060-005 プラグの寿命はどのくらいなの?
 ガソリンエンジンには不可欠のスパークプラグですが、よく寿命は1万キロとかプラチナプラグであれば10万キロ大丈夫なんていうことが言われていますが、本当のところはどうなんでしょう?

 スパークプラグだけでなく、クルマに関する部品の交換目安に走行距離を使っているものはたくさんあります。
 しかし、全てとは言いませんが、その部品の消耗と走行距離との間には、はっきりした比例関係はありません。
 もちろん、同じ条件で同じ車に使用した場合、使用した距離が多ければ多いほど消耗するということがわかっているだけなのです。
 では、なぜ走行距離でチェックするかと言えば、それに代わるモノサシが無いからなのです。
 現実的なモノサシとしては、いろいろありますが、スパークプラグの場合で言うと、プラグがスパークした合計回数が何回かというのが一番妥当なモノサシになります。
 しかし、スパークした累積回数なんて、自動車ではカウントなんてできません。
 そこでやむを得ず走行距離でチェックしようと考えているわけです。

 ところが走行距離でも目安というのはとってもアバウトで、車の違いや走り方によって同じプラグでも、まったく違う理由は、何が原因なのでしょうか?
 それは、同じ走行距離でも運転のクセによって、エンジンを高回転までよく使用する人は、スパーク回数が当然多めになってしまいます。
 それ以外にも、プラグにかかる電圧や電流量などによっても、磨耗は変わってきます。
 なぜかと言えば、スパークとともに電極の金属イオンが移動してしまうために、その表面が変質してしまうのですが、電圧や電流の違いによって、それが顕著になって、それによって電極表面がボロボロになった後に風化して、それが磨耗しているように見えるのです。
 だから、そういった状況の違いで、磨耗具合も変化していくのです。

 それ以外にも、同時点火システムの存在も見過ごせません。
 さきほど、スパークした回数によって磨耗が促進されると書きましたが、普通の4サイクルエンジンでは2回転に1回スパークするのが、同時点火システムを採用している車では、1回転に1回スパークしているのです。
 そうすると、同時点火システムを採用している車の場合は、普通に考えるとプラグの寿命は半分になってしまいます。
 そういったことを考えると、一般的に言われている1万キロ等が大して意味を持っていないことは、おわかりいただけたと思います。

{プラチナプラグなどは寿命が長いか?}
 通常のプラグに比べて、寿命は長いと考えていいと思います。
 ただし、同じプラチナといっても、こまかな材質はメーカーや商品によって、かなりバラツキがあるので、世間で言われているように10万キロ大丈夫ということにはなりません。
 私の経験でも、とあるメーカーのプラグは、2万キロ程度でボロボロとトラブルを起こしていました。
 特にこのプラグは、中心電極だけでなく、外側の電極もプラチナを使用していましたが、別のメーカーの中心電極だけがプラチナのプラグのほうがトラブルはもちろんのこと、フィーリングも良かったという経験があります。
 そしてプラチナプラグを使用する車は、プラチナプラグが持っている特性(寿命が長いとか、燃焼状態が良い”要求点火電圧が低い”)を必要としている、同時点火システムなどの磨耗が早くなる装置が搭載されているか、交換点検が難しいレイアウトになっている車が多いので、時には点検してみることも必要です。

 寿命が長いと言われるプラチナの場合、ハイオクガソリンに混合されている添加剤の一部の化学反応によって、磨耗と言うより溶けてしまい、寿命がとても短くなったということもありましたが、現在この添加剤(アルキレート)を配合しているハイオクはほとんど無く、こうした心配は必要ないと思います。

 ちょっと長くなりましたが、とりあえず一度プラグの点検をしてみられることをお勧めします。
 そして、そのときの磨耗具合と走行距離を覚えておき、次にどのくらいの距離でチェックしてみるのが良いか、考えてみるのがあなたに合った点検時期になると思います。


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