074-003 信号待ちのときに、ヘッドライトは切ったほうがバッテリーに負担をかけないの?
 これは、よくそういった話を耳にします。
 そして、その部分だけを考えれば、一応正解です。
 なぜ、一応という書き方をしたかと言えば、クルマ全体での様々な影響を考えると、一概にいい事だけではないからなのです。
 
 信号待ちなどの時は、エンジンの回転数は低く(アイドリング状態)、そのときの発電機の発電量も走行中に比べれば少ないのです。
 バッテリーの役割というのは、エンジンをかけるときに必要な電気を供給するだけでなく、運転状態によって電気の発電量と使用量にアンバランスが生じるときの調整という、いわばダムみたいな機能があるのです。
 そして、川にあるダムと決定的に違うのは、充電しすぎたり、過剰な放電をしてしまうことでバッテリーは痛んでしまうのです。
 カンタンに言えば、充電していないときに、電気を大量に使うような状態のことで、こういう使い方をすると、放電してバッテリーが”上がって”しまう可能性があるだけでなく、一方的な放電とその後、エンジンを始動してから大量の充電をしなければいけないために、バッテリーは劣化するのです。

 だから発電量の少ないときに、ごく普通のヘッドライト(片側55ワット)を切っておけば、かなりの消費電力が節約でき、そういう意味では信号待ちでライトオフにするのは悪いことではありません。
 特に、暑い雨の日の夜などは、ヘッドライトだけでなく、エアコン、ワイパー等電気を大量に使用する装備を同時に使っています。
 古い車はともかく、最近の車であれば、信号待ちのときにヘッドライトを点けていたからと言って、電気の使用量が発電量を上回ることは無いのですが、エアコン、ワイパー、リアの熱線などを同時に使って、しかもオーディオを大音量で鳴らしていると、確実に発電量を上回ることになるのです。
 信号待ちや渋滞の度に、そういう状態にしていれば、バッテリーに負担がかかるのは当然です。

 では、信号待ちでヘッドライトをオフにすればよいという話になりそうですが、実際にはそうとは言い切れないのです。
 家庭用の電球などでも経験があると思うのですが、ヘッドライトをはじめとする電球は、点灯時間と点灯回数によっておおまかな寿命が決まるのです。
 要するに点けたり消したりする回数が多ければ多いほど寿命は短くなるのです。
 特に蛍光灯は点灯回数に左右され、しかも点灯開始時に点灯中とは比べ物にならない電力を消費するので、短時間の使用しない時間があったらこまめに消すという習慣は、しつけとしては良くても、本来の省エネや機器の寿命を延ばすという意味では、あまり効果的ではないのです。
 蛍光灯程ではないのですが、ヘッドライトのバルブも点灯回数で寿命が短くなります。
 特に、信号待ちで切っておきたい消費電力の大きく、いわゆる”明るいバルブ”になればなるほどそうした傾向がありますから、話はややこしくなるのです。

 じゃあ、どうすれば良いか?という疑問には、
 1.エアコンなど、他の装備で電気を使っている時だけオフにする。
 2.全く違う作戦を考える。
 このどちらかになります。

 1.は言うまでもないことですが、2.の作戦は長くなるので改めて書きますが、接点レスのリレーキットを使用する方法がおすすめです。


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