061-020 オービスのストロボって赤外線だってホントなの?
メルマガ「クルマとカー用品の常識 ウソ? ホント?」第5号掲載
オービスのストロボって赤外線だってホントなの?
 そんなの当たり前じゃん!と思われる方も多いですよね。
 無人速度取り締まり機を、よくオービスと呼んでいますが、ホントにその取り締まり機が撮影するときのストロボは赤外線なのでしょうか?

 まずは、簡単に無人取り締まり機について説明します。
 よくオービスと呼ばれている取締機ですが、実際にオービスと呼ばれる機械は、道路にセンサーを埋め込んで、その上を通過するときにセンサーを流れる電流の変化を応用して速度を計測されるループコイルタイプの昔からある装置のみオービスという(正式にはオービスV)名前がついています。
 マジックや宅急便でも同じなのですが、あまりにも鮮烈なデビューを飾ると、単なる1商品名なのに、知らないうちにそういったジャンルの名前(サインペンや宅配便)と混同される傾向があるようですね。
 ところで、今回の質問では、どちらかというと無人速度取締機全般にわたっての素朴な疑問だと思いますから、そういう前提で解明します。
 ちょっと詳しい人に、この質問をぶつけると、ほぼ間違いなく「モチロン赤外線でしょう」という回答が返ってくると思います。
 それほど無人取締カメラのストロボ=赤外線というイメージは定着しています。

 実際に撮影された人やその撮影された車の後ろを走った経験がある方はご存知でしょうが、カメラが作動すると、ストロボは結構明るく、そして赤く光ります。
 実は、ここがクセモノなのです。
 赤外線といわれているまわりの商品を思い出してください。
 魚を焼くグリル、コタツ、ストーブなどなど、全て確かに赤い炎や色が確認できると思います。
 そうした商品に日頃なじんでいることもあって、赤い発色は赤外線というフレーズに違和感がなくなっているのです。

 ところが、そもそも赤外線の語源というのは、人間の可視光線の中で赤色の範囲を超えているために名づけられた名前なのです。(見える赤色の外側の光線だから”赤外線”) あまり詳しく書いてしまうと、このテーマから逸脱してしまいますから、簡単に言ってしまえば、「赤色」より波長が更に長いものが赤外線と言って、普通、人間の目では見ることはできません。
 それでお気づきになられた方も多いと思いますが、最近問題になっている盗撮問題の最初のハシリは、夜間赤外線撮影だったのです。
 その撮影には、基本的に赤外線を発光させるストロボを用いて赤外線感光フィルムを使うのですが、もし、撮影に「ボワッ」と赤い光を浴びせたら、誰でも気づくに決まってますよね。(ま、そうでない状況もあるかも知れませんが・・・・)
 そこが問題なのです、本当に赤外線だけ発光すると、基本的に目では確認できないのです。
 だから困ったことに盗撮も可能だったのです。
 では、魚焼きグリルやコタツは何なのか?ということになりますが、これはワリと赤外線も多く放射しているという意味で「赤外線〜」という名称を付けているのです。
 もうお分かりですよね。
 要するに無人速度取締機の撮影用ストロボも、可視光線+赤外線のミックス発光なのです。
 そのスペクトルでいうとかなり赤いほうに偏移した光なので、発光したときに赤く光るのを確認できるのです。
 
 そこで質問です。
 無人取締機の撮影に対抗して、赤外線をシャットアウトするモノをナンバーの前に付けたら、ナンバーは撮影できなくなるでしょうか?
 もちろん、かなり撮影しにくくなるのですが、透明、半透明であれば、完全に撮影できなくなるとは言い切れないのです。
 よくオービス対策と称して、ナンバープレートの前に装着して、取締カメラに撮影されてもナンバーを読み取れないようにしている商品がありますが、驚いたことに、そういった商品の価格差は10倍以上です。
 今のところ「ナンバー隠蔽」として高等裁判所(だったと思います)まで判決が出ているこういった商品ですが、これらの商品の一部(いや多数?)には赤外線対策しかしていないために、撮影したらナンバーが読み取れたという商品も存在します。
 それは、一般の光成分をまったく考慮に入れていない設計をおこなっているからなのです。
 
 もう一つ。
 いつか別のテーマで取り上げるかもしれませんが、Nシステムと呼ばれる機械があります。
 そのNシステムも赤外線でナンバーを読み取るため、オービスと同じでストロボを発光しています。
 もうお気づきの方もいらっしゃると思いますが、在来型のオービス等取締機と違って、ド派手な光は出さないですよね。
 あれは、発光した光の中で赤外線成分が非常に多くなって、一般の光(可視光線)がかなり減ったからなのです。

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