060-023 | ディーゼルエンジンの場合、冬に厳寒地に行くときには、目的地で給油したほうが良いってホント? |
メルマガ「クルマとカー用品の常識 ウソ? ホント?」第11号掲載 |
ディーゼルエンジンの場合、冬に厳寒地に行くときには、目的地で給油したほうが良いってホント? |
皆さん、ホントに寒くなってきましたね。 今回は、そういう季節ネタです。 この話は聞かれたことがある方も多いと思います。 語られている理由としては、軽油には種類があって、寒さによって変質する可能性があるために、目的地で、その場所に合った軽油を使用するほうが良いということだと思います。 今回の回答は、軽油に種類があって使い分けられているという点は、「ホント」です。 テーマへの回答は、最後にするとして、まず軽油に違いがあるのかどうかについて確認してみましょう。 一般的に軽油の種類と言えば、まず思い浮かぶのが、ごく普通の軽油と平成になって登場したプレミアム軽油の2種類を思い浮かばれるのではないでしょうか? 確かにそういう違いもありますが、もう一つの切り口として、同じごく普通の軽油にも種類があるのです。 え?出光とJOMOと・・・・というブランドの事じゃないか?という意見もありそうですが、そうではなくてJIS規格で同じブランドの軽油でも3種類に分かれているのです。 それは、主に軽油が温度変化によって白濁してしまう温度である「くもり点」と呼ばれるポイントの違いで比較でき、 JIS1号 -2.5度 JIS2号 -7.5度 JIS3号 約-20度(すべて摂氏) という違いです。 JIS1号は、主に夏に使用されており、秋口から2号や3号に切り替えられるのです。 わざわざ違う種類の軽油を作らなくても、例えば3号だけでいいのではないか?と思われるでしょうが、軽油の中の灯油成分の配合割合でこういった「くもり点」が違ってくるために、夏はコストの安い1号を使用しているのです。(もう一つ、原油から作られる他の燃料との供給バランス調整という意味もあるのですが、ここでは省略します。) というわけで、軽油にはJIS規格で分類すると3種類存在し、気温に合わせて供給されているのです。 そのために、皆さんの地元に比べて、気温の差が激しい地域に移動し、特に厳寒の地で宿泊をする時には、既に燃料タンクに入っている軽油では、白濁、変質、極端な場合は凍結してしまう可能性があることはおわかりいただけたと思います。 ここまで説明すれば、今回のテーマは「ホント」ということになるのですが、少しだけ補足しておこうと思います。 まず、JISの2号と3号は、よく地域(例 北海道は3号、関東は2号など)によって使い分けられていると言われているのですが、実際には少し違っていて、例えば中国地方の秋冬では基本的には2号を使用しているところが多いものの、中国山地などの寒冷な場所によっては3号を使用しているスタンドもあるそうです。 また、中部以北では、平野部でも3号を供給しているスタンドも結構あるそうですから、まずは普段自分が給油している軽油がJIS何号であるか、また、目的地のスタンドなどへ電話で問合せをして、どの軽油を扱っているか確認することをオススメします。 それはナゼかというと、すでに書いたように目的地で給油したほうが良いというのは間違いではないものの、途中にどんなアクシデントが起こるか、誰も予想できないからなのです。 特に豪雪に直面した時のノロノロ運転では、予想より燃料を多く使いますし、私の経験でも先行車の走行不能などで、しばらく渋滞することだって考えられます。 その時に厳寒地で燃料が少ないと非常に心細いだけでなく、ガス欠でさらに渋滞を引き起こしたり、人間が凍えてしまうことだってあり得ます。 私もひどい経験をしているので、その内容はホームページにある「トワイライト(裏)業務日誌 12月17日分」に書いておきますから、興味ある方はお読みください。 ちょっと脱線しましたが、もし地元と目的地の軽油の種類が同じであれば、満タンで出かけるのが望ましいのです。 そして、種類が違う場合ですが、目的地の最低気温でも変質しないように、例えば目的地の最低気温がマイナス12度で、現在2号を使っていて、目的地付近が3号を供給しているのであれば、目的地付近で給油する場合に、燃料の残量が半分以下になっているようにして出かけ、深夜気温が下がらないうちに給油してください。 もう一つ、付け加えるならば、全国的に夏場には、ほとんど1号を供給していますから、夏の間に購入し携行缶やドラム缶などで保存した軽油を使うと、当然変質や凍結をおこす危険がありますから注意が必要です。(どちらにしても、燃料の長期保存はオススメできません。) |