や、フォードの今回の動きなど、10年以上も前から世界的再編と言われている自動車業界も、ついに「何がなんやら、ワケのわからん状態」に突入してきた観がありそうです。
 マツダの株式売却については、すでに数年前から水面下でささやかれていて、その件でオレと話をした人なら、「そういえば、ヨタ話のついでに、そんな話をしとった」と思い出した方も多いと思うのです。
 現在、フォードはマツダの1/3の株式を保有していて、もちろん筆頭株主なのはご存知のとおりで、あえて過半数の株式を保有して子会社化せずに、最小の投資で最大の効果を挙げるべく「戦略的アライアンス」的な関係を築いているのは、「日本と違って、ホンマに効率優先とリスクの分散やなぁ」と、オレもある意味感心していたのです。
 今回の株式売却で、マツダとの関係、そしてマツダがどうなるのか?という今後に大変関心が集まっているけど、フォード曰く「マツダとの提携関係は今後も変わりは無い」というのは、おそらく中期的にはそのとおりになるはずです。
 それは、マツダへの誠実な態度の表れという意味ではなく、フォードが本来開発するべき小型エンジンや小型プラットフォームを資本の効率を良くする目的に、マツダに委託しているのを、現在の危機的状況のフォードがわざわざ自社開発にするわけがないという点にあるのです。(要するに、目先の現ナマだけが欲しかったワケです)
 また、マツダとしても、資本関係が少し薄れたからと言って、筆頭株主のままである事は変わりないし、マツダが倒産しなかった大きな理由である、フォードからの仕事を、わざわざ放棄する合理的な理由なんてないからです。
 ただ、問題は現在言われている株式の売却先である住友商事やマツダ(自己資本に)が、財務的な事情で買い入れ困難になった場合に、どこが買い取るかによっては、話が大きく変わってくるので、これは注意深く見守る事が必要なのです。
 それは、株式を保有する事で、マツダや、その延長線上にフォード関連の仕事を取れる(もしくは増やせる)という意味でのメリットを感じての取得だけとは限らないからなのです。
 具体的には言わないけど、ライバルのウィークポイント(フォードとしては、資本関係が無くても、今は実態として手放したくないマツダ)を、攻略するのが、1つの戦略だからです。
 要するに、フォードとマツダを遮断すると、どこがメリットがあるか考えてみれば、皆さんも「おぉ!そうか」と気付かれる事で、何も自動車業界だけでなく、今の日本の政界でも同じような暗闘が繰り広げられています。
 
 とまぁ、めずらしくマトモな日誌を書いてしまったので、知恵熱が出そう(笑)
10月10日
{ニセ標識問題}
 車を運転する皆さんにとって、他人事じゃない(止まれ)のニセ標識で検挙された件です。
 ニュースでは、事実関係しか報道されていないけど、きっとその交差点の安全性を危惧しただれかが、スーパーの駐車場などに設置する「止まれ」看板を購入して取り付けたに違いないという気がします。
 検挙された6名の中の1人が、警察に「道路にも”止まれ”の表示をしてもらったほうが解りやすい」と連絡したのが契機になって、警察側が調べてみると、規制標識を設置している場所でなかった事が発覚したという事になっていたけど、法令まではチェックしていないものの、オレの短い人生!?では、止まれ標識と道路への表示はセットになっていて、非舗装道路でない限りは表示されているので、取締りの警官が気付かなかったというのは、ちょっとお寒い話ではあります。
 何しろ、この事件が発覚した直後に、近隣住民へのインタビューで「道路に表示が無かったのでおかしいと思っていた」という女性のコメントが寄せられていたけど、これぞまさしく一般人の感覚のほうが正しいという事です。(どの業界もプロは時として、思い込みによって判断を誤ります)
 
 ちなみに、道路標識が本物かどうかは、今回のようにサイズ(本物より小さかったらしい)で確認しなくても、すぐに確認できます。
 それは、標識の裏側に「公安委員会」の指定したステッカーが貼ってあれば本物、貼ってなければ偽者か、新たに規制するために設置したが、まだ効力を発していない状態の看板で、まだ効力を発揮してはいけない段階(公安委員会のステッカーが貼っていない)の看板でも取り締まったと問題になった事が近年、ウチの隣県の警察でもありました。
 皆さんも、是非ウラを見てみましょう!
 でも、その前に、前(運転時の見張りの事)を見てください。
 
{M2}
 もちろんBMWの車種ではありません。
 我らがジャイアンツのまさにミラクルな追撃で、ついにマジック2が点灯しました。
 メイクミラクルを経験したオレでも、完全に諦めていたのに、こんな状況になるなんて、まさに掛布サン曰く、「ペナントッて、やはり長いですねぇ」です。
 このメイクレジェンド問題は、オレが講義に行く学校でも話題になっていて、オレは広島生まれの巨人ファンという掟破りな人間である事を知っている学生が1ヶ月くらい前から何かと振ってくる話題だったのです。
 でも、先々週(だったかな?)の「阪神3連戦を3タテすれば、何とか絡める可能性があり、そうでなければ無理」と、具体的な理由を挙げて説明していたんだけど、先週末に彼らと話す機会があった時に「ホンマに先生の言ったとおりになったねぇ」と感心してました。
 「だって、オレがカープの事について色々言った事だって、世間ではそう認識されていない事が多かったけど、そのとおりになったやろ?」というと、「さすがマネジメントの先生じゃね」と言ってましたが、マネジメントを教えている事に関係があるかどうかは別として、個人的にはクライマックス・シーズンみたいな、最後に1年の努力をフイにしてしまうような安物のドラマには関心がないので、是が非でも本来の優勝を願いたいものです!
 でも、阪神ファンのみなさんごめんなさいm(__)m
10月1日
{サプライズは誰でも弱い…オレも同じ!?}
 特に女性にとって、病み付きになる1つがサプライズだと思う。
 そして、今日、オレは3ヶ月クールの講義の最終回を迎えたのです。
 今日、受講される皆さんが発表する内容にコメントしながら、サプライズの大切さ、そして、その場でアレンジできるのは、実力がちゃんと身についていないとできない事など、色々なポイントを紹介したのです。
 そして、3時間で17名の方の発表を聞き、ポイント解説をし終わり、最後の挨拶をしていると、何と受講生の皆さんからサプライズなプレゼントがあったのです。
 それは、受講生全員の写真(と言っても集合写真ではなく、それぞれの方の写真)と講義風景などが撮影された写真をミニアルバムに収めたものだったのです。
 そういえば、講義の前々回くらいから、休憩時間にカメラのストロボが教室内で光ったり、今日も発表中に撮影していたりしてたけど、まさかそれがこのサプライズのためだったなんで、本当に想像すらしていませんでした。
 受講した皆さんに、お礼を言って帰路に着いて、本業に驀進?したんだけど、夜になって、ちょっと時間がとれたので、そのアルバムを開いてみると、写真だけだと思っていたアルバムの終わり部分に、何と皆さん個々のメッセージを書いてもらっていたのです。
 まさか、メッセージまであったとは、ダブルのサプライズだけど、それについてお礼を言ってなかったのが実に心残りでした。
 きっと、1人や2人は、ここを見ているかも知れないので、受講された方の中で、この脱線日誌を読まれたからは、新枝が実に寄せ書き部分に感謝・感動していたと皆さんに伝えておいてくださいね☆
9月18日 {ピタゴラスのカップ}
 コンサルティングのために祝日から出張し、深夜戻ったかと思うと夜明け前から起きて、今度は講義に出かけるという、おおむね毎月1度ある、恐怖の睡眠不足3連発をようやく乗り切り、色々な雑務を片付けていると、国際郵便が届いたのです。
 もう、日誌をお読みいただいている方には有名人になっているイタリアのTさん(広島のお気楽社員Tさんとは似ても似つかぬ生粋のイタリア人)から、バカンスのお土産が届いたのです。
 早いもので、去年の5月に取引が始まって以来、ミスターTさんには、20回を超える注文と、英文メールでのやりとりに悪戦苦闘しながらも、海外への出荷をしている超常連のお客さんになっていただいてるだけでなく、去年も今年も、バカンスの滞在先の土産をわざわざ送ってきてもらったのです。
 今年は、陶器でできた妙なデザインのカップで、説明書(もちろん日本語ではなく、英語とイタリア語)をチラ見すると、「WINEがあ〜たら、こ〜たら」と書かれていたのです。
 妙というのは、外観はカップと言ってもおかしくないデザインではあるものの、中にシャブシャブの鍋の中央に突き出したような突起があるのです。
 「これで温度を調整でもするんかいな」と思いながら、ちょっとワインをなみなみと注いでいくと、突然カップの下からワインが流れ出したのです。
 
 「わぁ!なんじゃこりゃ?」と思いながら、慌ててこぼれたワインをふき取って、グラスを覗くと、そのシャブシャブ突起の根元に穴が開いているのです。
 そして、カップをひっくり返して裏側を見ると、これまた穴が開いているのです。
 「こりゃ不良品か?」と思いながらも、どう見ても亀裂で穴が開いているような感じではなかったので、「これは、イタリアンTさんの一流のユーモアで、注げないグラスをプレゼントして、酒を飲みすぎるなというメッセージなのか?」と思いながら、改めて説明書を読むと、紀元前530年にサモス島出身のピタゴラスが発明?したグラスなんだそうです。
 中央の突起とほぼ同じ高さにゴールドのラインが引かれていて、その高さまでなら注いでも中身がこぼれる事は無いのに、それ以上に少しでも注げば、全て抜けてしまうというシロモノなんだそうです。
 
 改めて、おっかなびっくりちょろちょろと注いでみると、確かにラインまではぜ〜んぜんこぼれず、ラインを越すと、全てが抜けてしまうのです。
 どうも、突起の中が二重構造になっていて、圧力差によって、ラインより低い場合はこぼれないみたいだけど、さすが世界の頭脳、詰まらん事にも、これだけの叡智を注いで開発しているそのピタゴラスの凄さにビックリでした。
 
 何か、オレもプレゼントを返そうと思っています。
 
{ジュセリーノ}
 13日の地震、サクッと外れましたね〜。
 ブラジルかどっかの人らしいので、時差を19時間程度見て、「14日の夕方までは執行猶予にしとこうかな?」と思いながら様子見したけど、幸いな事に東海地方も中国も地震は無かったのは、皆さんもご存知のとおり。
 と、思っていたら、今日のゴールデンでジュセリーノも含めたそういう番組をやっていたそうです。
 90%以上の驚異の的中率という”うたい文句”らしいけど、ちょっと出張の合間に調べてみると、少なくとも、最近出版され話題になって以降の予知は、かなり的中率が低いように感じます。(とても90%とは思えないくらいの打率以下の低さ)
 これって、ちょっと気になりませんか?
 まぁ、時間が全てを語る事にはなるんだけど。
9月11日
{本の読み方}
 この日誌を読んでいただいている方の比較的多くの方は、経済に関する記事や本にも関心を抱いている方だと思うのです。
 オレも他の仕事の関係もあって、そういう記事には当然関心を持っているんだけど、日本の評論家やエコノミストが書く本や記事は、その時にはマスコミに大きく取り上げられる反面、未来予測に関しての後日の検証は、あまりなされていないように感じているのです。
 そのために、地道な検証を重ねながら、1つの見解を導き出している方の意見よりも、その時にセンセーショナルな取り上げ方ができそうなネタのほうが評判を呼び、そういうネタを述べている評論家のほうが人気だったりする事が多いのは、きっと賢明な皆さんであれば、なんとなくお気づきだと思うのです。
 それは、経済に限った話ではなく、軍事、外交、北朝鮮問題でも同じで、後日改めて検証してみると、実に的確に予測している方と、全くデタラメと言ってもオーバーじゃない失格者もはっきりするものなのです。
 そして、そういう検証を行わないために、外れ続けているのに、いつまでもマスコミに重用されているインチキ評論家は、どんどん仕事が盛況になり、その反面、的確だけど地味な言い回しをする評論家は、知らないうちに遠ざけられているという悲しい現状も少なくないのです。
 
 さて、ここからが今日の本題だけど、去年話題になったジュセリーノという予言者がいます。
 その著作「ジュセリーノ未来予知ノート」はベストセラーにもなったので、お読みになられた方も少なくないと思うのです。
 この人の予言では明後日9/13に東海地方に大地震が発生する事になっているのです。
 経済の予測などと違って、「当時の状況と環境要因が変わったから、時期や内容に変化が生じたので、外れたわけではない」というような言い訳はできないという、時間の経過でキッチリと検証されてしまうという、ある意味最も厳しい評価を受ける事になる予言者という職業?では、すぐに検証できるごく近い未来について記述するのは、それだけリアルなので反響が大きく、収益も大きい反面、すぐに検証できるので外れると、社会的ポジションを失ってしまう可能性が高い、ハイリスク・ハイリターンの世界とも言えるので、それを踏まえて、そういう著作を発表するのは、一か八かの目先の金儲け狙いか、確固たる自信があるためかは、幸か不幸か間もなく検証できるわけです。
 
 そうは言っても、予言内容が災害なので、仮に不幸にも的中したからと言って「素晴らしい!」とは言いにくい明後日の地震なので、せめてその地域の皆さんは、万一地震が発生しても、少しでも被害が小さくなるように、色々な準備をしておいてください。
 
[地震と旧暦]
 オレが一応ハイテクの塊の車に関する仕事をしているイメージに似つかわしく、旧暦を重視している事は、周囲の方や講義を受けた方はご存知のはずだけど、実は地震も旧暦とは無関係ではないのです。
 旧暦というより月齢というほうが正確な表現だけど、いわゆる大地震と言われている地震の発生日を調べると、まんべんなく分散して発生しているのではなく、かなり偏った月齢で発生しているのです。
 特に、新月と満月を中心とした前後では、その頻度はとても高く、月齢も朝9時の時点で13.17日(一応満月が15日)で、満月の直前なので、なおさら9月13日という予言は、信憑性がゼロとは言えない部分があるのです。
 ちなみに、当日9月13日は、ウチに「平成のお気楽社員”現在役職付”」のTさんが勉強とヨタ話のためにやってきます。
 ジュセリーノの予言が外れても、ウチにTさんの激震が走るのだけは、おそらく間違いないような気がします。
9月2日
 今週の流行語大賞は「アナタと違うんです!」だそうです。
 まさか首相辞任時に大賞をゲットするなんて…
 
 昨夜、写真教室に赴くときに、広島市内では、とんでもない人数の警察官がウロウロしていたのです(警戒しているというのが正しい表現でした)
 今回、総裁選に出そうな某元大臣の名言「車の数より、横切るクマの数のほうが多い道路」じゃないけど、明らかにその区間の歩行者よりも警察官のほうが多かったのです。
 そういえば、明日がG8下院議長会議が市内であるので、きっと前日に広島に乗り込む際の警備なんだろうと思いながら教室に到着し、写真教室を終えて、「明日の全国ニュースはG8下院議長ネタで決定」だろうと思いながら帰りTVを点けたその瞬間、紺色のカーテンの前で総理がしゃべっているを見て、事情がつかめなかったものの「ま、まさか?」と思っていたら、なんとビンゴで、辞任会見でした。
 G8議長会議なんて、全国ニュースでは完全に消し飛んでいて、広島でも地方ニュースの時間にちょっと報道されただけでした。
 まさか河野議長、全国ネットで取り上げてもらえないなんて思わなかったろうなぁ。
 
 TVなどでは、ここのところ解散総選挙の日程が噂されていたけど、その日程はまだ少し先の話ばかりだったのは、みなさんもご覧になったとおりです。
 ところが、数少ない意見の持ち主が、総裁選は極めて近いという事、総裁選には4人が立候補すると確定できそうだという事を、熱く語っていた人物がいるのです。
 この人、「青山繁晴」という人物で、あまり東京のキー局には登場しない(テレ朝のTVタックルには、たまに出る)けど、以前から解説の内容は、実に深く、鋭く切り取って解説している方なのです。
 でも、あまりにも鋭いためか、東京キー局ではあまりお呼びがかからないのが残念だけど、さすが体裁よりも中身を重んじる大阪TV局では、ニュースの解説コーナーを持たれているので、オレは毎週大阪に行って!というのは冗談で、取り寄せて見ているんだけど、今回の事態が極めて近い事を先週シッカリと予言していました(恐るべし)
 
 関東圏の皆さんにとって、関西というのは文化的に肌が合わない方も多いかも知れないけど、東京キー局が、政界へ遠慮しながらチュウハイみたいな薄め方で報道しているのに対して、関西の一部ニュース番組(ニュースコーナー)では、ストレート勝負みたいな内容がよく含まれています。
 関東発信のニュースは、全国一律で見る事ができるけど、関西発信のこういったニュースは、残念ながら関東では見る事ができません。
 時事ネタの情報バラエティにしても同じで、「たかじんのそこまで言って委員会」は、出演者のホンネトーク爆裂で、普段(東京キー局番組)は模範解答を繰り広げている政治家も、「まさかそんな発言まで」というようなコメントを連発しているのです。
 この番組、当初は関西のみでスタートしたのが、あまりにも公表で、まさに周辺地域まで口コミで広がったのか、徐々に周辺地域を制圧し始め、今では、関東以外のかなりの全国的地域では見れるのに、関東エリアだけは見る事ができず、関東在住の方は、唯一ダイジェスト版DVDを購入する事で、その願いを果たす事ができるようです。
 この、関西と関東の逆デバイドは、他の分野では珍しいものの、青山繁晴の鋭い解説も、やしきたかじんが委員長を務める「そこまで言って委員会」も、なかなかの見ごたえがあるので、是非文化的色合いが違うものの、出張などで関西に来られた際には、是非チェックしてみてください。
8月18日
 盆休みも終わって、みなさんいかがですか??
 盆休みに疲れきって、仕事に身が入りそうにない方、盆休みにあまりにもグータラし過ぎて、これまた仕事に身が入りそうにない方など、どちらにしても、「ようやく仕事ができるので、楽しくてしょうがない」という方は少数派かも知れません(笑)
 オレも、ご他聞に漏れず、朝から夜まで墓参りのはしごツアーを繰り広げたり、昼間っからスパークリングワインと映画でノンビリしたりと色々な日を過ごしたんだけ
ど、今日は朝から不具合車両の診断から始まって、夜の写真教室まで、先日の心理テストみたいに「七転八倒」の1日でした。

{ハイブリッドの問題点}
 昨日(だったかな?)、イギリスのロータスがハイブリッドカーに搭載するシステムに、模擬エンジン音を装備するという話が報道されたのをご存知の方も多いと思うのです。
 これは、日本でも初代プリウスがデビューした直後から問題点として指摘されていたんだけど、エンジンが停止してモーターだけで走行しているモードでは、静かなために生活道路を走行中に、車を目視していない歩行者などが、「車の接近に気づきにくいので危険なのではないか?」という事なのです。
 そこで、エンジン音に似た音を車外に発する事で注意を喚起しようという考えのようなのです。

 「安全対策」という趣旨には賛成だけど、わざわざエンジン音を模す装置を用意しなくても、モーターを制御するインバーターのノイズを押さえ込まなければ、同じような効果が発生するんじゃないかなぁ〜というのが個人的な印象です。
 電車通勤されている方ならお気づきの方も少なくないと思うんだけど、電車が駅に停車もしくは発車する際の加減速で「ひゅ〜ん、ひゅ〜ん」というように、音階も変化しながら妙な音を電車が発しているのは、インバーターのノイズなのです。
 これは、最近の電車に標準化されている交流モーターを制御するために、電圧と制御周波数をコントロールする際に、そういうノイズが聞こえるのです。
 そして、交流モーターが装備され始めた平成の初めと違い、そのノイズはかなり小さくなってきたんだけど、そのノイズ対策を少し緩めれば、特に低速時にはそういうノイズが聞こえるので、十分に車の接近に気付けるはずなのです。
 高速走行時には、高い周波数の小さな連続音になるんだけど、特にハイブリッド車の接近に気付けなくて、接触事故を起こすケースは、生活道路の低速走行中に限られる事が多いので、ノイズを流用すればいいのでは?という気がしているのです。
 ところで、ハイブリッド車に搭載されているモーターは、直流モーターじゃないですよね??
8月11日 ここ数日で記憶に残る事件2つ
{まずはプロローグ}
 ネットショップでありながら、修理にも対応して東奔西走しているのは、日誌をお読みの方ならご存知のとおりで、「日誌読んでいると普通のショップより行動範囲が広いんじゃないか?」という疑問も、きっと「あながち間違いとは言えません」と答えるのが正しいはずだと自覚も多少はあるのです。
 その日々の修理対応の中には、時間とともに記憶が薄れるケースがある反面、「絶対に忘れんやろうなぁ〜」と思うケースも少なくないのです。
 そのNEVER FOGETな事件の中で、ここ数日の特選2つを紹介します。
 
{1件目は、ご存知?トラブルメーカーのS君}
 主人公は、古くから日誌に時折登場して、奇想天外な行動や判断で、いつもビックリさせられたり爆笑の渦に巻き込むS君です。(日誌のS君がすべて、この主人公とは限りませんので念のため)
 そのS君、先日車を走行させていると、オーバーヒートインジケーターが点灯したそうです。
 S君の今の車には、水温計が無いのでインジケーターの点灯によってしか異常は確認できないんだけど、それが点灯したので、プチ・カーマニアを自認するS君はオーバーヒートだと気付き、とりあえずエンジンを切ってしばらく冷ましたらしい。
 まぁ、この処置自体も、本当は模範解答ではないものの、一般の人であれば、そういう対処をするのは不思議ではないのです。
 その後、数日後に渋滞にかかったときに、また点灯したらしく、「これはいかん!」と思って、ウチに電話してきたのです。
 そこで、まずチェックするべき項目として、冷却水の量(リザーブタンクの量ではありません)、電動ファンの作動、ヒーターが効くかなどを確認したのです。(サーモスタットもチェックするべきだけど、ユーザーが確認するのは無理)
 冷却水は、熱い時に確認するのは、サンデーメカニックを自認されている皆さんであればご存知のとおり、ラジエター内の圧力を逃がしてからキャップを開けないと危険なので、その事を伝えると「それくらい、もちろん判っているよ」と自信溢れる回答だったのです。
 そして、S君曰く「念のためにペットボトル数本分の水を用意しとく」というので、「えらく慎重で用心深いし、なかなかよく解ってきたなぁ」と感心していたのです。
 でも、いつもの予想外な行動が脳裏をよぎったので、念のためにチェック入れてみたところ「またオーバーヒート気味になったら、エンジンに直接水をかけて冷やすために用意する」んだそうです(決してマネしないでください)
 「そんな事したら、ひずんでないエンジンもひずんでしまうどころか、ブロックに亀裂さえも入りかねないでぇ」というと、「え!そうなん?」とビックリしていました。
 それを聞いたオレのほうがビックリなのは言うまでもありません。
 ちなみに、残念な事に、結果としてはオーバーヒートでヘッドがひずんでしまっているようでしたが、S君は久々に日誌に登場した事を喜ぶかも知れません。
 
{続く2件目}
 皆さんは、女のコの誕生日の夜に、そのコの家には、どういう目的で行きますか?
 あんまりヘンな妄想をしてはいけません!
 そのコは、いつも笑顔を絶やさない、「自然と周囲の人の気持ちをほぐす雰囲気」の持ち主で、オレも日頃の現代社会での疲労?が、なぜか吹き飛ばされる経験をしている貴重な存在だと思っているんだけど、そのコの誕生日を、ある事で知ったので、「これはやはりサプライズをかましておかねば!」といつものビックリさせたがる悪いクセが頭をもたげたのです。
 まぁ、大した事ではなく、サプライズで「祝バースデー」メールを送るだけに過ぎないのです。
 そんなちっちゃなサプライズも、今のご時勢、相手によってはまずい展開になりかねないので、小心者のオレとしては、実は送るまでちょっと迷っていたのです。
 というのも、自分の誕生日を知らないはずの相手からバースデーメールが届くのは、ビックリではあるものの、今のように個人情報が”ど〜たらかぁ〜たら”というご時勢では、「何この人!?何で私の誕生日知ってるの?」という展開になりかねないのは、皆さんも想像できますよね?(要は信頼関係が築けているかどうかが問題という事です)
 結局送った直後に、「ビックリしつつも、めっちゃ喜んでくれた」ので、まずは成功だったんだけど、そのコから、夜に「車を駐車場に入れていたら右側のテールランプが点いてないみたいだけど、どうすればいいですか?」と連絡があったのです。
 ”テールランプ=後の赤いスモールランプ”と、普通に想像したオレは「片側だし、球切れかなぁ」と、これまたセオリーどおりの事を頭に浮かべながら話を聞いていたんだけど、「オレンジ色の」という話や「もしかして白かも?」という話の流れから、「こりゃ、実際に見たほうが間違いないわ」と思い、近所でもあるので直接見に行ったのです。
 行ってみて、早速灯火関連のチェック(きっと皆さんはやっていない…はずの運行前点検のチェックみたいな事)をしてみると、すべて良好に点灯しているのです。
 でも、電球が切れるチョイ前というのは、振動で点灯したりしなかったりすることもあるので、ちょっと軽く叩いてみても、何の異常もないのです。
 そこで、今度はオレが運転席に座って操作し、そのコに後に立ってもらって灯火チェックをすると、「あれ〜??…もしかして」と、それまでのニュアンスとは違ったトーンの語り口になったのです。
 そこで、一緒に後に立ち、ライトを当てて話をしてみると「バックする時の白いランプは、もしかして1個だけですか?」というのです。
 もちろん、そういう仕様でナンバーの左側にしか無い車なので「ウン、そうだよ」というと、「すみませ〜ん、てっきり右にもあると思っていて、左側しか点灯してないので故障かと思ったみたいです」と、申し訳なさ100万倍みたいな雰囲気になったのです。
 これまでも、故障ではない故障に出動した事は、数限りなくあるし、故障でなかったのは幸いなので、オレとしては問題ないんだけど、「そりゃ、”付いてない”ものは”点くわけない”よ〜」と、大笑いになったんだけど、盛んに恐縮していたので、「今日は、(誕生日メールで)サプライズに始まって、(ランプ点かない事件という)ハプニングに終わった日じゃね」と、軽〜くジャブをかませてみたら「ホントですねぇ。忘れられない誕生日になりましたよ」というので「オレもきっと忘れない誕生日になる」と笑わせておきました。
 「どうせ誕生日に顔を合わせるんだったら、サプライズメールじゃなくて、プチ・プレゼントくらい用意しとけば良かったなぁ」と、先の読めないオレは、ビックリさせる作戦の甘さを悔いたんだけど、まぁ、直接「おめでとう」が言えたのは良かったのかも知れません。
 というワケで、「女のコの誕生日の夜に、そのコの家には、どういう目的で行きますか?」という質問に対する、オレの回答は「故障ではない故障をチェックしに行って、笑わせて帰った」でした(爆)
8月5日
 唐突ですが、みなさんは、「憶えてますか?」という一文のあるメールを受け取ったら、どう反応しますか?
 意味なくワクワクする人、胸に手を当てて「ドキっ!」とする人(笑)など、反応は色々だと思うけど、実はオレには、時々そういう一文が含まれているメールが届きます。
 もちろん、スパムではなく真っ当なメールなんだけど、今日届いたメールには、普段以上にビックリさせられたのです。
 それは、5年前に卒業した専門学校の教え子からのメールで、なんと、そのコのお父さんのリサイタルが広島で開催されるので、その話だったのです。
 そのコの事を憶えていたかというと、もちろん今でもちゃーんと顔も浮かぶし、卒業前の色々な出来事や、卒業後に就職が決まって、嬉しさのあまりに真っ先にオレに報告しようとして、チャリを漕ぎながら、凄いテンションで電話してきて、危うく車と接触事故を起こしかけたとか、オレが街中を歩いていると、大きな声で「せんせ〜い!」と呼んでいる声が聞こえたものの、他に先生と呼ばれる人はナンボでも歩いているだろうと、そのまま振り返らずに歩いていると「あ・た・ら・し せんせ〜い!!」と特定され、マッハで駆け寄ってきたので、周囲の注目をガッツリ集めた事など、本当に色々な事を思い出せるコだったのです。
 でも、在学中も卒業式後の飲み会でも、相当色々な話をしたけど、お父さんがプロのギタリストだというのは全く知らなかったのです。
 しかも、日本でTVにも出演し、海外でも活躍している方だなんて、知らなかったとは言え、大変な失礼だなぁと、恐縮しつつも、広島で初めてのリサイタルだそうなので、「ならウチのHPでも紹介しとくわ」と約束したので、ここで紹介させていただきます。
 
プロギタリスト門脇康一さん(アコースティックギター)
広島では10月1日(水)
場所 広島市東区民文化センター
19:00開演
一般3000円 小中高生1500円(当日各500円増し)
 
 ちなみに、広島以外で興味をお持ちの皆さんも、もちろん各所でリサイタルをされているので、他の地域の予定やプロフィールは「こちら」の門脇康一さんのホームページをご覧ください。
 
 しかし、ホンマにビックリしたわぁ。
7月31日
 振り返ってみれば、今月はまったく日誌にアップしていなかったので、ガケップチ更新という事で、慌てて書いています(笑)
 今日、ここ数年担当している講座の最終講義を終えたのです。
 そして、いつも、この最終講義は、受講者各自の研究発表をしてもらい、その内容についてコメントするという、個人的には20人分のぶっつけ本番という、そこいらの生放送よりも緊張する講義なのは、以前触れた事もあるので、ご記憶の方もいらっしゃるかも知れない。
 そして、最終日にいつも感じるのは、ようやくそれぞれの受講者のキャラも理解できるようになり、個別にも深〜い話ができるようになったのに、そこでジ・エンドというのは、いつも一抹の寂しさを感じるのです。
 まぁ、それがオレの「お役目」と言えばそれまでだし、多分、その中の何人かは、今後も関わりがあるんだろうとは思うけど、個人的希望を言えば、もう少し長期的な関わりができる仕事であれば…というのは、いつも感じています。
 
 その最終講義後の雑談の中で、「先生!四文字熟語を2つ思い浮かべてください」と言われたので、オレには似つかわしいけど、不撓不屈七転八倒を挙げてみたのです。
 これが何かの心理テストみたいなものだろうとは思ってはいたけど、「それぞれにどういう意味があるん?」って聞いてみたら、ニヤニヤしながら「1つ目は生きていく上での、価値観・人生観のようなものです」と言うのです。
 すると、「オレの信条は不撓不屈なの?なんだかかっこいい話じゃん」と、ちょっと喜んだのです(単純!)
 「で、2番目は?」と聞いてみると、みなさん何だと思いますか??
 「先生の恋愛の実態」なんだそうです。
 なんと「七転八倒」なんだそうです(爆)
 そんな事なら、せめて「七転び八起き」にしとくんだった(涙)
 だって、同じ数字を使っているのに、七転八倒だと、起き上がる事すらナイもんね…
 え!?「七転び八起き」は四文字熟語じゃないって??
 ごもっともで。
6月27日
 今年度から雑誌の編集部での撮影技術のスキルアップなどの役割を担っている話は日誌でも取り上げたけど、その初回の雑誌がようやく発行されました。
 この雑誌は季刊誌のため、取材スパンが長く、まだオレが関わっていない記事や特集もあるし、基本を学んでもらっている最中の撮影もあるので、もちろん問題点は少なくない。
 しかし、発行のかなり前から、取材の撮影結果を元に、色々な撮影技術や技法を教え、場合によっては、締め切りぎりぎりに撮り直しも敢行するなど、今まで結果(製本されて書店に並んだ段階)だけしか見ていなかった単なる読者的立場だったオレとしては、事前の水面下での七転八倒・悪戦苦闘を非常に感慨深く思うのです。
 個人的には、ものづくりの現場と、それに関わる人たちの努力と苦悩、そして仕事への魂を込める姿は、とても大好きなので、雑誌の編集に関しても、これだけの心血が注がれているという事を実感できたのは、実に有意義なのです。
 特に、この仕事を引き受けてから判ったことだけど、オレが今までに教えた写真教室の受講生の方々に、意外と多くの愛読者が存在していたこの雑誌を、改めて「写真好きの人には、やはり惹かれるものがある雑誌なんだなぁ」と再認識し、その人たちをがっかりさせないために、黒子としてのオレが努力をしなければと、できあがった誌面を見て感じたのです。

 カメラ好きの方であれば、何度か実感されているとは思うけど、なんとなく風景とか記念写真的な撮影ならともかく、お店の店内や珠玉の料理などを雰囲気を含めて撮影するのは意外と難しく、単なる露出の問題だけでなく、様々な制約の中で、どう表現するかは、いつも撮影者も頭を悩ませている事なのです。
 しかし、画像を処理するデザイナーとの連携を密にして、撮影時に何を優先して、何をデザイナーに委ねるかというそれぞれの特性を活かした役割分担を行うことで、お互いが意味のない苦労を回避できた分だけ、効果的な時間を費やして、より雰囲気を伝えやすい写真を撮れるようになればというのが、オレのこの仕事での願いです。
 カメラマンは、被写体が目の前にあり、その周辺の状況も理解しているので、つい、最も伝えたい部分に関心が偏ってしいがちだけど、そうではなく、読者の目の代わりになるという、最も大切な視点を持ち続けて、よりよい雑誌を提供できる一助になるように、今後も努力していこうと思います。
6月9日
 皆さん、たくさんのバースデーメールをいただきありがとうございます。
 オレも正直なところ、今後は1つずつ歳を減らしたい気分の年齢にはなりつつあるけど、いつまでも忘れずに祝ってくれる老若男女の仲間が居てくれるのは、何よりもありがたいことです。
 今年の誕生日は思いっきり腹いっぱいになり(ちなみに、大阪粉もんシリーズで腹いっぱいになりました…笑)、とっても睡眠不足になったけど、久しぶりに思い出深い誕生日になったのは、最も近くに居てくれた人のおかげでもあります。
 感謝!
5月30日 一人だけの卒業式
 個人的には、卒業式への臨席があるのは毎年の恒例行事の1つになって久しい事です。

 今年も当然のように臨席し、その後の謝恩パーティーでオレのいつもの卒業メッセージで何人も涙を流したんだけど、今日は、そういった盛況な卒業式ではなく、1人だけを送り出す卒業式でした。
 今日の学生は、本来去年の春に卒業するはずだったのが、様々な事情で1年ちょっと遅れ、その途中ではオレも、当時の担任も、ごく親しい仲間も、行く末を大変心配していたのです。
 そして、これまた”ある事情”で、連絡が取れなくなった時には、心配していた周囲の人が居ても立ってもいられないという状況になり、最も近い仲間の1人と担任が「どうやったら様子を確認できるだろうか?」と相談した時に「私ら以外で接点が残っているとしたら新枝先生しかおらんのんじゃないかな?」と、予想外にオレにご指名がかかったのです。
 オレも正直、みんなが知らない最新の連絡先をオレだけが知っている自信は無かったし、時たまやりとりしていたと言っても、突然消息を聞くのもおかしいので、「自然に読んでもらえそうなメールの内容を考えるので、ちょっと時間をください」とお願いし、脳が煮えそうになるまで文章を考えて、ダメ元で送ってみたら、無事返事が返ってきて安心したという事もあったのです。
 そのコが、ついに数々の難関を乗り越えて、卒業できる運びになったので、オレも学校側に「卒業式の日程が決まったら、早く連絡ください。可能であれば臨席してあげたいのです」と伝えていたら、何とか調整できる日程だったので、本人には連絡せずに式場に向かったのです。
 
 本人が入場して、声をかけたらびっくりし、その後、涙をボロボロ流してました。
 1人だけの卒業式と言っても、そのコのためだけに式次第もちゃんと用意され、何も手抜きのない卒業式だったのは、本人だけでなく、オレも驚いたけど、こういう部分に学校側の姿勢が表れるんだなぁ…と感心しつつも、きっと、このコにとって、忘れることにできない卒業式になったと思えるのは、本当に良かったと感じています。
5月24日
 今日は、一番最初に講師として関わった、専門学校の卒業生の結婚披露宴で出雲まで遠征しています。
 このクラスの事は、日誌でも何度か登場している、卒業してもほぼ全員がいまだに連絡が取れ、集まれるという現代の人間関係に希薄になっているものをふんだんに持っているクラスで、オレも正直言って、最初に関わったクラスが、このみんなでなければ、今も講師を引き受けているという事は無いと断言できるくらい、オレにとっても運命的な仲間なのです。
 その仲間の1人が故郷で結婚式を挙げるという話になり、その場での披露宴は、内々だけで執り行うというのは、今年の初めに聞いていたのです。
 だから、祝電でも打っておこうくらいに考えていたし、式の後に、日を改めて広島で、仲間に対して披露パーティーを行うとも聞いていたので、特に何も考えていなかったのです。

 ところが、1ヶ月ちょっと前に、そのDクンから電話があり、「披露宴に来てもらいたいんですけど…」というので、「アレ?内々でやるって言ってなかったっけ?」と聞くと、「そうなんすけど、ごく少数の友人だけはお互い呼ぶことにしているんです。で、出席してもらって、ついでにスピーチをやってほしいんです」と、こともなげにサラッと言うのです。
 「出席するのは、希望に沿えるように日程調整してみるけど、スピーチは、誰かほかの人に頼んだら?だって、オレは人前でしゃべるのがとっても苦手な性質だし」と話していると、「何を寝言みたいな事言うとるんですか。寝ててもスピーチしそうなノリなのに」と、あっさり却下されてしまっただけでなく、「面白いスピーチを期待してますよ」などとプレッシャーを与えてくるのです。
 誰が信じなくてもオレとしては、人前でのスピーチは、万難を排して避けたい事ではあるものの、それほどの期待に沿わないのも、人生の先輩として日ごろ高説(笑)を唱えている身としては、恥ずかしいとも言えるので、ある意味観念したつもりで「スピーチは引き受けるけど、オレのスピーチは何番目や?」と聞いてみたら主賓の挨拶にきまっとるじゃないですか!」と、一点の迷いも無いような返事が返ってきたのです。

 オレは、講師業を引き受けるようになって8年目だけど、最近少し気になることがあって、以前と違い、披露宴なら主賓扱いだったり、何かの集まりで最後の一言は、別人の仕事だったのが、知らない間にオレに回されるようになってきているのは、ちょっと違った意味で恐ろしい流れのような気がしています。

 その小心者のオレが出雲に行く道中、口をパクパクさせながらスピーチの練習を繰り返し、ようやくスピーチを済ませた時には、写真の撮影も忘れてしまいそうな開放感で、ご両親に「あんな感激するスピーチをしていただいて本当にありがとうございました」と、言われた時には、「お疲れ様!それでは」と帰りそうな勢いでした。

 ちなみに、披露宴のビデオをその晩に見たご両親いわく「この人は、ホントにしゃべるのうまいのぉ」と感心していたと本人から電話で伝えられたけど、「決して、その話は広島に帰ってから、仲間にしゃべるんじゃないでぇ」とクギを指しておいたのは言うまでもありません。
 広島で、改めて仲間へのお披露目パーティーがあって、その時に、ビデオが放映されたらしいけど、編集の関係で、本編とは違って、オレのスピーチが入っていなかったそうなので「おっしゃ〜!!」ともちろん喜んだわけです。
 人前でしゃべるのが苦手以上に、こういう依頼が続くことはもっと怖いことなんです(笑)
 皆さんに一言!「新枝はスピーチが下手でっせ!」
5月4日
 タイミングというか、波というものは、世の中の色々なものに存在していると思うけど、ちょっとここしばらくの間、撮影日と天候の組合わせに恵まれない新枝です。
 明日予定していた岩国基地の撮影も、雨天が決定的なので、「新兵器(カメラボディ追加購入しました。アルファ700)も用意したので、今年は久々に当日に基地内で撮影を!」と意気込んでいたのに、2年ぶりに前日訓練に向かう事にしたのです。
 朝快晴だったのに、予報どおり昼前から雲が厚くなり始めて、「こりゃ、スモークがきれいに映えんじゃないか」とブツクサいいながら電車乗り継ぎ、徒歩30分で撮影ポイントに到着したら、すでに結構な人数がスタンバイしていたのです。
 自分の事は棚に上げて「ヒマなやっちゃなぁ」と思いつつ、時間が来るのを待っていたのです。(一応、私は写真の仕事をしているので、ヒマなやつではないと勝手に思い込んでいるわけです…笑)
 すると、F-18ホーネットが離陸し、飛行場上空で機動飛行を始めたので、新兵器の感触を試すべく連写してみたら、なんとこれまでの主力マシン[アルファ7D]とは比べ物にならないほどの連写スピードとフォーカス速度にビックリしつつ、心の中で「フッフッフ…これさえあれば、ブルーインパルスのキメ写真なんて、ちょろいのぉ」と妄想でニヤニヤしていたのです。
 その後、ヘリが飛んだり、アクロバット軽飛行機が飛び、着陸したので、「よーし、ついに本番、ブルーの登場じゃ」と思っていると、30分経過しても1時間が過ぎても、まったくその様子が無いのです。
 
 一部の人たちは、帰路についているのも、「アホやなぁ。写真の極意は、センスでもテクニックでもなく、粘りと根性じゃ」と、写真教室で教えている人間のセリフとは思えない言葉を心の中で吐き、まだスタンバイしている自分に悦にいっていたのです。
 しかし、それでも16時になって飛ばないのは、いくらなんでもおかしい。
 もしかして…と、考えたのは、
1.前日の松島(宮城県のブルーの基地)の天候が悪く、まだ到着していない。
2.機材が予備機で対応できない2機以上のトラブルで予行演習ができない。
 
 というような事を考えてみたのです。
 そこに声をかけてきた方にも、その可能性を伝えたんだけど、ついに諦めて撤収する事にしたのです。
 岩国駅までの徒歩30分の間に、その方と色々な話をしていたら、なんとその方は小松(石川県)から1泊2日で来られたそうです。
 「とんでもないマニアですねぇ…」と、つい口から出そうになるのを押さえて「よく、ここまで来る気になりましたねぇ」(意味一緒?)と、呆れた反応をして、駅前で別れたんだけど、撮影できなかったのでせめてもの今日の収穫として、駅前の某ラーメンを食って帰ろうと思ったら、そこも大行列(涙)
 何も収穫が無いまま、帰路についたけど、これが車で出かけていて、渋滞にもまれていたら、ホンマに弱り目に祟り目だったに違いありません。
 
{その後、判った事}
 帰って、何となく航空自衛隊HPのブルーインパルスのスケジュールを見てみると、なんと例年当たり前に参加している5/5岩国基地のフレンドシップデーの記載が無いのです。
 オレの記憶が確かだったら、ブルーの事故後の自粛時期以外では、ブルーは例年参加しているので、他の基地はともかく、岩国は事前確認の必要性を感じてなかったんだけど、やっぱり「ご利用は計画的に!」なんですね。
 しかし、小松の人も、きっと疑わなかったんだろう。
5月1日
 皆さんにとっても、忘れる事のできない日というのは、いくつもあると思います。
 意外なようでも、オレにも当然のようにあります。
 今日は、仕事の師匠の1人が亡くなった命日で、会社の先輩でもないのに、自分の利害を超えて指導してくれた忘れる事のできない師匠なので、日誌でも1度触れた事があるのです。
 すでに亡くなられて3年が経過したものの、今でも存在感が大きい人で、恩だけでなく忘れる事ができない人です。
 去年は出張があったので2日前に行ったけど、、今年は当日に墓参ができたのです。
 その墓石には、いかにもその人を偲ばせる言葉か書かれていて、花をたむけ、線香をくゆらしながら、少しの時間、心の中で会話していたのです。
 そして、そろそろ帰ろうと思い、水桶の置き場で一人の男性とすれ違いながら駐車場に向かって歩いたのです。
 車のロックを解除し、手荷物を車に置いたときに、さっきの男性が駆け足でやってきて、オレに声をかけたのです。
 「あのぉ、私H(名字のイニシャル)なんですが」
 その顔を見れば、亡くなられた事を後で聞いて、お宅にお邪魔した時に一度だけお目にかかった息子さんだったのです。
 「あ、息子さんですか。私、新枝です」というと、息子さんも憶えていたらしく、少し話しをして別れた。
 オレにとっては、一生の恩人である師匠だけど、息子さんにとっては、父親の知り合いというだけだし、すれ違った時に、さすがに誰だったかオレの事を判ったはずはない。
 でも、自分の家の墓のほうから戻ってきていた事と、線香が煙を出していた事で、あわてて挨拶するために追っかけてきたらしいのです。
 それは、ほんのちょっとした事に過ぎないかも知れない。
 そして、墓に着いた時に煙が出ていて「あれ?」と思うことはあるかも知れない。
 でも、その時に、そのままにする人はいくらでもいるのに、間違いでもいいから追っかけて挨拶しようとしたこの若者に、師匠のイズムを感じて嬉しくなったというのが正直なところです。
 そういう姿勢は、必ず社会で認められるきっかけになるに違いないし、この息子さん、簡単に言えば「いいヤツ」でもあるのです。

 間もなく師匠の奥さんからお礼のメールが届きました。
 師匠の事を忘れずにいてくれる事に感謝している事がつづられていたのです。
 オレは、こういう恩人の墓参りする時は、コソコソするつもりは無いけど、余計な気遣いをさせないために、ご家族には言わずに行っています。
 それは、亡くなった方とオレとの関わりは、今も切れていないと思っているし、憶えてますアピールをするのは、ちょっとイヤらしいと思うから。(その考え方には、色々な方法はあっても良いと思います)
 でも、いくつかのご家族は、花などの状況を見て、オレが行ったと推測しているそうで、お互いが直接コミュニケーションを取らなくても、同じ結果になっている、こういう間合いも悪くないと思っているものの、息子さんが伝えた事で、喜んでもらえたのは、想定外の遭遇だったけど、すれ違って良かったというシチュエーションだったかも知れません。
 ちなみに、お墓に寄る前に立ち寄ったところで、対応に時間をかけられ、少しじれったい思いをしていたんだけど、これってもしかして、息子さんと遭遇させるための師匠の深謀遠慮だったのでは?と思わずにはいられません。
 師匠恐るべし!
4月22日
 光市の母子殺害事件は、全国的に注目されていたので、広島高裁の判決は、皆さんも関心を持っていた方が多いと思います。
 個人的にも、以前触れたように、被告の年齢、事件への向き合い方、そして裁判所や裁判長など、オレの関わった事件と似た部分が多かったので、ずっと他人事とは思えなかったのは、過去の日誌にも触れているとおりです。
 その広島高裁の判決を、オレも傍聴券を求めて並んだのは個人的にはごく自然な出来事だったのです。
 22日を、仕事に関係する人に迷惑をかけないように、事前に仕事を調整し、当日にお邪魔する仕事も、「ずっと会社に居るので、何時に来てもらっても構わない」とおっしゃる関係先だけにしておき、「相当の人が居るだろうなぁ」と想像しながら、裁判所に近づくと、去年の5月からの差戻し審の中でも比較にならないほどの人出でした。
 傍聴券抽選会場も、今までの西側広場ではなく、駐車場を閉鎖する事で、大きなスペースを確保できる東側に変更されているのも十分に納得できる状況で、後からの報道では3800人を超えた希望者がいたそうです。
 元々くじ運が全く無いオレは、こういう抽選でも当たることは期待できないんだけど、26/3800では、本当に宝くじ並みの強運が必要だとほとんど諦めていたのです。
 抽選開始少し前に、まだ会場に入ってくる多くの人を眺めていると、オレが担当し、残念な事に専門学校を中退したT君がいたのです。
 声をかけると、すぐにT君も気付いたようで、そこで久々に少し話をして、「オマエが裁判所にいると、被告で連れてこられたんじゃないかと思うじゃないか」とジャブを入れれば、「ひどいっすね!ボクも傍聴券に並んでいるんですよ」と言うのです。
 ちなみに、このT君は、1年前の日誌にも登場している、色々(オレに)相談に乗ってもらったのに、「承諾も無く、勝手に退学した事」を、申し訳なく思って、退学後に、オレにちゃんと仁義を切った例の学生なんです。
 その時は、「今後は同じ男と男の関係である事」、「今の世の中、社会的に評価されている年配の人間でも、そういうスジを通して、自分が失礼だった事を詫びてから、次のステップに進む、素晴らしい姿勢を持った人間は少ないのに、19歳で、やんちゃだといわれても、ちゃんとそれを自発的にやったというのは、とても素晴らしい事」だと伝えたんだけど、その後T君は、アクシデントに見舞われて怪我をして、今リハビリの最中で、ちょっとバイトとして傍聴券の列に並んでいたそうなのです。
 
 今回の裁判では、特に強く感じたんだけど、全国ニュースでも報道されている「傍聴券を求めて約4,000人の人」というのは、実数自体はそのとおりだけど、ほとんどの方は、いわゆる一般人が4,000人集まったというイメージを持っているのではないでしょうか?
 実は、オレも去年の傍聴で初めて気付いたんだけど、その集まっている人数のかなりの割合は、報道機関が集めたバイトなのです。
 一番最初に並んだときに「おぉ、こんなに若い人たちが裁判に関心を持つのはええこっちゃ」と思うくらい、大学生くらいの年齢の人が多かったんだけど、それが整理券を受け取った後で、抽選会場で報道機関の旗を持っているところに行って整理券を渡しているのを見たり、新聞社のバスから大挙して降りて、整理券をもらう列に並んでいるのを見ると、「なーんだ、そういう事か」と少しがっかりしたものです。
 確かに、報道関係に割り当てられた報道席は少なく、それだけではTVの5ch、大手新聞社6社さえも充足できないのはわかるけど、今回もやっていたように、裁判長が判決を言い渡し始めた瞬間に「主文後回し」という一言を言うために、少なくとも数名の傍聴席を立つ報道機関の傍聴人も、主文が聞こえた時の同じような行動も、迅速を優先したいのは解るし、ライバルに遅れをとってはいけないという気持ちも理解できるけど、こういう時こそ報道機関が同じように歩調を合わせて、全社から代表1名だけ速報を流しに外に出る、良い意味での談合をして欲しいと思うのです。
 それが、報道機関にとっても、無用なコストを防げる方法にもなるし、何より純粋に傍聴を希望している一般の人への傍聴機会を増やす事ができる事につながるはずなのです。
 変なところで横並びの報道になるのは目に付くけど、こういう時こそ、横並びを!
4月18日 最近更新した情報2件
 TOPページのHPの更新履歴には触れていないけど、部分的に修正するというのは珍しくないのです。
 ところが、その修正直後にタイムリーにチェックを入れてもらうのは、「おぉ!そんなとこまでよく見てましたね」という驚きと、一応ネットショップでもあるウチとしては、大変ありがたい話でもあるのです。

{1.自動車重量税の項目}
 ようやく、この1週間程度で、自動車重量税も今月末に暫定税率の期限切れを迎えるという話がメディアにも登るようになったので、皆さんも関心を持っていらっしゃると思うのです。
 これを車検のページに掲載した直後に、「5月以降の重量税がはっきりしないというのはどういう事ですか?」と、5月が満期の方から問い合わせをいただいたのです。

 ガソリンの揮発油税は2倍になっていたのが、重量税の場合、2.5倍なので、よくある1.5tまでの乗用車の場合、継続車検時に37,800円課税されていたのに、15,120円という本来の税額に戻るとすれば、そりゃ5月以降に車検を迎える方に関心があるのは当たり前とも言えるのです。
 ところが、この暫定税率、今の雰囲気では揮発油税と一緒で、期限切れを迎えるのは確実のように思えるものの、実際に期限切れになって、5月1日にどのような対処をすれば良いかは、実は全く判っていないのです。
 皆さんが、車検時の整備明細をご覧になれば重量税が記載されているはずだし、業者によっては、重量税の納付書をお客さんに渡す場合もあるので、その納付書を手元に持っている方もいらっしゃるはずなのです。
 この重量税は、車検時に次回車検満了時期までの重量税を前納するシステムになっているんだけど、例えば、5月1日に本則の税率になった場合、その課税の前提がどうもはっきりしていないのです。
 通常の手順としては、整備と検査が完了し、陸運支局で登録手続きする直前に重量税を納付するのが一般的な手順なんだけど、課税基準の前提が、登録手続き申請日基準なのか、それまでの車検満了最終日(車検を受ける前の検査の有効期間の満了日の事)が基準になるかも実は、現在確認してみてもはっきりしないのです。
 だから、4月が満了日で、車検を切らしたまま放置しておき、5月に車検を受ける場合は問題ないにしても、揮発油税と同じように30日ルールで再議決を行おうとして、それが可決した場合、(実際には日付は前後する可能性が高いものの)6月から従来の重量税に戻るとして、6月が車検の満了日の車を5月に継続検査を受けた場合、課税額はどうなるのか?という点がはっきりしていないのです。

 さらに、官庁は基本的に法律が失効する事が確定していない場合は、失効する前提で、色々な資料や様式を用意する事をなかなかしたがらないので、今月末に失効したとして、5月1日の車検の登録手続きで、ちゃんと印紙や納付の領収書が出されるのだろうかという疑問もあるのです。(領収書は、税額が事前に印刷されています)

 重量税問題は、ウチが預かる車検での対応に影響するので、今後も確認をしてみます。
 
{2.カメラ関連}
 これこそ、「よく見つけましたね〜」と、更新後3日目くらいにメールをもらった事に驚いたんだけど、今月から広島にある雑誌編集社に、より良い撮影技術を学んでもらうためのインストラクター兼、取材ロケ時に時々同行して、撮影支援や、手法のアドバイスなどを行うアドバイザーという立場に就任しました。
 相談いただいた時に、雑誌の名前を聞き、「あぁ、あの立ち読みした時に印象に残っている雑誌を出版されているところかぁ」と、何気なく書店で手に取った時の印象を思い出しながら、ご希望内容を伺っていたのです。(立ち読みだった事を、今反省しています)
 地方誌というと、やたらに地域のお店情報だけを満載し、写真もテキトウというケースが多いのに、取り上げるテーマが大人の落ち着きがあり、写真も構図などを大切にしているのは、以前から気になっている雑誌だったのです。
 色々な編集者としての思いを聞き、どのような考えで関わって欲しいか、具体的な事を示され、その気持ちに応えてお引き受けする事になり、昨日初回の勉強会を実施しました。
 特に編集長から鍛える事を依頼されているスタッフは、正直言って絵心というか、撮影時にピンとくる感度がとても素晴らしく、自分の感性をそのまま写真に撮れる技術が身につけば、本当に成長が楽しみだと期待が持てそうなのが、オレの立場としても嬉しい事です。
 もし、編集社から、オレが関わっている事を含めて紹介して欲しいという要請があれば、ここでも雑誌名を紹介するつもりだけど、なんと日誌最多登場の「平成のお気楽社員(現在役職付)のTさん」は、愛読書だったそうで、Tさんに、あの雑誌の良さを理解できるセンスがあったのかと、人間、意外な側面があるものだと驚いたというわけです。
 この仕事が正式に決まったので、もっと先の計画として考えていた、デジカメボディ追加計画を前倒しにして、アルファ700を調達し、現在、従来機のアルファ7Dとの表現力や露出特性の違いに格闘中です。
4月8日
 少し前、販売したヘッドライト用バルブについて、クレームが寄せられたのです。
 その内容は、2個セットのバルブの片方のバルブの一部が曲がっているというもので、開封前に2個のバルブの差に気付かれたお客さんが、わざわざ確認しやすいように写真を撮って、その変形している部分を線などで図示して一緒に返送してもらったのです。
 オレは、その心遣いに感謝しながら、メーカーにその事を伝えて送ったのです。
 そして、到着後、メーカーの担当窓口から連絡があり、当初は、「そのくらい、機能上問題が無ければ〜」というような、機能的な問題ではなく、見た目の問題であれば不良ではないというニュアンスの話だったので、オレもチョイむかつく心をググッと押さえて、一応メーカーの技術部門に検査をしてもらった上での回答をもらう約束を取り付けたのです。
 そして、少し日数を経た先日、そのメーカー担当者から連絡があり、前回とは打って変わって「丁寧な対応」だったのです。
 その理由は、回答がメーカーの製造上の欠陥…であれば、実に解り易い対応ミスの典型例だけど、ちょっと違うのです。
 
 ちょっと画像を差し込まないまま説明するので、わかりにくいのを承知で書くと、バルブは大きく分けて3つの構成部品になっていて、バルブを立てた状態で言えば、最も目立つのが上部のガラスで覆われたフィラメントが入っている部分(以下”バルブ部分”)と、多くの場合足が3本出ている最も下の台座部分、そしてバルブ部分を台座に固定している金属製の中間にある円筒状のバンドと言われる部分。
 そのバンド部分が斜めに傾いているのが今回のクレームだったんだけど、実は、製造上の不具合ではなかったのです。
 オレは、以前からずっと気になっていた事があって、それは個々のバルブのフィラメント位置にバラツキは無いのか?そして、そのバラツキによって、バルブ交換で大きく光軸が狂うのを、メーカーは問題視しないのか?という事なのです。
 元々、レンズにバルブを装着する時、レンズのバルブ装着面にキレイに装着していなければ、光軸が狂うのは当然で、こういうシロートのようなミス(と言っても、実はプロでも時々座面の当たりが悪い装着をして狂わせている)は別として、昔は、バルブの交換で光軸が変わっていると実感できる経験もあったので、厳密に言えば、バルブ交換時にヘッドライト光軸調整をするべきなんだろうなぁと思っていたのです。
 
 ところが、今回の検査で判明したのは、製造の最終段階で、バルブのフィラメント位置を座面に対して正しい位置にするために、その中間のバンド部分で細かな位置調整を実施しているという事を知ったのです。
 業界で仕事をして、結構長い年月を経過していて知る新事実に、オレはビックリ半分、勉強不足で恥ずかしさ半分だったので、正直にその事を担当者に告げたら、担当者も「実は、私も今回の件で、初めてそのような調整まで実施している事を知ったのです」と言ったのです。
 「お互い、今回の件が無ければ、今後も知らないままになるところだった」と同感したんだけど、(ほぼ全てのプロを含めて)シロート的なイメージでは、製造不良のように思えるバンド部分の傾きが、さらに良い品質にしている証だという事が解ったという予想外の展開でした。
 ただ、その製品の傾きが微妙であれば、まず誰も気にしないけど、今回は目視ではっきりと判るほど傾いていたので、その理由を知らないと、不良品だと思うのは無理もないという事で、今後はメーカーとしても、その周知活動をパッケージなどへの記述を含めて検討したいという事でした。
 
 というわけで、日誌でこの事になぜ触れたかというと、もうお解かりだと思うけど、その周知活動のお手伝いというわけでした。
 今回も、「問答無用じゃ、黙って交換してくれればええんじゃ!」みたいな悪役?販売店スタイルを慎み、ちゃんと原因究明型でメーカーとの対処を行ったからこそ勉強できた話でした。
 ホンマに「日々是勉強」でんなぁ(汗)
3月31日
 ガソリンの暫定税率の期限最終日の今日は、TVも新聞も、これ一色みたいな報道になっているのは、皆さんもご存知のとおりです。
 この是非については、色々な考え方があって然るべきだと思うけど、1つだけ、立法府として政治家が最低限の手当てをしていないと感じるのは、皆さんも関心がある「蔵出し税」のために、価格が下がるのがマチマチになるという問題です。
 これは、メーカーから出荷される際に課税される蔵出し税なのでやむを得ないと言われているけど、同じように蔵出し税を廃止した物品税では、物品税廃止最終日の店頭在庫を申告させ、メーカーから蔵出し後の、すでに物品税を徴収されていた商品の税金も、ちゃんと還付されていたのは、たった20年ほど前の実例としてあるのです。
 確かに、物品税の廃止は、消費税への移行が前提だったし、反対していた政党はあるものの、一応国会の合意と議決を経て廃止と導入がなされたので、その移行時の問題を手当てする手段が準備されるが、今回は議決によって決した事では無いし、与党が再議決する予定なので、移行に関するフォローをする事はできないという理屈があるんだと思う。
 しかし、その余波を受けて、無理を重ね、正当な営業活動を逸脱し、全ての尻拭いをさせられるのは、ガソリンスタンドで、ある意味、消費者よりも被害者と言っても過言ではないはずなのです。
 いわば、国会のツケを一身に受け止める事になるわけで、そういうムチャな事を押し付けないために、過渡期の施策は、例え期限切れを容認しないという立場の与党であっても、手当てするべき、最低限の仕事だと思うのは、オレだけなのでしょうか??
 再議決したいかどうかは、自らの政党の責任において主張すれば良い(当然、その結果責任も等しく背負う)
 しかし、この混乱を避けるためには、本当は今夜にでも、蔵出し後のガソリンに対しての税を還付する法案を可決させるべきであるというのが、個人的な感想です。(つまらん事には夜中でも審議しているんだから、これくらいはやる気になれば簡単な話で、手続き方法については、4月に入ってから決めれば良いのです)
 
{物品税の廃止にまつわる還付}
 オレが、まだまだ業界でヒヨコだった頃に、この事件があったんだけど、当時、在庫していた新品のオーディオなどをリストアップするのが、期末のたな卸しにプラスされた仕事だったのです。
 そして、そのリストを元に物品税が還付されたんだけど、面白かったのは、4月以降のメーカー希望小売価格です。
 というのも、物品税の廃止前後で、同じ製品が販売されていて、いわゆる税込(と言っても物品税を含めたという意味)だったメーカー希望小売価格が、税金分安くなったために、以前は59,800円というような価格だったオーディオが55,620円というような妙にハンパなメーカー希望小売価格になったのです。
 そして、もう1つの問題は、物品税というものは、メーカー希望小売価格に対してかけられるものではなく、蔵出し価格に対して一定の税率でかけられるので、物品税廃止前後のメーカー希望小売価格の差額を見ると、実際の蔵出し価格が推測でき、それまで代理店などが言っていた代理店の仕入れ価格がホントだったかウソなのかが一目瞭然になったのです。
 「今まで、アンタのところ(代理店のこと)は、定価の5%しか儲かっていないから、値引きできないなんて言うとったけど、15%儲けていたやないか?」みたいな話は、ちょっと課税方法を知っている販売店では、どこでもあったはずです。
 オレは、当時から代理店の原価を聞いているケースが多かったし、そういうヒミツを交渉の材料にはしない主義(だからこそ代理店の仕入原価を知ることができた)だったので、あまりそういう事も無かったし、それを理由に価格交渉をして困らせるという事も無かったけど、ちょっと担当者にニヤニヤしながら電卓を叩き、「おっかしいなぁ〜。Aさん計算合いませんねぇ」と、軽くジャブを食らわす事はありました。
 ちなみに、具体的な事は書かないけど、オレは、代理店と価格交渉する場合の根拠は、先方の仕入原価でもなく、こちらの仕入額でもなく、まったく別の根拠を用いていました。
3月22日
 最近は、犯罪の認知件数とか検挙率というような数値の問題よりも、実感する治安の低下が著しいというのは、今更オレが言うまでも無い事で、クルマに関する事でも、車そのものや、車内の物品の盗難などが、どんどんとプロ化しているのも皆さんご存知だと思うのです。
 では、昔は「イタズラ」による犯罪だったのか?というと、そうではないけど、現在は、「より少ない労力と時間で、最大の利益」という現在の世相を反映して、皮肉な事に政治よりも車上盗難の世界で「改革」と「超効率化」が進んでいるのです。
 
 今週、広島の某地方都市で車上荒らしが1夜に4件発生したのです。
 ほとんど報道されていない、この事件だけど、オレ達のようなクルマにかかわる人間としては、驚異的な事実が含まれていたのです。(被害を受けた1人が、オレの関係している整備工場の1つのお客さんだったので、詳細と警察のコメントを知っているのです)
 というのは、この4件は、地域と発生場所が同一ではあるものの、被害に遭ったクルマのメーカーや車種はバラバラだったのに、純正セキュリティが装備されていて、その純正セキュリティが作動しなかったのです。
 確かに、ガラスを割ってドアを開閉せずに車内を物色すれば、振動センサーなどが装備されていないタイプのセキュリティであれば作動しないのは当たり前だけど、これらの被害に共通しているのは、ドアは別の手口でちゃんと開けられていたのです。
 ところが、セキュリティが作動しなかったのは、犯人が事前にある対処を行っていたためなのです。
 
 その手口は、市販メーカーの技術者でも、まだ認知していない手法だったので、犯罪の蔓延を防ぐために、ここでは触れない事にするけど、オレ自身でも「それで、そうなるっけ??」と、少し悩む部分がある手法なのです。
 しかも、それは「え?そんな事で純正セキュリティが作動不能になるんか?マジで!?」と言いたくなるような脆弱性なので、正直WINDOWSのセキュリティ・ホールよりも何倍もヤバい気がします。
 
 そして、もっと大きな問題は、同じ車種のみで通用する手口であれば、たまたま知っているヤツが…という考え方もできるんだけど、メーカーや車種が違っていても同じ手口で荒らされている事を考えれば、日本の自動車メーカーの電装設計の基本的な考え方を知っているヤツが考え出したに違いないのです。
 そこで、オレとしてもセキュリティに関する、今回の脆弱性が市販製品では大丈夫かどうか、セキュリティメーカーに確認してみたところ、そういう論理での動作にはなっていなかったようなので、とりあえずは大丈夫みたいだけど、この新手の手法は、早く自動車メーカー、市販のセキュリティメーカーに周知して、総合的な対応を行うべきだと感じています。
 そして、警察でも、この手口を認知して、またその理論を理解してもらい、犯人を特定する参考にしてもらいたいので、是非勉強してもらいたいと思っています。
 そのためには自動車メーカー、市販メーカー、警察(特に刑事部3課)に協力するつもりなので、遠慮なく声をかけてもらいたいと思ってます。
3月1日
 ずっと考えていて、今週に入って時間を確保しながら格闘したのは、卒業生への手紙です。
 オレが2年間担当した学生達に、今までの関わりの上での、最後のメッセージとして、ここの学生に手紙を書いたわけです。
 以前の日誌でも触れたけど、オレのような非常勤ではない、常勤の教諭(この方は高校)の常連で年上のお客さんから「え?新枝は、そんな事やっとるの?全員って、よく書けるなぁ。書く手間よりも、(関わりや印象が薄くて)書けない生徒っておらんのか?」とビックリされ、「2年間の間に、最後の手紙くらいは書けるような姿勢で関わるべきだと思っている」というと、「新枝が、意外と(爆)まじめに生徒と向き合っているのは、ホンマに意外(涙)」だと、フォローかどうか非常に悩むコメントをされた、オレの講師としての関わりの最後の儀式であり、伝え切れなかった気持ちを込めた言葉でもあるのです。
 
 1人1人の顔や、それまでの出来事を思い浮かべながら書く作業は、正直言ってとっても大変な作業です。
 でも、行き詰って困り果てた学生と、一緒に悩み、一緒に解決法を模索した事、本人の将来のためと考え、敢えて厳しい事を言ったり、苦しくても現実を直視させたりして、一瞬は逃げようとしても、それを受け入れようと必死で頑張った学生には、その向き合った自分に自信を持って欲しいと、そのプロセスを誇りにして、これからを生きて欲しいと思うので、書く内容を、悩みながら書き直しを繰り返し、締め切り(卒業式)のプレッシャーにさいなまれながらも、今年も書き続ける事ができたのです。
 特に、ずっと心配していて、十分なフォローアップができなかった学生に書いた手紙は、何度も書き直し、一旦書き上げで封筒に入れて封をしていたのに、今日の朝も、もう1度書き直したほどです。
 それくらい、微妙な領域に触れる深く重い内容だったんだけど、図らずも、そのコが書き記してくれた色紙の寄せ書きは、卒業後も十分な関わりが持てそうな内容だったし、最後の最後に交わした言葉も、それを予感させる内容だったので、本当にホッとしました。
 そのコ曰く「先生への寄せ書きは、ホントにみんないっぱいな想いを書いてあるね。それだけみんなの思いも深かったんだね」って言ってたけど、戻ってから読み返しても、オレが渡した手紙以上のみんなの気持ちは正直嬉しかったのです。
 もちろん、色紙を大切に保管するのは言うまでもありません。
 
P.S.
 というワケで、後まわしにしていた確定申告をやらねば…(涙)
2月21日
 新千歳のJAL機が滑走路の先に、まだ着陸機が残っているのに離陸した事件は、直後のあたごの件で、すっかりうやむやになってしまった感があります。
 これまでの発表では、離陸許可を得る前のJAL機が離陸しかけて、それに気付いた管制官が慌てて離陸を制止し事故には至らなかったというものだけど、離陸前に管制官がJAL機に指示していた内容が紛らわしいと問題になったのは、皆さんもテレビなどでご覧になったと思うのです。

 管制官の指示内容は「expect immediately take off」(ただちに離陸できる事を期待する)という内容のもので、このexpectを聞き逃すと「ただちに離陸せよ」と聞き取れてもおかしくないのは、そのとおりです。
 どの業界でも、専門用語とか慣用句、定型句というのはあって、それを使う理由は、その言葉に込められた意味が、業界内で統一されているので、認識の間違いが無いから使われているという側面も見過ごしてはいけないのです。
 一般的な管制用語としては、滑走路端の離陸開始位置に着くための指示は「taxi into position and hold」で、正式に離陸許可を出すときに「cleared for take off」と、はじめて離陸の意味であるテイクオフを含めた表現を発するのです。
 だから、テイクオフという言葉を耳にすると、パイロットとしては離陸許可が出たと誤認してもおかしくはないのです。
 以前、巨人の原監督が、用語の統一として痛感した出来事として語っていたのは、ランナーが2塁で外野に打球が飛び、2塁ランナーが3塁を回った際に、外野からの返球を見た3塁ベースコーチがホームでアウトになると判断し、「NO NO」とランナーに叫んだのを、ランナーは「GO GO」と聞き間違えてホームに突入しアウトになったので、コーチとランナーの両者から事情を確認し、今後は、聞き間違いが起こらないような指示に統一したというのは、まさに今回の千歳の教訓と同じ事なのです。
 
 ちなみに、新千歳空港というのは、あくまでも民間名であって、離発着や飛行場周辺の管制が航空自衛隊千歳基地が行っているのです。
 そして、個人的な印象では、航空自衛隊の管制官の中では、他の基地を含めて「expect〜」というような表現を使いたがる傾向があるのを(無線で)耳にしているので、そのexpectという表現を用いる必然性が自衛隊機の運用にあるのであれば、せめて民間機に対する管制時には、本来の管制用語による管制を実施し、聞き間違い、もしくは部分的に聞こえなかった際のトラブルを避けるべきだというのは、オレの感想です。
 ただし、JAL側にも問題があって、事件当時副操縦士としての訓練中の乗員を含め3名が乗務していたコクピットで、他の2名が疑問に思わなかったのかという点だけではなく、管制官からの指示を復唱せず、しかも復唱していない事を注意していなかった(とされる)のは、クルーコーディネーションが重要とされる現代のコクピットでの手順としては、やはり基本に手抜かりがあったと言うべきでもあるのです。
 みなさんも、ご自身の働く業界の専門用語の意味を、改めて考えてみれば、本来使うべき使い方でなく、それが混乱やミスの原因になっているケースもあると思うので、是非検討してみてください。
2月15日
{その後の展開}
 9日の日誌で、燃費改善グッズの排除勧告について触れたけど、その後、メーカー各社がどういう反応をするか、そして公正取引委員会が客観性が無いと指摘した根拠は何かを調べてみると、同じ道路で装着前と装着後で比較したり、いわゆるシャーシーダイナモで測定したというような方法はNGを出されているようです。
 公正取引委員会が客観性のあるテスト方法としているのは、10.15モードらしく、これ以外の方法ではアカンのだそうです。
 まぁ、公的機関なので、国土交通省が新車の型式指定時に行う10.15モードを、最も比較するに足る方法とするのは、何となくお役所の論理のような気もするけど、10.15モードで測定し直す事で、比較値を表明できるのであれば、考えようによっては、とても明快でカンタンな話ではあるのです。
 この10.15モードは、新車を購入するときの燃費比較としては、皆さんも関心があるおなじみの数値だと思うけど、このモードは何を測定するために作られたかというと、排ガス規制にクリアしているかどうかを確認するためなのです。
 いわゆる市街地を走行する典型的パターンとして10モードが最初に作られ、その後、もう少し現実的なパターンに改良されたのが10.15モードで、その走行パターンで、排出ガス規制値に収まった排出ガス量である事を確認するついでに、燃費も計って公表すれば、購入者に便利だろうという事で10モードや10.15モードの燃費が発表されるようになったのです。

「10.15モード」
1.アイドリング状態 (65秒)
2.時速50kmまで加速する (18秒)
3.時速50kmをキープして走行 (12秒)
4.時速40kmに減速して走行 (4秒)
5.アクセルをオフにした状態 (4秒)
6.時速40kmから時速60kmまで加速 (16秒)
7.時速60kmをキープして走行 (10秒)
8.時速60kmから時速70kmまで加速 (11秒)
9.時速70kmをキープして走行 (10秒)
10.時速70kmから時速50kmまで減速 (10秒)
11.時速50kmをキープして走行 (4秒)
12.時速50kmから時速70kmまで加速 (22秒)
13.時速70kmをキープして走行 (5秒)
14.時速70kmから減速して停止 (30秒)
15.アイドリング状態 (10秒)
 この方法での測定を求める公正取引委員会に対し、その測定を行う事を表明したメーカー、社内データで良い結果を得られている事は間違いないが、燃費の大幅な改善についての記述を削除して今後も販売するメーカー、全く何も触れていないメーカーなど、この1週間での対応はマチマチのようです。
 個人的な印象としては、10.15モードで公表する事を許されているという事になるんだから、製品に自信があるなら測定して公表すればいいのに!?とは思います。
 
{ある10.15モード測定事件}
 これは、オレがディーラー時代に実際に10.15モード燃費の測定経験の話です。
 当時の、そのディーラーの主力車種を購入された方から、カタログ値に比べて、実際の燃費が極めて悪いという苦情が寄せられたのです。
 そこで、まずはエンジン調整やタイヤの空気圧などのチェックを行ったものの、燃費の改善が無かったという返事がお客さんからあり、サービス部門としては、エンジンなどのシステム点検なども徹底的に実施してみたが、やはりお客さんからの回答は「改善無し」という事だったのです。
 そこで困り果てた担当営業マンとサービス部では、本当に正常な燃費なのかどうか客観的に確認するために10.15モードを測定しようという話になったのです。
 当時、自動車メーカーの高度修理施設(病院で言うと3次施設みたいなもの)が同じ市にあったので、そこに持ち込んで10.15モードの測定を行う事になったのです。(さすがに普通のディーラーではシャーシーダイナモも無ければ、10.15モードを測定する機器も無い)
 そして、そういう「一般的ではない厄介な仕事は、会社の特殊部隊である新枝にやらせよう」という話になったらしく、オレが行く事になったのです。(いつものパターンではありますが…)
 到着後、念のためにエンジン再調整を行って、システム点検を実施し、燃料流量計と、車速信号をウソ発見器のようなチャート記入の機械に接続し、何度か10.15モードのパターンにあわせてシャーシーダイナモ上で走行するのです。
 そこで、チャート紙に刻々と刻まれる速度の変化が10.15モードと同じになったら、本番の測定を始めるというわけです。
 その時には、本番として2度測定したんだけど、結果は、カタログ値より大幅に悪いどころか、なんとカタログ値の燃費よりも良い数値だったのです。
 細かなエンジン調整などの効果もあって、この車は不良品どころか、最初ののエンジン調整の段階で優良品だったわけです。
 要するに、お客さんのアクセルワークなどに問題がある事が判明したんだけど、その点については、測定データ、チャート紙のコピーと、オレのレポート(A4で4枚みっちり!)を一緒に届けてもらった事で、お客さんには納得どころか、「ここまで詳しく調べてもらったんですね」と感心してもらったそうです。
 「ウチの車、燃費悪いなぁ」と思っている皆さん。
 さすがに一般の方が10.15モードで測定するチャンスは、まず無いと思うけど、アクセルワークを改善する事で、燃費が良くなるのはよくある事なので、参考にしてくださいね。
 ちなみに、アクセルワークで燃費を良くするには、エンジンの制御系や燃焼の理論をある程度理解する必要があるのが難点ではあります。
 
{南極事件}
 今日、報道された事なので、ご存知の方も多いと思うけど、南極に無許可で上陸した探検家が、政府から指導を受けたという話です。
 日本では、南極に上陸するときには、事前の許可が必要なのを、問題の探検家は知らなかったというのはニュースでも流されていたので、皆さんも「へぇ〜」と思われたと思うのです。
 今回は、罰金などを適用しないという事になったらしいけど、きっとこの人、本当にそういう事を知らなかったのであれば、もう1つ違反している事になるはずなのです。
 というのは、南極地域の環境保護に関する法律によって、南極には原則として「何物も持ち込まない、何物も持ち去らない」というルールが決められていて、各種研究のための最低限のモノ(以前の南極環境を確認・研究するために、ぐっと深く掘った2000年前の氷など)以外は、持ち出す事はできないだけでなく、何かを置き去りにする事もできないのです。
 「何か」というのは、実は排泄物も該当するので、南極観測隊などが、昭和基地から大陸の中央に近いドームふじ基地などに移動する際に、人間様から出るモノも、すべて雪上投棄などは許されず、原則として持ち歩き、日本に持ち帰らないといけないのです。
 南極の基地には、その日本へ返す前の、凍った排泄物がズラリと並んでいる場所があるそうです。
2月9日 カー用品でも偽装はある!
{公正取引委員会の勧告}
 皆さんも、ニュースや新聞で知った方もいると思うけど、2/8付でカー用品業界に勧告が出されています。
 それは、今のご時勢、誰でも気になる省燃費グッズというカテゴリーの製品を扱う19社に対して、燃費の改善を謳った商品に、合理的な根拠が提出されなかったため、実際の効果より優良誤認を起こす表現であった事を公示し、再発防止策を求めたもので、メーカーや商品名を見れば「あぁ、アレかぁ」と思う製品がズラッと並んでいるのです。
 ウチのHPをご覧になられたらお気づきになられると思うけど、ウチには、今流行の省燃費グッズと言われるものが、極めて少ないのです。
 これは、”横着をして流行を追うのが遅い”のが理由ではなく、こういう機能をはっきり謳っている商品の場合、抽象的な事で販売するのはお客さんに失礼だという考えの基、「これを売れば儲かるんだけどなぁ」というだけの理由での販売をせずに、メーカーに具体的なデータを示してもらうか、そうでない場合は、こちらでテストしたりしていて、今回のように合理的なデータでの有意差が無ければ、掲載しない前提で運営しているからなのです。(もちろん、ダメ元でいいから付けてみたいという方には、安全性の問題が無ければお取り扱いしていますし、結果についてお尋ねする事もあります)
 だから、公正取引委員会の前に、オレのテストや、メーカーへの聞きとりでダメ出しした商品も実はいくつもあるのです。(実は、今もテストを実施している商品もあります)
 今回のケースで、具体的にどんな資料をメーカーが提出したのか、それをどういう分析によって合理性が無いと判断したのか、排除命令には具体的なプロセスが掲載されていないので、これだけで断じる事はできないけど、その後、メーカーがどのような対応をするのか、かなり関心をもって見守る必要があり、以前から日誌でも何度か触れているように、実際に根拠の無い製品も多数発売されているので、合理的判断で問題のある商品を排除してくれる活動は歓迎すべき事です。
2月8日
 仕事には、当然のようにムラが付きまとうもので、忙しい時期もあれば、ヒマでたまらん?時期もあるだけでなく、整備作業が極端に少ない時期があったかと思うと、「ウチはホンマにWEBショップ?」と思うくらい整備作業の依頼がたくさん舞い込んで来る事もあって、今はそういう時期なのです。火曜に「最近、車が走行中とてもはっきりした振動がある」というご相談があったので、預かってみると、確かに低速からはっきりと妙な揺れがあったのです。
 よく、振動というと「ホイールバランス」に問題があると思う方も多いけど、ホイールバランスでは、角速度バランスが影響するために、低速で症状が出る事は無く、こういうケースではエンジンからタイヤまでの回転部分に何か器質的な問題があるはずなのです。
 走行中に、振動というよりも、タイヤの回転周期と同期して左にボディがブレるような感じだったのです。
 「あぁ、これはタイヤの変形の可能性大」と思ったものの、他の理由もあるので、協力工場で確認してみると、タイヤの1本にスチールベルトの剥離があったのです。
 これは、ラジアルタイヤの内部に張られているベルトが、ショルダー部分との接合部が内部で剥がれ、タイヤの内圧でモッコリ膨らんでいて、それが右の外側が大きく膨らんでいたから左にブレていたというわけなのです。
 今回の原因は、経年劣化したタイヤが、長期間車を動かしていなかったので、その設置部分に無理な力が加わり、充填されている空気の水分がタイヤ内部に侵入し、それがベルトを錆びさせたという背景のようで、タイヤを交換したら、当然のようにピタッと止まりました。
 皆さんも、周囲の車のタイヤに、とてもひび割れが多いタイヤを見る事があると思うけど、そういうタイヤでは発生する可能性があり、ひび割れというのはショックバースト以外にも、こういうトラブルを引き起こす事があるので、皆さんもチェックしてみてください。

{その納車後は…至福の時間だった}
 今回、預かったのは、お客さんが出先で待ち合わせて、代車無しで預かったのです。
 そして、その方の自宅は、広島市の中でも、かなり郊外だったのです。
 当然、納車に行くと、帰りはバスと電車の乗り継ぎで帰ってくるしかないので、きっと多くの方が、そういう立場だったら「あぁ〜ちょっと面倒だなぁ」とため息をつかれるかも知れません。
 ところが、今回のオレは、面倒どころか、逆に市内の近い場所で引渡しにならない事を待ち望んでいたのです。
 というのも、帰りに、ある計画を立てていたからなのです。

 それは、先月の日誌に書いた一子相伝の師匠のお店に立ち寄る最大のチャンスだったからなのです。
 M'sバーのマスターの師匠のお店に、昔通っていたのは、すでに書いていたとおりだけど、その後、その店は閉店されたのです。
 その時に、オレは、「せっかくカクテルの味がシッカリしている貴重な店を見つけたのに」と、とても残念で、閉店するという話は全く知らなかったので、「もしかして初老と言ってもよい年齢の方だったので、閉店されたのかな」と想像していたのです。
 その後、長い年月を経て、今回納車するエリアのすぐ傍に、同じRという名前の店があるのを発見したのです。
 でも、仕事の関係で、いつも昼頃に通過しているので、その時間帯は店は閉まっているし、同じ名前の店くらいにしか考えていなかったのです。

 ところが、2年前にM'sバーのマスターと話しをした時に、Rで修行してた事、Rのマスターは、そのエリアに場所を移して今も営業されている事を聞き、「機会があったら、是非寄りたい」と思っていたのです。
 でも、実際には距離だけでなく時間的にも、かなり遠方だし、交通の便も良いとは言えないので、飲みに行くには、酒を飲まない運転者を連れて行くしか手はないと思っていて、そのままになっていたのです。
 そして、ズルズルと時間を浪費しているうちに、M'sバーのマスターが亡くなられ、ついに、個人的には納得できるカクテルを飲める場所を失ってしまったので、余計その思いは募っていたし、オレとM'sバーのカクテルの原点に触れたくなったのです。
 そういう状況で、同じ町内に代車無しの納車というのは、まさにM'sバーのマスターが「ホレ、いい機会だから行ってみ!」とチャンスを用意してくれたのではないかというようなシチュエーションだったわけです。

 納車後、歩いて5分で到着した店には、開店直後の時刻だったので、他のお客さんは居なくて、普通なら誰も居ない店は居心地が悪いものだけど、全く気にならない雰囲気。
 昔、広島市内のど真ん中にあったRと、もちろんレイアウトやデザインは違うけど、同じニオイ(雰囲気)がする、オレには好ましい空間でした。
 そして、昔閉店時に「初老になられているので〜」と思っていた方なので、当然、かなり高齢だから、正直言って、カクテルの味にさほど期待をしていたわけではなく、あくまでも「当時を懐かしむ事ができれば…」という程度で立ち寄ったんだけど、その味のシッカリした事と言ったら、当時以上に”味に磨きをかけられている”と言っても、決してオーバーな表現ではなく、飲んだ3種類のショート(計4杯)は、どれも絶品でした。(正直、こんなウマいカクテルは、これまで飲んだことは無い)
 オレは、昔、Rに通っていたとは言っても、当時はマスターと話をする事はなかったんだけど、今回、ゆっくりと話をしてみると、驚くほど酒や果物などについての知識や造詣の深さには脱帽モノだったし、現在も色々な勉強をし続けているのがよく解ったので、「やっぱり人生は一生勉強だなぁ」と反省方々痛感したわけです。
 M'sバーのマスターの「お酒を愛し、愛された」人生や姿勢は、Rのマスターのそういう素晴らしい部分を伝承されたんだと、改めて感じ、幸せな気分で帰還した夜でした。
 また、立ち寄れるために、仕事ガンバローっと。
1月22日
 突然ですが、2月14日を控え、皆さんはどうお過ごしでしょうか?
 最近の傾向として、虚礼廃止は官公庁内だけの風潮かと思ったら、義理チョコまで”虚礼廃止”の傾向があって、撒き餌のような義理チョコのおかげで表向き寂しい思いをしなかった、大多数の男性には、なかなかガソリンの値上がりと同様厳しい世の中のようだし、虚礼廃止で余計なコストと労力をどどーんと削減できた世の女性は、一点豪華主義とばかりに、本命に過剰な投資をしているそうです。
 まぁ、バレンタインデー当日は、仕事がヒマだからと言ってケータイの機種変更をしにいったり、ホワイトデーの夜に呼ばれて、女のコの家に行ったのは、交換するタイヤを預かっただけ(すべて日誌にも書いた実話です…笑)などと、オレにも無縁の行事ではあるけど、日誌をお読みの女性で車バカ(失礼)なカレシや旦那をお持ちで、今年のバレンタインデーにどんなチョコ送るかお悩みの皆さんに一言。
 神戸フランツが、オモロいチョコを発売してまっせ!
 それは、モンキーレンチ、スパナ、ペンチ、ボルト&ナットの形をしたチョコを限定で発売しているのです。
 是非、このチョコでカレシや旦那を爆笑させてあげてください。
 そして、本来の目的である、まだ告ってない相手に、これをプレゼントしても、多分”車バカ”な男性ならウケる事間違いなし!
 ちなみに、どんなものかと言うと、「こちら」を見てください。
 ね、爆笑でしょ!
 
 と、これを読んだ、車バカな男性の皆さんも、きっと「これもらいたいなぁ〜」と思ったはず。
 さすがに、自分から指定するのは芸が無さ過ぎなので、どうやってこれに気付かせるか、是非、あと数週間、智恵熱が出るまで作戦を考えてみてください。
 え?「オマエが日誌にこれを書いたのも、誰かに送ってもらいたいから気付かせる作戦の1つじゃないのか?って??」
 おぉ!その手があった(爆) ま、そんな奇特な方がいらっしゃったら、喜んでお引き受けしますが、このネタでの皆さんの色々なストーリーは、是非結果報告をしてください(笑)
1月19日  M's Barは永遠に不滅です!
 今日、仕事をようやく片付け、夜に珍しく繁華街に出かけたのです。
 その目的は、タイトルどおりオレの長年のなじみだったM's Barにお別れをするためなのです。
 以前、日誌で触れた話なんだけど、オレが昔から個人的に「いいなぁ」と感じていたショットバーは2店舗あったのです。最初に通っていたRというバーが閉店になって、寂しくしていたところ、当時会社の先輩の高校時代の同級生だった方がショットバーを開いたというので、最初はそれ以上のものを期待せずに行ってみたら、Rと同じ良さがあったので、義理でも何でもなく、長年ずっと通わせてもらっていたのです。
 それが、ひょんな事から、その2店舗のマスターは師匠と弟子という関係だったという事が一昨年に弟子であるM's Barのマスターとの話で発覚して、2人で盛大にビックリして「”そういう事を知っていて、共通の雰囲気や良さがある”なんて、したり顔で言うヤツはナンボでもおるけど、知らずに長年そう思い続けていたのは、オレのカクテルの味覚の判断が素晴らしい(冗談です)のと、それだけ師匠の良い影響を一子相伝のように色濃く受け継いでいる証拠なんじゃろうね」と語り合ったものでした。
 そのM's Barのマスターが、今月初めに永眠されたため閉店される事になったんだけど、奥様が、最後に皆さんに楽しんで欲しいと、今日だけ営業されたのです。
 行ってみると、普段以上のお客さんでいっぱいになっていて、それぞれの思い出を語り合うとても良い雰囲気で、マスターの三井さんが今にも、「よ!」とトイレから出てきても不思議ではない。そんな感じをみんな感じていました。
 派手な演出は一切なし、目新しい事で客を釣るような事も一切なし。
 でも、普通の事がとてもちゃんと徹底していて、心を開放して飲める、言葉ではその良さを語りきれないこのバーを、オレは1度商売抜きに写真に収めてみたかったけど、それももう叶わぬ夢になってしまったし、何よりマスターを失った事は、心から残念で仕方が無いのです。
 もしかしたら、この日誌を読まれている方にも、ファンがいらっしゃるかも知れないし、閉店した事しかご存知無かったかも知れないし、奥様も顔の浮かぶ常連の方全てにお伝えする事ができなかった(かく言うオレも後で知ったのです)と残念におっしゃっていたので、ここに書く事にしたのです。
 三井さんは、お酒に愛されていたとおっしゃっていたけど、オレは三井さんもお酒を愛していたと思っているのです。
 酒好きとかのんべぇという言葉とは違って、「愛している」というのは、ホントに色々な所作でよく感じていたし、体調を崩された後も、予後が良くないのを自覚しながらも、最後までお店でお客さんと語らう事を大切にしていたのを、事情を知らない方が見たら、少し誤解を持たれていたかも知れないものの、そういう全てを知った上でマスターの生き様を見ると、自分の仕事に誇りを持ち、最後まで愛し続け、それを理解した家族に支えてもらった、きっと男冥利に尽きる人生だったと確信しています。
 
 そして、たくさんのお客さんに愛されたマスターを支え、その後の雑務だけでも大変なのに、その感謝を、こういう形でお返ししようと考えられた奥様も、マスター以上にお店とお客さんを大切にしていたからこそ、最後に常連さんに来てもらおうとされたはずなのです。
 三井さんとは、深夜お客さんが少なくなった時間に、人生論も含めて色々な事を話したし、お互い相手の事を認め合っていたから直球勝負でのやり取りも多かった、いわば人生の師匠の1人だったのです。
 ここ数年、オレは、周囲の大切な人だけでなく、こういう師匠と尊敬できる人物が何人も若くしてこの世を去ってしまって、とても寂しい限りで、まさかこんな年齢でそういう寂寥感を感じるとは全く思っていなかったけど、せめてその師匠たちの1/10くらいは頼りになれる生き方をしなければと、改めて自戒を込めて感じたわけです。
 
{偶然と必然}
 国分太一の好きな言葉かどうかはともかく、実はマスターの告別式当日、オレはたまたま普段通らないルートを歩いて、その会場である教会の横を通っていたのです。
 でも、フルネームでもオレほど珍しい名前ではなかったし、マスターの居住地よりは結構離れていたので、同姓同名だと思い、そのまま次の予定に向かったけど、どうしても気になって帰宅後の新聞のお悔やみ欄を探すと、やはり住所も年齢も間違いなく当人と思わせる内容だったのです。
 後悔しても後の祭りで、せめて知人の誰か1人でも教会に出入りしていれば解ったのにとか、確認できなくても教会の受付まで歩みを進める勇気があったなら…と自分をとても情けなく感じながら、必死に確認するルートを探し、ようやくご家族にもお悔やみを、自宅に帰られた三井さんにも、お別れと感謝を述べたけど、教会の横を歩いたのは、間違いなくマスターが呼びかけてくれたからで、そのきっかけを活かせなかった事も詫びて帰りました。
 でも、お墓ができたら教えてもらえる事になったので、告別式に行けなかった分、また時々話しに行こうと思う。まだまだ話し足らなかった色々な話とお酒をお土産にして。
1月10日
{社会で見直そうオッチャンの凄さ}
 オレが講義をする時に、時々触れる話の1つとして、文化の中心世代の話があるのです。
 今の日本の多くの文化の中心は、是非は別として「若者」と言われる世代だというのは、おそらく皆さんも同感されると思います。
 ファッション、ヘアスタイル、遊びなど、どれをとっても若者世代と言われるゾーンに主眼を置いているので、そういう世代にとっては選択肢は多いものの、そうでないもっと上の世代にとっては、色々な意味で不便だったり、選択肢さえなかったりという事が珍しくないはずなのです。
 昔の日本は、今と違って老人(というと大げさなので”年長者”の)文化だったのです。
 年功序列が悪い事のように言われてきたけど、良い面もたくさんあったのは間違いなく、後で十分な待遇があるから、組織として必要な裏方の仕事を引き受けて取り組めたり、損な役回りでも、お客さんに対して必要であれば頑張れるというような面も少なくないのです。
 仕事に限らず、老人文化的な意味合いとしては、和服は「中年太り」すると貫禄がついて見えるのに対し、今の洋装は似合わなくなるとか、男性で言えば、壮年性の脱毛傾向があっても、昔は剃刀でその部分を剃っているので、禿げていようと関係ないなど、ある年齢を過ぎた人間を中心に文化が組み立てられていた事例はいくらでもあるのです。
 
 また、その生き様についても、若者世代の尊敬や憧れになる年長者が居ないと思われています。
 確かに時代の過渡期に翻弄された、今の年長者に確固とした信念を持って行動し、模範を示せるだけの人が少ないのも事実だし、それは時代に翻弄され、確立しきれなかったという被害者という側面も忘れてはいけないはずなのです。
 ところが、本当に尊敬できない人ばかりなのかというと、決してそうではなく、努力と工夫を歳月を経ながら重ねてきたベテランには、パッと見にはわからなくても、「まさに本物」と思える切れ味鋭いノウハウを持ち合わせている方は少なくないのです。
 ただ、若者文化的な判断基準で判断していると、それがわからないだけなのです。
 
 個人的にも、最近2人の凄いオッチャンの実力を感じたので、ちょっと紹介します。
 まず最初は、高速バスの運転士。
 この人は、ツアーの運転士で、大手旅行会社の下請け業者の運転士なのです。
 しかも、その下請け会社の規模は、地方の大手バス会社などではなく、小規模のところだったのです。
 ところが、この運転士さん、目的地での滞在時間を稼ぐために、多少(!?)スピードオーバーしながらの運転だったにも関わらず、実に巧い運転をしていて、乗客の不安などは全く抱かせない運転だったのです。
 というのは、加減速・車線変更の滑らかさという程度であれば、十分に安心できる運転士も多いけど、それだけに留まらず、地形的に横風が吹き込む場所での不安定さを防ぐために、当て舵の使い方や、アクセルを踏み込みドライブをかける事によって、サスペンションの揺れを防止する操作など、斜め後ろで見ていて「ほっほ〜。やるなぁこの人」と思うような、微妙な操作によって、明らかにバスの挙動を安定化させていたのです。
 そんな事をしても、気付かない人が大半で、せいぜい「今日は揺れないね」くらいの印象しかないのに、ここまで細かな部分を努力している方は、オレも久々に発見したので、目的地のルミナリエに匹敵するくらいの驚きと賞賛でした。
 
 次に、ウチのWOWOWがぐずり始めて、もう数ヶ月が経過しているのです。
 それは、受信中にモザイクが瞬間かかるという症状が頻発しているのです(アヤシイものを見ているわけではありませんので念のため!…笑)
 そこで、WOWOWのサポートセンターに相談し、症状の発生背景から診断法を確認し、少しずつ絞り込んでいたんだけど、3度目のWOWOWとの相談でも、どうも納得の行く指示と感じられなかった部分が多かったのです。
 そこで、BSチューナーやアンテナのメーカーである日本ビクターに改めて相談したんだけど、途中から替わったのが、年配の技術員の方。
 この人、明らかにサービス接遇などの教育を受けた人とは無縁の人という感じの応対であったにも関わらず、全く不快感が無いだけでなく、オレが背景条件などを説明している意図を最初から理解した上で話を聞き、実に的確で鋭い判断をされたのです。
 オレの良いところか、悪いところか自分では正直言って判断に迷うところだけど、元々こういうシチュエーションで「文句」を言いたいのではなく、「問題解決」をしたいと考えているので、相手に判断しやすいために症状や、その症状を引き起こす傾向や、その背景などについて順序だてて説明する傾向があるのです。
 ところが、多くのサポートセンターに電話される方が、そういう話し方や確認手順などを採らないらしく、日頃の対応内容が普通な事だと思っている担当者にとっては、オレの話すことや確認を求める事が「なんか経験の無いパターン」に感じられるらしく、必死に色々な事を隠そうと思ったり、明らかに応酬話法だと思えるような話に徹したりされる事があるのです。
 しかし、今回の担当者は、オレと同じで「問題解決」の為に話を聞いているという姿勢と、その考え方の基で培った技術があるので、一々そういう説明をしなくても、それを見抜いて、的確な対応や実情も説明してもらったはずなのです。
 誰でも、「機械は壊れる」というのは解っているはずです。でも、故障でトラブルに発展する背景には、メーカーや販売店の「木で鼻をくくった」ような対応にも一因があるはずなのです。
 そういうトラブルが発生した際に、その「木で鼻をくくった」対応を反省するならまだしも、表面的な問題ばかり気にして、お客さんに「知らしむべからず、よらしむべからず」(真実を知らせない、真実を知る立場に近寄らせない)というような対処をしていて、さらにトラブルを頻発させるというケースは、オレの周囲でも多く見受けられるんだけど、そんな狭い了見の対応とは次元の違う今回のような対応は、賞賛に値する事だし、個人的にはBSチューナーの故障の疑いが強まったのに、やっぱりこの判定法で間違いが無かったんだと非常に納得のいく清々しい出来事でした。
 というわけで、とりあえず修理行きになります!
1月5日
 新年おめでとうございます。
 今年もよろしくお願いします。

 そして、多くの方から年賀状、年賀メールをいただきありがとうございます。
 皆さんにとって、より良い1年になりますように。
さらに過去の日誌は「こちら」