060-013 エンジン添加剤 テフロン系のおまけの話
おまけその1 数値の話
 エンジンの状態を測定するには、いろいろな方法があります。
 内部の磨耗の度合いを調べるには、圧縮圧力を測定するのも一つの方法です。
 圧縮圧力というのは、シリンダーの中でピストンが上昇して、中にある混合ガスがどれくらいの圧力になるまで圧縮されるかという度合いを測定することで、シリンダーの中の気密性を判定したり、各シリンダーごとのバラツキを確認するのものです。

 圧縮圧力というのは、エンジンによって数値が異なるものの、各シリンダーの差が1〜2kg/cm2位のバラツキは珍しくなく、その程度では一般的には異常とは考えません。
 私は自動車ディーラー勤務でもあったので、当時は話しにくかったことではありますが(と言いながら添加剤の説明の時には平気でしゃべっていました)、新車であってもそのくらいのバラツキは普通だったのです。
 そこで、私の先代の車が10万キロを越えた頃、エンジンがどの程度の具合か確認するために、いくつかのチェックをやってみました。
 モチロン感覚的には非常に良好だったのですが、まあ走行距離も増えてきたこともあり、人間ドックがわりに検査をしてみたワケです。

 すると直列4気筒のこのエンジンは、標準値が7.0〜11.0kg/cm2だったのですが、測定してみると4つのシリンダーの結果が11.0〜11.3kg/cm2の狭い範囲に揃っていたのです。
 先ほども書いたように、これだけ小さな範囲に揃っている測定値は非常に珍しく、念のために2度測定してみましたが同じ結果でした。
 特に、標準値の上限あたりに揃っているということは、シリンダーやピストンリングなどが磨耗していない証拠でもあり、とても驚いたのです。
 当時は添加剤について、現在ほどの知識がなかったために、その理由をはっきり断定することができなかったのですが、もしやと思い、このクルマに使用したエンジン添加剤を同じように使った車とそうでないクルマを、バカの一つ覚えのように圧縮圧力を測定してみたら、これほどの数値ではないものの、はっきりとした差が現れていたのです。
 そこで、やはり数値的に見ても十分効果があるものと判断したわけです。
おまけその2 改善傾向の測定
 周りの人にウケたと思ったら、何度でも同じことでウケを狙うのが子どもの戦略です。
 それと同じように先ほども書いたように、バカの一つ覚えで測定を繰り返していました。(当時の職場の中では、アホだと思った先輩もいたに違いありません)
 場合によっては、通常の法定点検に入庫した車までプラグの点検の前後で測定していました。

 ところが3歳児とは違うのが私のスバラシイ?ところで、次のステップに進みたくなったのです。(自慢するほどの話ではありませんが)

 何をやりたくなったかというと、データの悪い車にその商品を注入して、データが改善するかどうかを確認したかったのです。
 しかも、エンジン内部の汚れていてデータのバラツキも大きいようなオンボロ車でどうなるか?というのが気になったのです。
 もうお分かりでしょうが、エンジン内部がカーボンやスラッジで汚れているエンジンでは、テフロンは定着しにくいために、そういった状況での定着性も確認したかったのです。
 そこで、スクラップにする車が入ってきた時に、元のユーザーに事情を説明し、1ヶ月ほど廃車にするのを遅らせてもらい、その車で実験することにしたのです。(もちろんその1か月分の自動車税は負担しましたよ)

 この車のエンジンをかけると、明らかにエンジンが疲労している音を立てていました。
 「い〜ぞ、い〜ぞこのカンジ」と思いながら、まずオイルを入れるフィラーキャップを外して中をのぞくと、鍾乳洞のように堆積したカーボンが山盛りだったのです。
 「これぞ実験冥利に尽きる車」とニヤニヤしながらエンジンオイルとオイルフィルターを交換し暖機して、圧縮圧力を測定しました。
 すると予想たがわず涙の出るような数値なのです。
 標準値は7.7〜11.0kg/cm2だったのに、7.0〜12.8kg/cm2というバラツキ放題のデータです。
 数値が低いところはピストンリングなどの磨耗によって圧縮能力が低下しているのはおわかりでしょうが、ナゼ上限よりも1.8kg/cm2も高い数値も出ているシリンダーがあると思われるでしょうか?

 これは、オイル下がりと言って、給排気バルブのシール部分が磨耗し、そこからオイルが燃焼室に侵入して、それが燃焼しカーボンとなって燃焼室に堆積するために、燃焼室の容積が小さくなり、結果として圧縮圧力が高くなっただけで、決して良好な証拠ではないのです。

 それはともかく、そういうガタガタのエンジンをその添加剤で処理して、用事があればその車を使って走りました。
 最終実験まで1ヶ月しか猶予がなかったために、処理後2,000キロ走るために、仕事が済んで夜中まで走り回ったこともあります。(単に遊びまわっていたという言い方もありますが)

 そして、2,000キロ走りきったあとで、圧縮圧力を測定してみると、やはりかなり数値が変わっていました。
 当初7.0〜12.8kg/cm2だった圧力が8.6〜12.6kg/cm2に変化していたのです。
おまけその3 行くならドンドン?最後まで
 ここまで読み進んでいただいた方は、私がこれで満足すると、誰も思わないでしょうね。
 そのとおりなんですよ。
 這えば立て、立てば歩めの親心とはかなり違いますが、当然次の野望を抱いていたのです。
 この車はもうすぐスクラップになるワケですから、極端な事を言えば、何をやっても良いワケです。
 そこで何を企てたかというと、オイル抜き走行実験です。
 テフロン樹脂が定着しているのであれば、長期間はともかく基本的にオイルによる潤滑は必要なくなるからです。
 ただ心配なこともありました。
 まず、あまりにもエンジン内部にカーボンが堆積していたワケですから、本当に定着しているのかどうかという心配です。
 次に、エンジンオイルは3つの作用があり、潤滑作用以外には、洗浄作用と冷却作用があり、実験がちょうど真夏だったために、走行状況によっては冷却作用がなくなるためにオーバーヒートする危険があったからです。
 最後の心配は、元々ガタガタの車なので、エンジン添加剤による実験とはまったく関係ない理由で、動かなくなってはシャレにならないということです。

{モノ好きなヤツ、作戦を練る?}
 そこで、万一トラブルに巻き込まれても、夜中に遠隔地で1人で途方に暮れないための作戦を考えたワケです。
 まず、これを公開実験と称して、そういう変わったことを面白がるお客さん数名を別の車で伴走させることにしました。
 いくらモノ好きでも、距離が長いために、それだけじゃ面白くないだろうということで、当時やっとマトモな商品になりつつあったカーナビゲーション(といっても、当時はルートさえ設定できないシロモノ)をメーカーからデモンストレーション用として借りてきて、伴走用の車に装着し、それも楽しんでもらうようにし、これまた登場間もない特定小電力のトランシーバーを使って状況連絡することにし、さらに折り返し地点では、ラーメンの食い逃げコースへチャレンジというおまけまでつけたワケです。

{作戦決行}
 まず夕方にお客さんが集まったので、実験車をリフトに載せ、エンジンオイルを抜き取りました。
 その状況を確認して、ドレーンプラグを外したままエンジンを一度かけて、各部に残っていたオイルも落とした後に、ドレーンプラグを取り付けて、実験開始です。
 走行しはじめて気づいたのは、オイルが入っている状態より、低回転域のトルクがしっかりして加速感があったことで、やはりオイルは抵抗になっていると実感。
 走行開始後20分で渋滞にかかり、水温計の針が気になったけど、大丈夫でした。

{ちょっと脱線}
 その後、まったく何の問題も無いまま2時間以上走行して、折り返し点でラーメンを食べたのですが、このラーメン屋はとても面白く、30分で4人前(普通のサイズで計算すると6人前分)の大盛りを食べるとタダ(これが食い逃げコース)というコースです。
 まあ、いくら食べたらタダというのは、どこにでもありがちで、無事食べたときに名前とコメントを掲示してあるのも驚くことではありませんが、食べることができなかった人は、勝利者の名前が貼ってあるその横に始末書が同じように掲げてあり、そこに名前とコメントを書かなければいけないというラーメン代以外に罰則があるお店なのです。
 同行したお客さんに1人がトライしたものの、あえなくダウン!
 しっかりと始末書を貼り出されました。

{行きはよいよい、帰りは?}
 文字では表せないような山盛りと格闘している彼の姿を、厨房に入れてもらって正面から撮影し、無事に帰途につくことにしたのですが、ちょっと心配がありました。
 というのも、エンジンが焼きついてしまうほどではないときに(軽い焼きつき状態)、一度エンジンを停止すると再始動ができないことがあるのです。
 実は、この折り返し地点までに、既に130km以上も走っており、正直これは心配だったのですが、結局難なく始動。
 帰途は時間帯も遅かったので、車も少なく、大きな声では言えないものの、伴走の車を引き離しながらその車の全開領域まで負荷もかけてみました。(速度計のいっぱいあたり⇒この車ではこれが限界)
 その後も、フィーリングどころかエンジン音さえも変化が無く、往復で250km以上のオイル抜き走行は無事終了したのです。

 ああ、これなら一人で行けばよかったと嘆いたのは、ラーメン代は私の持ち出しだったからでした。

 ちなみに、始末書を書いたお客さんは、たまたま勤務している会社の支店が、そのラーメン屋の都市にもあり、後日そこに行った会社の先輩が始末書を目撃し、電話で「恥ずかしいからアホなことはするな」と爆弾を落とされたうえに、その日じゅうに会社に知れ渡って恥ずかしい思いをしたそうです。(もしこのページを見ていたら、今度また始末書書きにいこうぜ!Nクン!)

 ということで、このような劣悪の状態でも、本来の目的にはかなり安定的な効果をはっきするエンジン添加剤もあることがおわかりいただけるでしょう。

 でも、ヨタ話も多いおまけですみません!?


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