060-012 | テフロン系のエンジン添加剤が効かないってホント? |
テフロン系のエンジン添加剤はたくさんあるけど、雑誌の投稿欄や掲示板などで効果が無いという意見があるけど、やっぱり効果がないものなのでしょうか? |
確かにエンジン添加剤と呼ばれているものは非常にたくさんあり、実は私もすべての商品を知っているわけではありません。 テフロンと言うとフライパンなどに加工されている関係で、多くの方が名前は聞かれたことがあると思いますが、アメリカのデュポンが開発したエチレン系の樹脂のことで、非常に摩擦が少なく薬品などによる変質が無い素材のことです。 {エンジン添加剤に使用される素材} まず大きく分けると金属系とその他に分けることができます。 (金属系) モリブデン、グラファイト、チタンなど (非金属系) テフロン、セラミックなど こうした素材を使用している添加剤ですが、テフロンを使用する利点を挙げるなら、金属表面を保護できるということです。 添加剤って、すべて金属表面を保護するんじゃないの?と驚かれるかも知れませんが、実はそうではありません。 これを事細かく説明すると、ただでさえ長い文章がさらに長くなるので、ここでは取り上げませんが、金属系の添加剤の一般的傾向としては、フィーリングの向上を目的にしていて、長期的な使用では、むしろ金属表面を傷めてしまう傾向があるのです。 私もディーラー勤務時代(そのディーラーは世間一般のディーラーでは無かったためによくそんな質問がありました。)に、よくその違いについて質問を受けていましたが、多くの金属系添加剤はスタミナドリンクのようなもので、一過性の感覚の向上があるだけで、そのフィーリングの向上でウレシクして思いっきりエンジンを頑張らせると、かえってダメージを与えてしまうのです。 これは、まさにスタミナドリンクを飲んで、元気になった(感じがして)徹夜で遊びつづけて体を壊すのと、なんとなく似ているかもしれないのです。 では、金属表面を保護するというテフロンなら全く問題ないのでしょうか? まずテフロン系の添加剤の効果から見ていきましょう。 {テフロン系添加剤の効果} 先ほど挙げたようにフライパンやホットプレートにテフロン加工がされているものはかなり多いのですが、それを使われたらおわかりのように、コゲついても、サッとふき取れるという長所があります。 なぜふき取れるかというと、表面が滑らかで摩擦係数が低いから、コゲなどがくっつかないのです。 イヤ、よく見るとデコボコしているぞ!という方もいらっしゃると思いますが、あれは肉などを焼くときに油が抜けやすくしているためで、実際には表面をツルツルにするのは可能なのです。 滑らかで摩擦が少ないというのは非常に重要で、摩擦が少なければエンジン内部での抵抗が少なくなるだけでなく、磨耗もしにくくなるのです。 しかも、金属表面は拡大するとデコボコなので、その接触面の凹んだ部分をテフロンで埋めることもできるため、ピストンリングとシリンダーとの隙間が小さくなり、せっかく圧縮した空気が隙間から逃げにくくなりエンジン性能を低下させにくいのです。 ここまでの効果をまとめると 1.摩擦が少なくなりエンジン内部のロスが少なくなる。 2.表面に樹脂を定着させることにより、金属表面が磨耗しなくなる。 3.摩擦が少なくなることで、オイルへの負担が減少し、オイルの劣化(潤滑能力に限ります)が少なくなります。 以上が主な効果で、それに付随して、始動性が良くなるとか、そのためにバッテリーの負担が少なくなるとか、燃費が良くなるという効果もついてくるのです。 特に、サンデードライバーのように、滅多に車を使用しない方のエンジン内部の金属表面はオイルが重力で落下してしまうために、エンジンを始動するときには、オイルが切れた状態でエンジン各部がこすれあってしまうのです。 こういう状況をドライスタートと言い、磨耗を早める大きな原因とされていますから、テフロン皮膜により磨耗を防止できると、こうした方々にもメリットは多いのです。(ひょっとすると、メンテナンスを重視していない人ほど必要なのかも知れません) {テフロン系添加剤が否定される理由} 理由その1 ここまで書けば魔法のクスリのように思えますが、ご質問された方がお気づきのように結構否定される意見も多いのです。 これは、多くの商品の場合、テフロンの特性を考えていない添加剤の性状に問題があるように思います。 テフロンは粒子同士の親和性が高く、粒子がくっつきあいやすいのです。 そしてオイルよりも重く、金属以外には定着しにくい傾向があるのです。 こういった性状は、自動車用のエンジンにとっては重大な問題なのです。 なぜかと言えば、自家用車の場合、連続して運転する時間がかなり短く、せっかく注入しても定着する前にエンジンを停止してしまうことが多いのです。 エンジンを停止するとオイルはオイルパンというエンジンの底のタンクに溜まってしまい、オイルの注入したテフロン粒子もオイルパンに溜まります。 しかも先ほどの特徴である、オイルより重いためにオイルパンの底に沈殿し、さらに親和性が高いために沈殿した粒子同士がくっついてしまうのです。 こうなっては、オイルを吸い上げるストレーナーが、いくらオイルパンの底に取り付けてあっても、周辺の粒子しか吸い上げることができないのです。 私も経験上、オイルパンを取り外す修理をすることも多かったのですが、あるクルマはオイルパンの底にべったりとテフロンが付着しており、所有者に聞くと、テフロン系のパウダーを何度も入れたとのことでした。 そのようやく吸い上げられた数少ないテフロンのかたまりは、せっかく吸い上げられても本来オイルをキレイにするために取り付けてあるオイルフィルターに引っかかってしまうのです。 振動や何かのショックでバラバラになることができたテフロンは、フィルターを越えて定着するべき金属表面までたどり着きますが、その金属表面が汚れ(カーボンなど)ていると定着できなくなってしまいます。 そうなると、もし金属表面がきれいでも、そこまでたどり着くテフロンは注入量に比べてわずかな量ということになり、金属表面に汚れがあると、その残り少ないテフロンさえ定着は期待できないということになってしまうのです。 こういった傾向を持つテフロン添加剤は、必ずではありませんが、長期保存した場合、容器の底に沈殿しているテフロンを粒子単位にまで攪拌するには結構労力を要してしまうのです。 それは結構力をいれて思いっきり振らなければ、容器全体にテフロン粒子が攪拌しないことでカンタンに理解できるのです。(半透明の容器であればすぐにわかります) *この性状による問題は、エンジンに対する添加剤での問題として取り上げています。 ミッションなどの場合は、条件が異なりますので、こういう性状であっても問題と言えないこともあります。 理由その2 それは使用するときに、まさに魔法のクスリだという過大な期待を持ち過ぎるために、ガッカリしてしまうからなのです。 過大な期待とはどういうことでしょう? エンジンフィーリングもパワーも燃費も効果のある商品であれば、良くなることは間違いありません。 ただし、運転の状況や車全体のロスに占めるエンジン内部のフリクションロス(摩擦抵抗)は、クルマによって違うために(一般的には小パワー、小排気量のほうが感覚的にはわかりやすいのです)一律何パーセント改善するというものではないからで、経験的にも常に25%もの燃費改善があったクルマもある反面、測定誤差程度でさっぱりわからなかったという車も多いのです。 そして本来の目的は、そういう体感的効果や数値的改善よりも、テフロンコーティングによって、磨耗を防ぐということなので、摩擦部分の寿命が延びれば目的は果たしており、これらのパワーや燃費が改善するのは、あくまでもおまけの効果に過ぎません。 だから、おまけを期待しすぎると、ガッカリすることになるのです。 ましてや、磨耗以外でのエンジントラブルは当然発生するわけなので、雑誌などでの使用者の苦情には、こういったトラブルで効果が無かったと書いておられるケースをよく見かけます。 {それではテフロンは添加剤として使い物にならないのか?} テフロンの良さはフライパンなどで皆さんご存知のとおりです。 したがって、先ほどのような問題点(固まりやすい、固まるからフィルターに引っかかる、汚れていると定着しない)という問題をクリアにすればよいわけです。 そして最初に触れたように、そうした実際に使用しているエンジンへの定着のプロセスを考慮していない商品が多いだけと考えても差し支えありません。 そしてそういったプロセスをちゃんと考えた商品は存在していますから、処理の時には是非こういった状況を考慮に入れて検討されるのが良いと思います。 余談ですが、私の車も2台続けて、ある商品で処理しておりますが、先代は14万キロ以上、今回も既に13万キロ走行していながら、非常に良好なだけでなく、測定数値も驚くような結果が出ていました。(興味がある方はおまけへどうぞ) |
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