040-032 | エアコンのガスは無くなったり劣化するので交換した方がいいと薦めされたけどホント? |
メルマガ「クルマとカー用品の常識 ウソ? ホント?」第22号・23号掲載 |
そろそろ暑くなり、私のような暑がり人間だけでなく濃色車ユーザーは、既にエアコンも活躍していると思いますが、これからの季節に心配なネタですよね。 まず、古い車だとエアコンのガスがなくなるか?という問題ですが、基本的にほとんど無くなりません。 基本的にと書いたのは、全くというワケではないことと、故障によるガス抜けがあるからです。 それぞれを説明していきますと、故障が無いのにガスが無くなる場合があるとすれば2つ可能性が考えられます。 それは、ガスがエアコンの装置から抜け出てしまう場合と、ガスそのものが変化してエアコンガスとして機能しなくなる場合ということが考えられそうですよね。 それぞれ確認してみましょう。 {エアコンガスの抜け} ほとんど無視しても良いくらいですが、厳密に言えばほんの少しずつ抜けてしまう傾向があることは確かです。 それは、エンジンルームから室内まで、20本近くの配管で構成されているのですが、その配管ごとにOリングと呼ばれるゴム部品でガスが漏れないように密着させているのですが、そのOリングも長い間を見れば微量だけはガスを透過させてしまうのです。 ただし、これはほとんど無視しても良い程度です。 {エアコンガスの変質} よく「古いガスは能力が低くなり冷えないからガスの入替をしませんか?」というセールストークを見かけますが、これはとんでもない誤解です。 以前使われていたR-12というタイプのフロンをはじめ、電気冷蔵庫等のフロンは、非常に安定性があり変化しないのです。 だからこそ冷媒として使用されたのです。 そして、オゾン層を破壊する元凶としてフロンが挙げられ、オゾン層をこれ以上破壊しないようにするためにフロンの製造、大気中への放出が禁じられたのも、成層圏の上のオゾン層までゆっくり時間をかけて上昇しても変化しないほどの安定性があるので、オゾン層に影響をもたらせているのです。 したがって、フロンと、その後に開発された代替フロンのR-134aなどが数年という短期間で冷媒として変化することはありません。 実際、皆さんの家庭の冷蔵庫を5年ごとに冷えが悪いからといって、ガスの交換をしないのも冷媒として非常に安定しているからなのです。 というワケで、古くなると性能が下がるというのは間違いなのです。 それでは、現実にガスが少なくなったり、効きが悪くなったケースは何が原因なのでしょうか? 1つは、先ほどのOリングが犯人の場合です。 Oリング自体を透過するガスの量は、非常に微量だと先ほども説明したばかりなのですが、それとは違いOリング自体が古くなってゴムとしての弾力を失い、隙間ができてしまい、その隙間から抜けてしまうことがあるのです。 特に、Oリングによる接合部分が多く、振動にさらされている車の場合は、こうして抜けてしまうことがあるのです。 経験的には、かなり古くなった車、そして輸入車のいくつかのブランドでは結構顕著に症状が出ることがあります。 また、配管の一部に亀裂などが生じて1ヶ月程度の間で抜けてしまうような部品不良という場合もあります。 そういう状況であれば、必要なガス量を下回っているわけですから、ガスの入れ替えによってエアコンの効きが改善することもあります。 しかし、その抜け方がわりと顕著であれば、せっかくガスの入替をしても、また抜けてガスが減少してしまいますので、まずは原因部分を究明して事前に修理することをオススメします。 その他に配管の詰まりやコンプレッサーの圧縮不良なども冷えの悪い原因として挙げられるのですが、ここでは省略します。 ちなみに、ほとんどの方はご自分でガスの充填をされることはないと思いますが、参考までにエアコンガスはたくさん入れればよく効くというものではありません。 先ほど説明したように、少ないと効かないものですが、多すぎると故障の原因になるだけでなく、やはり冷えが悪くなります。(何事も適量が肝心です) 希に見かけることがあるのですが、それ以上入れてどうする!?という状態になっても、まだ充填しようとしている作業者を見かけることがありますので、ちゃんとエアコンシステムを理解しているところで相談することをオススメします。 {あまり現実的でないエアコンを冷えるようにするための裏ワザ} 冒頭にあまり現実的でないと紹介しているとおり、ほとんど個人のレベルでは実行が難しい内容がほとんどですが、お昼休みのアホネタがわりに読んでください。 現実的なエアコンを効くようにする方法としては、ウィンドウフィルムを貼り付けるという作戦があるのはご存知だと思います。 これは、ガラスを透過する太陽エネルギー(直射日光)の多くをフィルムによって遮断することで、車内に入り込む熱の削減を図って、エアコンを効果的にしようという考え方です。 それと同じか、それ以上の効果が期待できる非現実的な作戦を紹介しましょう。 {車の塗色を白に変更する} これは結構知られていることですが、まったく同じ車の新車同士などで、淡色車と濃色車でうだるような暑さの時に、同じ条件でのエアコンの効きを比較してみてください。 よほど熱量的に余裕のある車種以外では、わりと違いを確認できると思います。 {室内の後半分を透明なビニールシートで完全に仕切る} エアコンの能力を向上させることが難しいなら、部屋を狭くしてしまえという、乱暴でありながら実に合理的な作戦です。 時々トラックのサイドウィンドウにビッチリと水滴が付着している車を見かけることはありませんか? これは、室内が非常に狭いために、効きすぎている状態なのですが(それ以外の理由で同じように見える場合もあります)、これと同じような作戦をとるのです。 実際に、荷物を運ぶバンタイプの車の場合、荷室をビニールシートで仕切ってしまうオプション用品が設定されていることがありますが、これを使うと体が悪くなりそうなくらい、エアコンが効くようになります。 {連続して高速走行を続ける} 目的地を変更してエアコンを効かせても、それこそ本末転倒ですが、これも合理的な理論に基づいている作戦で、冷媒を効率よく圧縮するためには、ある程度のエンジンの回転数が維持されることが大切です。 そして、そのエンジン回転(=コンプレッサーの回転)によって圧縮された冷媒が蓄積した熱を放熱するのがコンデンサーという部品なのですが、そのコンデンサーは、いわゆる空冷なので、そこに冷えた空気が多く当たれば、それだけ冷媒の熱はシッカリと除去することができ、結果としてエアコンの効きが良くなるのです。 渋滞の時にエアコンの効きが悪くなるのは、エンジンの回転が低くて冷媒を十分に圧縮できないことが1つ、そして、停車しているためにコンデンサーに空気が当たらないどころか、エンジンルーム内の温度の高い空気ばかりが当たるために、冷媒の温度が下がりきらないためというのがもう1つの理由なのです。 {コンデンサーに水をかけ続ける} そのコンデンサーですが、ラジエターに似た部品で、設置場所もラジエターの前後に装着されている車種が多いのです。 特にラジエターの前に装着されている車で、気温が高いクセにとおり雨の直後だけ妙にエアコンの効きが良かった経験をお持ちの方はいらっしゃいませんか? これは、雨などの水がコンデンサーにかかることで、その水分が蒸発するときに、コンデンサー表面の熱を大量に奪い去ってしまうために起きる現象なのですが、それを応用して、ちっちゃいノズルで水を散水するようなモノを作って取り付ければ、冷却効果は向上します。 ちなみに、このときに、冷水をかけることができれば、当然のように効果満点です。(DIYが得意な方は是非オススメです) {エバポレーターの掃除} コンデンサーというのは家庭用エアコンで言えば室外機です。 では室内機ってどこだ?と思われる方は、だんだん、このメルマガのノリにテンポが合ってきた証拠です。(おめでとうございます!?) 当然、室内機と同じモノが車内に存在しているのです。 特に最近流行している家庭用エアコンの掃除用スプレーのCMを思い出してください。 やはりラジエターのような金属のヒダがたくさんついている部品にスプレーを吹きかけて汚れを落としていますよね。 同じように車にも室内の熱交換器があって、そこは最近の車のように防塵・花粉防止用フィルターが装着されていない車の場合は、「うへぇ・・見なかったことにしよう」と思うくらい、汚れ放題なのです。 したがって、その部分を掃除することで、当然エアコンの効きがグンとよくなります。 私も、前の車の時、その部分にあるセンサーの故障の時に、あまりにも汚いのできれいに掃除をしたら、ペンギンでも飼えるかと思ったくらい冷えるようになりました。 ただ、残念なのは、ほとんどの車の場合、冷媒ガス通路を切り離さなければ、その部分を掃除することはできませんから、かなりの工賃を支払ってでも実行するか、故障してユニットを取り外す修理の時に、お願いして掃除してもらうしかありません。 でも、とっても効果的ですよ。 |