110-031 | マニュアル車のシフトアップを1-3-5というように段飛ばし変速をすると私の先輩 に怒られたんですが、こういう操作は壊れやすいってホントですか? |
メルマガ「クルマとカー用品の常識 ウソ? ホント?」第21号掲載 |
さて、私も同じ心配をされていた方を数人知っているのですが、この問題を解決する前に、ミッションが何のために存在しているかもう一度思い出しましょう。 ミッションというのは、別に素早く変速させる所要時間を競う道具でもなく、重心を下げる「おもり」のために存在しているわけでもなく、運転状況に応じた出力を使えるために、わざわざバカでかい装置になるのを承知で装備されています。 もしミッションが無い場合は、エンジン回転数と速度がイコールになるために、低速ではパワーが不足して、高速ではパワーが十分でも騒音のルツボとなってしまい信号待ちでエンジンを切る必要さえも出てきます。 それを、低速でもパワーの必要な場合、高速でもパワーよりも騒音を低下させたい場合など様々な状況に応じて最適なエンジン稼動状況にするためにあるのがミッションです。 そこで、例えば5段変速のミッションの場合、いつでも、運転状況に合わせて最適な段に変更できるように操作性を改善するために、現在の主流になったH型パターンが開発されたのです。 そのために、例えば1速から3速などに変速しても、その操作自体では何の問題もありませんし、わりとこまめに変速する私(私もマニュアル・タイプに乗っています)も、先行車や流れの状況によって1-2-5みたいな変速パターンはよく使っています。 というワケで基本的な回答で言えば、今回のテーマへの回答は「ウソ」になり、その運転状況に応じた回転数やトルクバンドになるように、変速して差し支えないのです。 ただし、変速時にクラッチミートしてから変速後の段での回転数と、ミートする直前の実際のエンジン回転数があまりにもかけ離れた状態での変速を繰り返してしまうと、ギクシャクして乗り心地が悪いだけでなく {ミート前のほうがミート後の回転数より高い場合} シンクロナイザー・リングが磨耗しやすくなる。 {ミート後のほうがミート前の回転数より高い場合} クラッチディスクのフライホイール側(通常磨耗が少ない側)が磨耗しやすくなる。 という傾向があります。 それ以外にも、マニュアルタイプのミッションでは変速に留意することやメンテナンスで注意しなければいけないことがありますから、また機会を見て取り上げようと思います。 |