トワイライト裏業務日誌 2005年9月・10月
9月1日
 ようやく仕事だけはこなせるようになってきましたが、皆さんはいかがお過ごしですか?
 早いもので、もう3週間ちょっと過ぎてしまいました。
 ようやく、何とか仕事をこなせるようになってきました。
 特に、人前で、いつものようなノリで講義するのだけは、とても辛いものがあったけど、それも、何とかできるようになっています。

 その方の仕事内容を考えると、とても無理と思える地域の方まで、時間を作って参列してもらったり、日本最速の法律家ブースカさんにも、「今回だけは、さすがに新枝さんも堪えているに違いない」と、コッソリと東京から勤務シフトの合間を縫って励ましに来ていただいたり(事前に連絡すると、オレが遠慮すると思い、なんと空振り覚悟でアポなしで広島まで来ていただきました)、写真を引き伸ばして額に入れたものを立てるイーゼルを、卒業生の店に買いに行ったら、その写真を見て心から泣いてくれたNちゃん、ちょっとしたオレの様子のおかしさに気付き、電話してきてくれて、いつもオレが言っていた「もっと周りで、本当に大切にしてくれる人に甘えていいんだよ」と同じ事を逆に言ってくれたMちゃん、まさか同じ経験をしているとは思わなかった仕事関係の方(匿名希望)にも、手紙で自分が同じ経験をしている事、その時に何が辛かったかという事、だからこそ、何でも言って欲しいと手を差し伸べてもらった事など、多くの方に温かく見守られているのは、本当に心から頭の下がる思いです。
 だからと言って、幸せだなんてとてもまだ思える状態ではないけど、少なくとも、周りの方々の思いには感謝しています。
 もう少し、心の中に行き続けてくれている実感が感じられるようになれば、もっと元気に頑張れるとは思うので、プライベートで関わりを持ってもらっているみなさん、よろしくお願いします。
9月5日
 昨夜のEZTVに限らず、最近クローズアップされているのがネットオークションの評価についての判断の仕方について触れてみます。
 例えば、Yahooなどでも、出品者の過去の評価欄にたくさんの評価が、しかも「非常に良い」で書き込まれていると、とても安心できるというのは、多くの人の一般的な心理なのは当然だと思う。
 これに関する特集などをご覧になっていない方も多いと思うので、ちょっと説明すると、落札者からの過去評価が内容が良くて数が多ければ安心するという心理につけこみ、以前は、少額の商品をたくさん出品したり、落札して評価実績を積んでおき、本腰を入れる段階で、その事前にかけた何百倍もの数や価格の商品を出品し、代金だけ入金させて逃げてしまうというものが、最近は、さらに巧妙化して、例えば、ナビを出品して詐欺を働こうと思う際に、以前の実績を作る際の出品物は、例えばキーホルダーみたいなものだったのに、実績を作る際にも、ナビを出品していたりするので、どこから詐欺の意図があるのか、過去の履歴や犯罪の傾向を知っている人でも、推測しにくいように手が込んできているのです。
 これは、言い換えれば、当初出品するナビに関しては、元々カード詐欺などで入手した商品であるのは当然だけど、その安価で入手した商品を、さらに多少なりとも損をして出品しており、その出費があっても、何十倍も詐欺で回収できるので、(正しい用語ではないけど)先行投資として実行しているために、本当の相場相場を知っている業界人でなければ、それまでの出品頻度に比べて、突然数多くの出品をしているというような兆候でしか判断し難いのです。(詐欺と発覚すると、そのIDは使えなくなるので、詐欺を行う際には一気に大量に出品するのです)
 昨日の番組のコメンテーターは、現金決済の取引ではなく、代引きやクレジットカードが使えるという点も、事前に確認するほうが良いなどと、マヌケなコメントをしていたので、少し補足すると、クレジットカード番号は、それこそ悪意を持った業者に知られると、色々悪用できるだけでなく、代引きだって、荷物の中身を開封確認して支払う人なんて、絶無なはずだから、例え購入するものが重量物でも、石ころを梱包して出荷しておけば、実は同じ事なのです。
 こうなってくると、世の中、何も信じられないと、お嘆きの方も少なくないと思うんだけど、まさに世も末なのかも知れません。

 ただ、ネットオークションに限らず、ネットでの売買というのは、どうしても店頭での現金購入と違って、同時履行(同時に物品の引渡しと支払が行われる事)ではないために、事前に安心したいという心理が働くのは、しごく当然の事だけど、この心理に付け込んでいるのが、以上のような最近の手法なのです。
 では、安心できる方法は何?という話になるんだけど、皆さんとしては、元来、購入者側の心理で判断しているはずで、それに付け込まれているのが現状だけど、逆に考えてみると興味深いものがあると思います。
 利用者の方に安心して利用していただきたいという願いは、オレも含めて、どの店でも同じだと思うけど、販売店側の主観を推測してみてもらうと興味深いはずなのです。
 要するに、現状で安心して利用してもらっているという気持ちを販売店が持っているとどういう行動になると思いますか?
 実は、お互いが安心して満足しているので、それに関するアクションは何もしないという傾向がでるのです。(必ずではなく、客観視しないと自然にそういう傾向になるという話です)
 と言う事は、全ての店が白か黒かという話ではないので誤解してもらいたくないんだけど、悪意も無く、良心的な対応を心がけていて、利用者もそれなりに満足して、販売店も満足している場合は、特に何かをアピールしなければならないという発想自体が生じにくいのです。
 言い換えれば、”やたらめったら”「利用者の満足の声」を掲載しているというのは、(少なくとも)「そう見て欲しい」という願望があるわけで、裏を返せば、そういう状態に見せたいという意図があるのか、少なくとも現状がそうなっていない実態である可能性も高いという事になるのです。
 人付き合いでも同じだけど、やたらと「オレだったら、こんな事もしてあげる」なんてアピールする人が、評価されるケースも多いけど、何も言わないけど、人として付き合ってみれば「それ以上の事を、当然のようにする人」という人もいるものなのです。
 これなんかでも、なぜ事前にアピールしないかというと、性格・性分的な面ももちろんあるけど、あまり言われていない側面として、「わざわざ言うほどの事もなく、やって当然」だと思っているから言っていないという傾向も少なくないのです。
 というわけで、不言実行よりも、有言実行が、等身大の自分への理解よりも、メダカがクジラに見えるようなアピールがもてはやされている昨今だけど、こういう心理をしっかりと考慮に入れると、不言実行や等身大の姿を飾らずに表現する事の大切さも見えてくるように思います。
 以上は、世間で言われるマーケティングとは全く違った、いわゆる「逆説のマーケティング」(新枝説)的な考察で、オレが教えているマーケティングでは、このような実態にさらに踏み込んだアプローチでも世間の事情の解析をおこなうので、受講された方100人がほぼ100人、「とても新鮮な視点の連続だった。」という結果なのは、喜ぶべきなのか、悲しむべきなのか、ある意味悩ましいところです。
9月13日
 この2日、作業ばかりに明け暮れ(まさに朝から夕方まで)て、汗をかく仕事の大切さを再認識しています。(ま、額に汗をかき過ぎる体質なだけですが・・・)
 今日の午前はタイヤ交換等など、午後は出張作業でHIDの取付だったんだのです。
 HIDは、スペース(レンズの裏のスペース&ユニット設置可能スペース)の関係で、困難な作業が予想されたんだけど、当って欲しくないこういう予測が的中でした。(経験したので、ノウハウは蓄積できるものの、R2って大変じゃねって印象です)
 完成後、動作確認してみると、まだ周囲がとても明るい時間だったのに、とても明るくて、まさにビックリ!
 さすが、お客さんのリクエストどおり、高性能な電源部をチョイスしただけあって、お客さん共々「こりゃ、夜が楽しみですねぇ」という出来栄えだったのです。(HP非掲載商品です)
 皆さんにとってHIDのヘッドライトというのは、どんなイメージをお持ちか解らないけど、HID=明るいというイメージをお持ちであれば、実は、半分正解、半分間違いなのです。
 というのは、消費電力が通常のヘッドライトに比べて小さめなので、電源なんて「あればOK」というイメージを持たれがちなんだけど、電源部分が最も重要なのです。
 さらに言うと、メーカーや製品によって、実際の明るさというのは大きく異なっていて、以前、ウチの「突撃体当たりSクン」が、某メーカーの安物HIDをどこかで39,800円くらいでゲットしてきたんだけど、装着後の明るさを見ると、とてもHIDとは思えない明るさで、点灯するときの発光状況や、HI/LOW切替時のバルブの動きなどで「これってもしかしてHID?」と判るくらいだったのです。
 このSクンには、いつも毒舌も用いて指導(ま、仲間内のツッコミという事です)をしているので、「これ明るいとは思えん気がするんだけど」というと、Sクンも「え、新枝さんもそう思う?やっぱり明るく無いよねぇ」と、さすが日頃の指導の成果か自覚していたのです。
 でも、ああいえばこう言う(これも仲間内のノリですが)Sクンは、「でもね、でもね、普通の高効率バルブくらいは明るいじゃろ」と、HIDを装着した自分の行為は間違っていないと肯定したいみたいなので、そのそろそろこのトークもオチにしようと思い、「何を言うてんねん。市場の相場の半額で買ったわりには、暗くないって言いたいんだろうけど、この明るさなら5,980円も出せば、高効率バルブで実現できまっせ」というと、「あ〜。一番突っ込まれたくない切り口だぁ」と参っておりました。
 というワケで、話のネタにHIDを装着されたい方は構わないけど、ちゃんと明るいHIDをお求めの場合、メーカーや製品の選択は、十分にご注意くださいね。

{ベストセラー本と自民・公明圧勝の共通点?}
 を解説する前に、物事の常識が実態と逆に推移するものが、意外と身近に存在しているものなのです。
 例えば、モノを生産する生産業の場合、一般的に大量生産をすればするほど量産効果が上がって、1個当りのコストが下がると、誰もが信じていると思うのです。
 ところが、意外な事にこの法則が当てはまらないものもあるのです。
 例えば、誰にも必要な電気というシロモノは、最大需要を前提として設備を作っているのは、事前に「作り貯め」できない製品のために、ある意味当然の事で、例えば夏の午後というピークの需要を満たせるように設備を作っているわけです。
 では、その最大生産量を生産する夏の午後の電力発電コストが最も安いのかというと、これはそうでもないのです。
 なぜかというと、理由は明快で、普段例えば最大発電量の80%くらいの需要の時に、どの発電設備を遊ばせているかというと、定期点検中の設備は別として、古い発電効率が悪い設備を止めて、なるべく効率良く発電できる設備を稼動させる事で、コスト低減に取組んでいるのです。
 だから、総合的見地は別として、直接コストを考えた場合、フル生産に近づけば、近づくほど生産量当りの直接コストは高くなってしまうという意外な結果になるのです。

 次に、皆さんの周りで、読書マニア?(オレみたいに、やたらめったら本を読み倒す人)がいらっしゃったら、是非統計をとってみて欲しいのですが、いわゆるメガ・ベストセラーという10万部どころではない大ヒットと言われる売れ行きを示した本をどの程度所有しているか聞いてみてください。
 実は、これも意外なんだけど、かなりの読書量を誇る人であれば、あるほど大ベストセラー本の読書機会は意外なほど少ないのです。(誰も、全く読んでいないという事ではありません)
 何で?と思われるかも知れないけど、本来出版業界を支えている、読書家(オレ自身は、そう呼べるほど大した人間ではありません)は、近年の出版不況を反映(読書家が近年さらに少なくなったので不況なんだけど)して、そんなに多くは存在しないのです。
 では、ベストセラーというのは、誰が買うの?という話になるんだけど、非常に乱暴な言い方をすると、「普段、本をあまり読まない」人が買うので、ベストセラーになるのです。
 だから、読書家に受ける本をせっせと書いても、決して大ベストセラーにはならないので、本を読まない人に受ける内容だったり、本を読まない人が参考にする媒体で取り上げるのが、大ベストセラーの近道なのです。
 もっと乱暴に言えば、たくさんの本を読破している読書家に支持されるような高度な内容を盛り込むよりも、誰でもわかるレベルのものだけ盛り込んだほうが売れ易いワケなのです。
 では・・・タイトルの自民・公明圧勝の理由は?というテーマだけど、これは皆さんで是非考えてみてくださいね!?
 オレが、どういう考えを持ち、どこに投票したかは言わないし、それと以下の事はイコールではないけど、今回の結果は、オレの予想通りでした。
 皆さんの予想が当った場合でも、「なんぞ」は差し上げませんが、ニュースなどで言われていない大きな理由にお気づきな方がいらっしゃれば、是非、回答を寄せてくださいね。
9月21日
 先日オークションで競り落とした車を取りに山口に行ってきました。
 オークションと言っても、いわゆるネットオークションではなく、中古車販売店が仕入れのために出入りするオークションで、時々依頼を受けて落札する事があるのです。
 今回のワゴンRは、元々車種が大人気で、依頼主であるSクンのリクエストする年式・グレードに対して、出せる上限価格が低かったというより、「こんな価格で落札して、みんな(中古車屋サン)は、いったいナンボで売る気なんじゃ?」と思うような相場で推移していたため、なかなか競り落とせる車が無かったんだけど、当初の希望より1年古い車を選択し、うまい事落札できたのです。
 そこで、自分も見たい?という希望もあったらしく、会場までの交通の便も悪い事から、JRを降りてから途中の駅でSクンと合流して、取りに行ったのです。(なかなか難しい予算だったので、陸送費用を削って、車両落札金額に充当せざるを得なかった面も多分にあります)
 実車は、結構程度が良くて、Sクンも、”一目ぼれ”だそうで、価格も車も大満足だそうです!(ただし、Sクンは、比較的一目ぼれする傾向があります・・・笑)
 オレ自身も、この価格で、このコンディションであれば、十分にSクンにとってメリットがあったろうなぁという印象です。
 何しろ、車両本体の価格差だけならまだしも、一部の販売店(だけだと信じたい)では、「こりゃ、儲けの大半は諸費用から生み出されているじゃん?」と思うような手数料や諸費用のオンパレードとか、必要ではないはずの税金(取得税、重量税、挙句の果ては自賠責保険)まで請求したりしているという問題があるのは、この日誌でも過去に何度か触れた事があるけど、そういう全体の費用という意味で考えれば、きっとSクンは、オレをヨーロッパに招待するくらいはラッキーだったはずです?(かな?)
 ただ、残念ながらせっかく出会った次期愛車とは、ここで一旦お別れで、ウチに1度持ち帰り、整備と名変をして月末頃に引渡しになるんだけど、Sクンにも満足してもらえて良かった1日でした。

 ちなみに、帰る途中にSクンからメールがあり、この車の名前を決めたらしく、「ワゴリン」なんだそーです。(親バカならぬ、オーナーバカ?な心境?)
 返信内容は、「ほーか、じゃ、カワイイ車が迷子にならんよーに、ボンネットにマジックで”ワゴリン”って書いて納車してあげよう」と、誠意を込めて返信したんだけど、なぜか「遠慮したい」んだそうです。(是非、書きたかったんだけどなぁ)

{日本人を幸福にしない日本のシステム}
 というような名前の本があったような気が・・・
 先週(先々週だったかな?)ホンダの大型バイクにエアバッグが装備される事が発表されたのはご存知の方も少なくないと思う。
 50ccのスクーターみたいな軽量車はともかく、あれほどの重量車で人が乗っても重心位置がかなり低いバイクの場合は、エアバッグ搭載の意義は、自動車よりも実質的効果が大きい可能性があるのではないかとオレも想像しているんだけど、このバイク、まずアメリカで発売なのです。
 近年、ようやく安全に関して重要であるという意識が高まってきつつある日本だけど、やはり日本のメーカーであっても、初の装備は海外向け仕様が先に実施されるのは、いまだに改まらないのは情けない限りです。
 これは、間違いなく許認可の手続き論の問題なので、本当は医療関連の許認可も含めて、郵政問題なんかよりも、先に抜本的に見直してほしいといつも考えているのです。(郵政問題を急がなくても、人命には影響ありません)
 過去日誌にも、エアバッグ、衝突安全ボディの採用というか、採用しなければならない基準の策定を、今回同様、輸出車には実施できているという、メーカーの技術的な問題もクリアされているのに、ダラダラと後送りしていた運輸省(当時)の態度には、本当に問題視をしてきたし、古い車であれば、同じように見えるシートベルトであっても、国内向けのベルトは、衝撃でベルト自体が伸びるのに、アメリカ向けでは素材が違うなど、自国の人間を大切にする気があると感じられない姿勢は、改善されているとは言いがたいと感じています。
 マトモな事を、当たり前にやるという大前提を、構造改革の前に考えて欲しいと願わずにはいられません。
9月27日
 先週21日の日誌に登場したSクンの「ワゴリン」号を登録&引渡しのために、2週連続山口へ遠征でした。
 先週末に整備を実施して、今朝ウチのディーラー時代からずっとオススメの添加剤(もちろんオレの車も代々注入しています)を注入処理して、慣らしを行いながら山口に向かったんだけど、台風14号で崩落した高速道路の影響もあって、とても時間がかかり、小食?のオレは、空腹を気にしながら、「このまま食事すると、月末午後の登録の混雑に巻き込まれかねない」という最も恐ろしい事態をさけるべく、そのまま陸事(軽なので、軽自動車検査協会だけど)に乗り込むと、午後の業務開始8分前で、そのままカウンター手前の椅子に座って、「業務開始と同時に書類を提出するべ」と思ったら、なんとカウンター越しに、担当者が眼で「持ってきんさい」(ここは山口なので広島弁なワケはありませんが)と訴えかけていたので、半信半疑持って行くと、さも普通なように受理してくれたのです。
 おぉ!お役所や、それに準ずるところなのに休憩時間中に対応してくれるなんて・・・とビックリしていると、何しろフライング提出だったために、混雑が予想されていたにも関わらず、たった10分でサクッと名変が完了しました。

 先週のオークション会場に車を引き取りに行く途中のJR車内でも喜ばしい光景を見たので、ついでに触れておくと、中国地方のJRは編成が短い事もあって車掌は1人乗務が基本で、普通電車の場合、駅でのドアの開閉、次の駅や乗換の案内の合間に、車内を巡回しなくてはならなくて、ちょっと所要時間がかかる駅間に急いで回っているんだけど、オレの1列後の管理職or代表者風の壮年男性が運転士に、停車中に何かを話し掛けていた。
 それからしばらくして、車掌がやってきて、「運転士から連絡を受けましたので、博多までの普通電車の接続を調べて参りました」と、乗り継ぎと乗り継いだ電車の到着時刻などを説明していると、その男性、気が変わったらしく、もっと先の鳥栖まで行くと言い出したのです。
 車掌は、もう2つ先の駅(徳山)で交替らしいので、「大変恐れ入りますが、徳山で交替しなくてはならないため、次の車掌にご希望を申し伝えますので、徳山を過ぎて、次の車掌にお聞きください」と言って、停車駅が近づくので、慌てて最後部に去っていったのです。
 でも、この車掌は、当初運転士から連絡があった時には、駅間が短い区間だったので、最前部の車両まで行く時間的余裕が無いので、その間に調べておいて、次の駅間が長い時に準備をしっかりして説明に来るところなどは、「段取り女王」だなぁ・・・と感心していたんだけど、それだけではなかったのです。
 というのも、乗務区間が終了した徳山で数分の停車時間があったので、最後部で後任の車掌に引継ぎをした後で、オレ達の車両までやってきて、その後調べた乗り継ぎ情報を、その男性に説明したのです。
 それまでの対応だけでも十分な対応だと思っていたのに、「ここまでやるかぁ」と、さらに頭が下がる思いでした。
 組織が大きくなると、どうしても規則優先、マニュアル一辺倒の対応になりがちなのに、「ワゴリン号」の引き取り、登録などで見た、この2件の対応は自分でも色々感じる事がありました。

 というワケで、感激しながらワゴンRのボンネットに約束?どおりマジックで「ワゴリン」と書いて納車したかったけど、やはりSクンの執拗な抵抗?に遭って断念した事だけは、かえすがえすも残念でした。
10月6日
 某ファンドが阪神電鉄の株を買い占めても、「またかぁ・・・」と驚かなくなった株式市場だけど、トヨタが富士重工(スバル)の筆頭株主!?というのは、正直言って、これまでそういうニュアンスも無かったので、「最近は何でもアリだな」と驚かずにいられませんでした。(どっちかというと日産寄りだったしね)
 ちなみに、阪神タイガースの上場を巡って交渉が続けられているようだけど、野球協約の問題だけでなく、上場する事で、誰にでも買収、売却の主導権を渡す事になるリスクも十分に考慮しておかないと、タイガースファンにとって、考えもしない結末を迎える可能性がある事を十分に考慮に入れて対処を考えて欲しいと思っているし、そういう意味では阪神電鉄側の対応は現実的な対応だと思います。
 個人的にはホリエモンを認めていないけど、唯一マトモな発言として記憶に残っているのは「買収されるのが嫌なら上場しなきゃいいんですよ」というニッポン放送の買収劇の際のコメントがあるけど、まさにそのとおりで、上場の資金的メリットは存在している反面、例えば知らない間に「トワイライト・タイガース」(爆)になって、巨人戦には勝たせない?というチーム(会社の方針・・株主の要求)になったら関西のファンは憤懣やる方ないでしょ?(幸か不幸か、ウチにはそれほどの甲斐性はありません)

 もう1つ、久々に野球ネタを書くと、原監督の復帰に関しては、原監督は巨人歴代の指揮官としては、相当有能な指揮官であると考えているオレにとっては、もちろん歓迎すべき事です。
 2年前の辞任劇でも、同じ立場であれば、きっとオレも同じ事をしたと思うし、選手に要求する責任は、権限とバランスをとった責任を要求している事などは、もっと会社組織のリーダーは勉強しなければいけないと思っているのです。
 権限と責任のバランスが取れ、十分な状況判断と、そのためのプロセス重視を遂行できる環境になって初めて、選手の自覚が芽生えてくるので、今後、原長期政権を確立する事によって、是非、夢の続きの実現を期待したいと思っているのです。
 ちなみに、オレと顔を合わす野球ファンの方との話の間では、3年前からオレが言い続けていたネタとして、原監督の重要性だけでなく、阿部を清原の後継1塁手として起用するべきという暴論も怪我が原因で(少なくとも短期的には)実現しちゃいました。
 あくまでも個人的な考えなので、異論があるのは承知の上だけど、オレとしては3年前から次のような意見だったのです。
 近年、打撃が優秀なキャッチーは古田、城島などがおり、阿部も打撃に関しては、非常に優秀と評価しても良いと思う。打撃が優秀というのは、9人しかメンバーを選べない野球にとって、貴重な話ではあるものの、昔から言うように打撃が良いに越した事は無いけど、最も重視するのはキャッチャーとしての資質だという点は、オレは近年の打撃重視の野球には賛同していないのです。
 というのも、キャッチャーが打撃で優秀な成績を収めるのは、もちろんチームにとって良い事だけど、少々優秀な選手でも打点110点取れるかどうか怪しいものです。(事実、阿部の打点は過去最高が今年の86点)
 ところが、キャッチャーのリードが良くない場合、チーム防御率が1点悪化するのは実にカンタンな話なのです。
 136試合あったとして、86点の打点と136点の余計な失点とどちらが問題かというと、当然136点分の余分な失点のほうが問題になるに決まっているのです。
 そういう意味では、打撃が十分ではなくても、しっかりしたリード、ピッチャーに安心感・自信をつけさせるリードができるキャッチャーのほうが重要なのです。
 特に打点に関しては、86打点の選手が抜けると86点分取れなくなるというのではなく、別の捕手でも20点くらいは取れるので、なおさらその打点と失点の差は大きくなるのです。
 そういう意味では、もっと素質を活かせるためにも、打撃に専念させる1塁手へのコンバートをするべきだと当時から考えていて、キャッチャーは、ピッチャーの心理などが良く解っている村田が適任だと思っているのです。
 清原の年齢から考えて、清原が引退したらコンバートするのが最善だと思っていたけど、こういう形で実現されたのは、ちょっと残念ではあります。(阿部の処遇は一過性の処遇の可能性があるけど)
 いずれにしても、2002年の1球ごとに、作戦の変化が感じられる、「考えた野球」を楽しみにしています。(ここ2年、考えてない野球だったもんね)
10月12日 一応「犬」なみ?
 今日は、久々に講義の無い水曜なので、久々に羽根を伸ばしに尾道に行ってきました・・・というのは残念ながら冗談で、仕事です(涙)
 尾道には、オレのディーラー時代に連日連夜一緒に深夜まで残業していた先輩が独立していて、そこで、故障かどうか診断に困っている車を判断するために、いわばお手伝いとして行って来たのです。
 特に、電装関連の製品の場合、例えば来るべき電源が来ていないというような話だと、判断しやすいものの、接続はOKだけど、実際には妙な動作になるというケースの場合は、様々な要因が影響し合っているケースが多く、出ている症状から背後に考えられる様々な背景を想像して、可能性をつぶしていくという地道で、想像力を要求される手順が必要なのです。
 幸いな事に、手伝いにいった甲斐があって、総合的な判断ができ、対処も済ます事ができたんだけど、先輩の感謝(遠路はるばる面倒な事をやりにきてくれて)の言葉も嬉しかったものの、もっと言えば、過去に色々恩を受けたホンの1部分でもお返しできた事のほうが嬉しかったというのが正直なところです。
 普通、連日の残業が続くと、職場の雰囲気はどうしても悪くなるものなんだけど、当時の職場は、不思議な事に、連日午前様で、休日も頻繁に出勤していたのに、非常に雰囲気が良かったし、口ではアレコレ言っていながらも、やっぱり妥協したくないという思いが各人にあったので、「もう遅いから明日にしようやぁ」と言いつつも、何かきっかけみたいなものが見つかると、それから2時間なんて事がよくあったのです。
 そういう状況は、労働環境としては最悪であっても、ある意味、実に楽しく仕事に専念できた環境でもあるし、この先輩にも技術的に「かなり厳しい」指導を受けていた事も、今の自分の貴重な資産になっているのは間違い無いのです。
 だから、人格高潔とは言い切れない、ええかげんなオレでも、せめて犬並みに「一宿一飯の恩義」は忘れないという事を心がけている(つもり)なので、恩返しに行けたのは、実に幸いな事なのです。
 また、その後、仕事に対しての姿勢のあり方などを色々話し合ったけど、やっぱり、前を向いて考えている人とそういう話をするのは、本当に時間を忘れ、元気になり、意義深いものだと再認識したので、そういう意味でも行った意義は大きいのです。

 ちなみに、その後、晩ご飯をごちそうになったので、まさに「一飯」の恩義を、次回も返さなければいけなくなった新枝でした(笑)
10月17日
 秋の心地よい風を楽しめる季節になったけど、今日も汗と冷や汗?をかいてきました。
 ウチのお客さんには、ビートユーザーが、登録台数の比率とはかけ離れた比率(多いという意味です)でいらっしゃるのです。
 そして、ここで語る必要も無いほど、ビートユーザーは非常に趣味性の高い(マニアだなんて言いません!)方が多く、「へぇ・・・そんな事まで依頼するの?」というケースも多いのです。
 今日のお客さんも、独立後に縁ができた方で、もうどっぷりと常連さんになっていただいていて、車検の時にコンピューターユニット(ECU)の電解コンデンサーを予防整備で交換依頼されたのを始めとして、色々なリクエストを受けてきたんだけど、今日は、剛性アップパーツなど5点の取り付け依頼だったのです。
 某ビート専門ショップのオリジナルパーツで、お客さんの持ち込みだったんだけど、事前に、装着時のデメリットについても告知して、そのデメリットも理解してもらった上で、作業開始と相成ったんだけど、取付説明書に「寸法はピッタリに制作しています」とわざわざ大書してある(ピッタリに制作していないパーツがあるのか?という疑問!)パーツが、寸法不良でネジ穴が合わないなんて事が発覚したのです。(これが冷や汗の原因です)

 特に、その問題のパーツは、リフトさえあれば、今回のパーツの中で、最も装着が簡単だと思っていたので、「こりゃ先が思い遣られる・・・(涙)」と思いながら加工大作戦を実施したんだけど、他にも、バンパーを下ろさないと装着できないと書かれているパーツの取付に「何でバンパー降ろさないとアカンの?」と思うくらい、サクッと装着できたりと、某ショップには「装着後、すぐに実感していただける品質ですので、最初の走行にはご注意ください」という注意書きに「装着後時間が経過すると、段々わかるようになる足回り・ボディ剛性強化パーツなんてあるんか?」という疑問を抱くようなワケのわからない余計な記述(他にも、爆笑の注意書き多数)やさっきの「寸法はピッタリに制作しています」なんて事は書かなくて良いから、製品の精度や、取り付け手順もちゃんと検討して欲しいものだと思ったのです。(お客さんも寸法ずれや、バンパーの件は、”ははは”と笑っておられました)
 最後に、お客さんの一言「まぁ、そんな事もあるだろうからと思い、新枝さんのとこにお願いしたんです」というのは、ある意味、嬉しいコメントではあります。
10月19日 秘儀 一子相伝!
 オレは、昔からあんまり外で飲み歩くほうではない(ただ、飲む量は少なくないほうですが・・・笑)し、特に最近はたまにしかそういう事をしていないんだけど、わりとカクテルの味については、うるさいほうだと思うのです。広島エリアでいえば、付き合いで連れて行かれたところを含めて、自分で継続的にお邪魔したいと思えたショットバーは、実は2軒しかなかったのです。
 その1軒は、かなり年配のマスターが営業していて、まだディーラー勤務時代に本部から広島に赴任してきたKさんに連れて行かれたのがきっかけだったのです。
 このKさん、実に飄々(ひょうひょう)としていて、偉ぶるところが無く、オレの1回り上(12歳年上)だったんだけど、よく中四国ブロックなどの会議の後で、一緒に飲みに行く事があったんだけど、この人の特技は仕事ではなく(笑)、赴任する先々で、良質の飲み屋をすぐに発見する事なのです。
 それは、まさに本能から来る嗅覚と言ってもよいくらいで、周りから紹介されて見つけるなんて甘い作戦ではなく、自ら飛び込んで見つけているのです。広島の後で、高松に転勤になった時も、速攻でそういう店を見つけていたらしいけど、一緒に高松で飲めなかったのが残念です。

 それはともかく、その人に連れて行かれた「R」という店は、内装が特に凄いわけでなく、マスターがビシッと決めているわけではないけど、味も良好、雰囲気も良好だったので、その後も何度か通ったんだけど、残念ながら閉店してしまったのです。
 その後、当時の先輩の友人という事で、たまたま縁から顔を出すようになって久しい「M」という店にお邪魔するようになった時に、「R」と同じように味の確かさ、意識的に作っていない自然な雰囲気が実に素晴らしいなぁと思い、その後も可愛がってもらっていて、色々な話も相当していたのです。
 ところが、先日、たまたまそのお店が非常にヒマだった事と、ウチの2人(Qちゃんと弟)も世話になっていたので、代わりにこれまでのお礼を兼ねてお邪魔して話をしていた時に、ビックリする話を聞いたのです。
 それは、この「M」のマスターが、以前別の店で修行していたのは知っていたし、そういう期間があるのは当然の事なんだけど、なんと「R」で修行をしていたんだそうなんです。
 オレが「いや、これまで正直OKだせると思っていたのは、ここと、その前に通っていた”R”だけなんですよ」というと、「M」のマスターが、「新枝くん、R知っているん?」という事から話が展開して、Rで修行を受けていた事を改めて知ったのです。
 お互い、別に触れないようにしていたわけではないけど、たまたま具体的な話にしていなかったけど、それはもうビックリで、自分の舌があながち”いい加減”(人間自体は”いい加減”ですが・・笑)じゃなくて、妥当性のある舌なんじゃないかと、改めて感じたわけです。
 事前にそういう関係を知っていて、「”R”と”M”は、同じ伝統を受け継いでいる」なんてしたり顔でコメントするのはカンタンだし、先入観からそう感じる事もありそうな話だけど、この件は、全く知らなかったのに、どうしてもこの2軒だけは、忘れられない良さがあると感じているのはなぜだろうという長年の疑問が一瞬にして氷解したわけです。
 Mのマスター曰く「そうは言っても、直接細々と指導されたわけでもない」とは言うものの、やっぱり師匠の背中をシッカリ見て学ぶと、間違いなく師匠の良い点が色濃く反映するというのは、他の業界でも感じているので、この2人は、間違いなく「一子相伝」の関係なんだなぁと感心したワケです。
10月23日
 数日前からパソコンに若干の異変というか、前兆が起こっていたのです。
 それは、数日前の朝、起動直後に大きいほうの「ENTER」キーが叩いても反応しない事が多く、最初は再起動すれば解消するだろうと思っていたのに、再起動しても症状は同じ。
 でも、しばらく使うと症状が消えていたので、すっかり忘れて仕事に邁進?していたのです。
 昨日も、朝同様な状況になって、30分も使っていると症状が消えたのです。
 最初は、その大きな「ENTERキー」の裏の接点が、ついに寿命を迎えたか?と、思ったのです。
 何しろ、仕事柄、相当キーボードは叩き続けているし、Aキーなんて印字までかなり薄くなっているくらいだし、Aに匹敵するくらいENTERも叩き続けているはずなので、これは当然かなぁと思っていたのです。
 そして運命の今朝!症状に大きな展開があり、メールの返事を書くのに、ダカダカっと入力すると、「何じゃこりゃ?」というような迷文が生み出されているのです。

 再度、キータッチに気をつけながら入力して変換しても、その暗号文のような(例 HPへのアクセス、そしてお問い合わせをいただきありがとうございました⇒Hへのアクセスそしてお問い合わせをいただきありがとう後会いました)というような意味不明な表示になるのです。
 そこで、石橋を叩いても渡らないオレは、慎重に入力しながら画面を見ると「P、B、M、Z、ENTER大」に、昨日までの症状が発生しているのです。
 スッカリ頭の中も目が覚めたオレは、対応策というか、診断をしようとしたんだけど、ソフトやパソコン本体側なのか、それともキーボードなのかを判断するのに、自分でも仮説を立てながら、最近なぜか日誌への登場回数が多い、「ワゴリン」ユーザーことSクンにも聞いてみた。(彼は、一応そういう関係の仕事です)
 すると、それぞれの可能性を列挙してくれたんだけど、オレが最も可能性が高いのはキーボードと考えて良いか?と聞くと、多分そうだと思うけど、キーボード以外も可能性があるというので、「そりゃ可能性はあるだろうけど、それって相当低い可能性なんじゃない?」と、オレの診断手順を説明したのです。
 するとSクンは一言!
 「これまでお客さんが、キーボードの中のロジックまで考えた上で、キーボードの故障なんじゃないかと相談された事なんて無かった」と、言い出したのです。
 でも、オレとしては、同じENTERキーなのに片方だけ調子が悪いのであれば、その片側のキーの接点自体の問題だと思えるけど、接点だけの問題だとしたら、1個のキーに不具合が生じるのは自然だけど、これだけ短期間の間に、5個のキーに同じ症状が生じるのは不自然な事。5個の不具合があるのに、同じ操作キーであるENTERのもう1つのキー(テンキー横)は正常だと言う事は、ドライバーなどが損傷していると考えるのも不自然だと思う事。さらに、時間が経過して使用していくと症状が消える事などを考えると、キーボード裏の基板のグループごとの問題じゃないかと考えた事を説明したのです。
 そこからは、さすがに本業らしく、ウチのパソコンに対応するキーボードの条件を探してくれたんだけど、Sクン曰く「オレと交替してパソコンのサポートやったほうがいいんじゃない?」という事らしいのです。
 ま、オレみたいに、パソコンをちゃんと勉強していない人間は、とてもじゃないけど、そういう仕事はできるわけないんだけど、どの仕事でも大切なのは、基本の概念、動作理論、ロジックなどを先に考えた上で、個々の知識を活かさなければならないという事です。

 ところが、各分野の専門家というのは、あまりにも具体例から入りすぎていたりするために、その基礎概念を置き去りにして、枝葉の事ばかりにとらわれることが多く、それが誤診を招く危険な傾向だと考えています。
 Sクンも趣味の車について、枝葉のテクニックや技術知識は妙に詳しいものの、なぜそうなっているかという根本の理解が少なく、以前からよく「オマエは、理解しておく事の手順が本末転倒じゃ」と言い続け、彼もそれを近年自覚しつつあるんだけど、「趣味ではない、仕事では、そういう視点をもっと育てて欲しい」と願わずにはいられません。
 ま、そうは言っても、以前の彼の仕事よりは、かなり磨きがかかってきたという事実も、ここに書いておきます!(でも、まだ修行が必要じゃけん、切磋琢磨してくらはい!)

 ちなみに、キーボードを交換して解決したものの、実は適合しないとSクンや某量販店の店員に宣言されたキーボードを敢えて購入し、(幸いな事に)オレの仮説どおり、サクッと動作して喜んだ、へそ曲がりの新枝でした。(もちろん、Sクンのアドバイスには感謝してます)
10月30日 地震・カミナリ・火事・@@@@!?
 皆さんは、タイトルの4番目に何を当てはめますか?
 厳然とした威厳を保っていた「親父」は「オヤジ」と書かれるようになった頃から、カンタンに4番目レースから脱落した観があるけど、さて、他には何があるでしょう??
 本題に入る前に、皆さんは車の運転中に警察官や、自分の後ろにパトカーを見ると、思わずブレーキを踏みませんか?
 意外と多くの人が、ブレーキを踏むか、慌ててスピードメーターを確認する傾向があると思うんだけど、明らかに速度オーバーしていないと思えるような道路状況でも、そういう動作が頭で考える前に発生するのであれば、明らかに「パブロフの犬」状態に洗脳?(もしくは、警察官に対する先入観)がガッチリと固められている証拠です。(オレも、少なからずそういう傾向が無いとは言えません)

 さて本題です。
 オレみたいな自営業、会社の経営者、経理担当責任者などの方々にとって、4番目の天敵と言えば何でしょう?
 比較的多くの方が、運転中に発見する警察官(仕事に邁進している警察の方、ホントにすんません)よりも、天敵なモノと言えば、税務署から調査官が来て、皇帝のような振る舞いの経営者も平身低頭になる?「税務調査」という恐怖の審判ではないでしょうか?
 例えば、順法運転を自認する方であれば、運転中に警察官を見ても、何も感じない方も決して少なくは無いと思うんだけど、少なくともオレの周りの自営業、会社の経営者、経理担当責任者の方々は、警察官よりも、奥さんよりも(笑)、税務調査を嫌って、恐れているようなのです。
 その方々のコメントを要約すると「税務署は、調査に入ったら重箱の隅を徹底して突付いてくるし、お土産(税金の追徴)を持たせないと絶対に帰らない」という事だそうです。
 事実、オレがディーラーに在籍していた時も、2度の税務調査があって、1度目は会社の代表者(経理責任者兼任)が、2度目は経理担当者が対応していたけど、数日間に及ぶ細かい調査で、対応した担当者もヘトヘトになっていたし、シッカリと修整申告させられて、お土産を持って帰られたという事実もあったのです。
 そういう、会社経営などに関わる人の多くが、古い表現で言う「蛇蠍のように嫌う」税務調査が、ウチにも入ったのです。
 オレ個人としては、開業届を出して6年近くになるので、そろそろそういう事があってもおかしくないなぁと思っていたんだけど、正直言って「来て欲しくない」という気持ちだったのは言うまでもありません。

 そして、10月某日、部門の責任者と直接担当する調査官の2名でウチに来た調査官は、まず、経営を取り巻く概況のヒヤリングをはじめたのです。
 これは、以前から、知っていた手順なので、「あぁ、手順どおりだなぁ」と思いながら、具体的に説明していたんだけど、そこで先制のパンチ?を喰らったのは、「通販に関する事」だったのです。
 皆さんも、税務署へ開業届を出したり、年度ごとの申告の経験があればご存知だと思うんだけど、ウチで言うと「自動車部品販売・修理」とか、「コンサルティング」などという仕事の内容を記入する項目はあるんだけど、その中に「通販事業」があるなんていうのは、税務署に提出する資料には、どこにも書いてないはずだし、書く必然性も無いのです。
 なのに、「通販部門」の比率や現況を聞かれるというのは、申告書類だけを見て、ウチに調査に入ったのではなく、明らかに「ホームページ」や通販の存在を把握して(もしかしてこの日誌も把握済み?)事前にそういう予習を行った上で、やってきたというのは間違いなかったのです。
 「こりゃ、十分に準備しとるな?」と、ボクサーがガードを固めるような気持ちで話を聞こうとしたんだけど、実にアットホームな話し方で、マジメな話だけでなく、これまでの周りの方々の経験やイメージとはかけ離れた調査官のキャラクターに驚きながらも1日目は終了したのです。
 その後、ずっと「つきっきりで調査をすると、お仕事に支障をきたすでしょうから」という理由で、調査対象の3年間の売上伝票、仕入れ伝票、経費原簿、貯金通帳や領収書を持って帰られたんだけど、世間ではそういうものを持って帰るなんて事は聞いた事がなくて、そういう例を思い出すとすれば、税務調査のような任意調査ではなくて、強制調査のようなケースだけなので、「もしかして、何かとても疑われている?」と、叩いてもホコリがでそうもない実態なのに心配になったのです。
 事実、持ち帰った資料を元に、1週間後に2回目の調査があった時には、「手間かけて、よく調べてきたなぁ」と思うくらいの事前調査をして確認に来ていました。
 まぁ、そのほとんどは、ウチの実態がわかっていないので、ちゃんと処理されている事が確認できなかったというだけの項目だったんだけど、こういう事を何度か繰り返して調査が進んでいくと、多くの人は税務調査や、担当調査官に嫌悪感を持つだろうなぁと思ったけど、オレは、むしろ、担当調査官にストックホルム・シンドローム(銀行強盗がストックホルムの銀行で立てこもった際に、本来犯人を嫌悪するはずの人質が犯人達に好意を寄せて同情していたという、心理学的な1つの心理傾向)のように、「ウチみたいな規模のところまで、ここまで手間をかけていたら、仕事とは言え、残業も多くて、精神的にもイヤになるだろうなぁ」と同情の気持ちが芽生えたほどです。
 その調査も、「記帳・申告とも特に問題なしです。これほどキッチリ記帳されている青色申告事業主は珍しいですね。これからも、同様によろしくお願いします。」との担当官のコメントで無事終了になったんだけど、帰り際に担当官から「今回は、私もとても勉強させていただきました」という挨拶で帰られたんだけど、ストックホルム・シンドロームにかかった理由の1つに、この担当官や部門責任者の人間としての姿勢の素晴らしさに感銘を受けたからというのもあったのです。
 世間によくあるイメージとして、税務調査官は、寡黙で、厳しい指摘をして、自分は決して間違っていないというイメージが多いらしいけど、それとは全く違って、税務調査官であるとともに、人間に接する人間でもあるという自覚を持たれているだけでなく、自分の無謬性(絶対に間違いが無いという考え)を振りかざす事も一切無かったし、オレも何も隠す事は無かっただけでなく、調査官が似た業種などの実情に詳しくないと感じたときには、(世間では、聞かれた事以上の事は、言わないほうが、自分のところなどの実態を把握されにくいので良いと言われている)色々知識を持ってもらうべく、業界などの補足説明をしてあげたのです。
 それどころか、もっと人間的なエピソードも多かったんだけど、これはこんなところに発表すると、今後の税務調査の支障になってはまずいだろうから、聞きたい方は、直接聞いてくださいね。

 というワケで、税務調査官は、「閻魔大王の次に怖い鬼のような存在」でも無ければ、「一度税務調査に入られたら、お土産(修整による追徴税)を持って帰らないと許してくれない」という世間にまことしやかに流れている噂は、絶対真実というワケでは無い事は、ここで皆さんにも紹介しておきます。
 調査終了が宣言されてから、少し色々な話をした(それまでも色々な話はしている)んだけど、オレはともかく、調査を受ける側の多くの方のイメージや、杜撰な処理や悪意を持った処理をしている会社が調査を嫌うのはもちろんだけど、マジメな処理をしている方々でも、何度も繰り返し、調べてきた事を質問されつづけると、「こんなにマジメに処理しても、やっぱり信じてくれないんだ」という心理状態に陥る可能性が高い事などを話すと「なるほどねぇ」と納得されていたし、そういう話までできる関係だったのは、調査を受ける側としては、決して悪い事ではなかったと思ったのです。。
 でも、パトカー見たら、ブレーキ踏むくらいの反射は、これからも税務調査に関するイメージとしては残るだろうなぁ・・・というのは、オレの印象です。

 ちなみに、調査の途中でわかった事だけど、今、全国的にネット関連の税務調査を重点的に行っているようで、新聞記事を引用すると

<申告漏れ>ネット個人事業者、総額約114億円に

 今年6月までの1年間に税務調査を受けた個人事業者のうち、インターネット取引をしている事業者の申告漏れ所得総額が約114億円に上ったことが、国税庁のまとめで分かった。1件当たりの平均申告漏れ額は前年を157万円上回る1112万円で、急速に進展するネット社会を反映した形だ。
 調査対象となったネット取引には、通販や電子画像・電子データの販売、ネット広告などがある。今回の調査では、会社員が副業として質屋などで仕入れた中古品をネットオークションに出品して1600万円の所得を得たり、業者が健康食品をネット通販で販売して1億円の所得があったのに無申告だったケースもあった。
 ネット取引を含む個人事業者全体の申告漏れ総額は8963億円だった。【立山清也】
(毎日新聞) - 10月24日18時57分更新

 という事だそうです。
 まぁ、ネット業者の中には、税務申告はおろか、開業届さえ出していない業者は少なくないとオレもにらんでいるし、ネットオークションというのは、商売ではないという認識があるかも知れないけど、あれも繰り返し出品する事で、あきらかな「継続的商行為」だし、その商行為によって、基準限度以上の収入があると、申告の対象になるので、皆さんも注意してくださいね。

{ところで・・・}
 担当官の帰り際のコメント「今回は、私もとても勉強させていただきました」の真意って何なんでしょう?
 たまたま、これまで担当してきた調査先では経験する事が無かった、お客さんとの関わり方の大切さなどを実感していただいたなら良いんだけど、「こんなヤツでも6年間潰れないのか」という事を学ばれてしまったとしたら、それは恥かも?

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