110-007 信号待ちのときにAT車は、どのレンジで待つのがミッションに負担をかけないの?
 信号を待っているときにDレンジに入れていると、車は微妙に前進しようとします。
 これをクリープ現象と言い、特に冷えた時のエンジン始動後では、エンジン回転数が高めに設定されているために、Dレンジで待っていると結構気合をいれてブレーキを踏んでいなければ、ズルズルと前進してしまいそうなこともあります。
 もう一つ、アイドリングのような低い回転数でDレンジに入れていると、エンジンに負荷がかかるために、Nレンジより振動が多くなると思います。
 どちらの現象も、最近の車ではかなり改善されているので、高級車になればなるほど、さほど問題にはならないと思いますが、この状態は、本来エンジンが回転数が低くても、一応回転し前進できるエネルギーがミッションによって生み出されているために起こす現象で、それをブレーキによって阻止していることに原因があります。

 ここまで書けば、「ならNレンジで待つのがいいのですね」ということになるでしょうが、実はそうとも言えないのです。

 オートマチック・トランスミッションというのは、操作はカンタンですが、内部機構は複雑になっており、マニュアル・トランスミッションのクラッチとは違いますが、クラッチが存在しています。

 そのクラッチなどがあるために、NレンジからDレンジに変えると、それまで駆動力が無かったのに動くようになるわけです。
 問題は、そのクラッチですが、実は国産車のオートマチック・トランスミッションの中のクラッチは、世界一流の耐久性があり、あんまりそうした話は聞かないでしょうが、輸入車の場合、信号待ち程度でDからN、そしてDという変速を繰り返すと、異常に損耗してしまうのです。

 それによって、当然走行不能のような事態ももたらしてしますので、長期間大切に乗りたいと思う方や、輸入車のオーナーは、やはりDレンジのまま待たれたほうが良いと思います。(修理費用も高額です)


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