074-004 信号待ちでバッテリーに負担をかけない方法その2
 それでは、なぜ点灯回数に比例して電球が劣化するのか考えてみましょう。
 電球の中の線(フィラメント)は抵抗体が使用されています。
 抵抗体って何だ?と思われるかもしれませんが、小学校や中学校でニクロム線という電熱線でビーカーの水を沸騰させたりした経験があると思いますが、そのニクロム線と似たようなもので、ニクロム線は抵抗で変換されたエネルギーの多くが熱になり、ヘッドライトバルブは光に変わる違いがあるだけなのです。

 その抵抗体には、抵抗値が決まっており、それによって流れ込む電流量が決まっています。(オームの法則)
 ところが抵抗の抵抗値を決める要素には、ほかにも厄介なものがあるのです。
 というのも、導体(電球のフィラメントも導体です)の抵抗値というのは、抵抗値の温度によって変化し、基本的に温度が上昇すれば抵抗値も増加するのです。
 実は、ここがミソなのです。
 電球というのは、連続使用を元に考えているために、この温度が上昇したときを基準に抵抗値を決めてあります。
 したがって、冷えている点灯開始時には抵抗値が少ないために、必要以上の電流が流れ込むのです。
 この必要以上の流れ込む電流を突入電流と呼び、この突入電流によって電球は寿命が短くなります。
 ここまで書けば、信号待ちでライトオフにすると、一々電球を冷やすために電球に良くないのはお分かりだと思います。

 ではどうすればよいか? それが前回(074-003)からの宿題でした。
 いろいろな電気を使用する装備を同時に使っていると、バッテリーの消耗を防ぐために信号待ちや渋滞ではヘッドライトを切っておきたいけど、高価な”明るいバルブ”の寿命が短くなるのも困るという矛盾をどう対処すればいいのでしょうか?

 それには、大容量FET(電界効果型トランジスター)などを使用したチューンナップキットがあります。
 これは従来のようにヘッドライトに流れ込む電流を切ったり入れたりするのに接点を持たないのです。

 無接点というだけでなく、FETなどで制御している関係で、点灯時にバルブに流れ込む電流をコントロールできるのです。
 これは言い換えれば、突入電流を軽減できるということで、当然バルブの寿命に影響し、結果として信号待ちにライトオフしても、バルブの寿命に影響させにくいということでもあるのです。
 このキットのメリットは、それだけではありません。
 さっき書いたように、無接点というのは、長く使用する上でメリットがあります。
 リレーのように接点があると、その接触部分が汚れてきたり、接触の際のスパークなどでカーボン等が付着して、電流を流しにくい状態になってきます。
 私の経験でも5年くらい使ったリレーキットを同じモノに交換しただけで明るくなったという経験がありますが、そうした接点があることでの劣化が無いのです。

 さらに、一部の商品では、速度を検知するセンサーからの信号を入れることによって、停車時に自動的に減光して、バッテリーの負担を軽減し、さらにバルブの温度差を繰り返し生じさせるための劣化も防ぐ機能を持っているものもあります。(ボンヤリと点灯させておくことが余熱と同じ効果をもたらします)
当店のオススメ商品
ウルトラ オートディム


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