040-019 エアコンでエコノモードにすると燃費が良くなるの?
メルマガ「クルマとカー用品の常識 ウソ? ホント?」第3号掲載
 みなさんの車にもエアコンのスイッチに2モード切替があって、(A/C)と(ECO)という選択ができるようになっている方も多いと思います。
 その(ECO)というのが、よく言われているエコノモードというモードなのですが、名前のとおり、経済性を考えて燃費がよくなるモードのエアコンだと言われています。
 多分、ディーラーなどで、使用法を聞かれても同じような回答が返ってくると思いますが、ホントにそうなのでしょうか?
 まず、通常のエアコンとエコノモードにした場合の違いについて説明します。
 エアコンというのは、冷媒と呼ばれるガスを圧縮し、その時に生じた熱を放熱した後に、室内に引き込み、そこで一気に膨張させ、まわりの熱を奪うことによって室内の吹き出し口に吹き出してくる空気温度を下げています。(構造は詳しく説明すると長くなるので、今回は省略します)
 いわゆる断熱膨張(熱を与えずに膨張させると、気体の温度は急激に下がる)を応用し、その冷えたガスをラジエターのように金属の表面積が大きいものを通過させることで、このラジエターのようなものを冷やし、ここを通過させる空気の熱を奪うことで、その空気の温度を下げるのですが、その通過後の空気温度を測定し、ある範囲の温度になるようにエアコンを作動させたり停止させたりして制御しています。

 例えば通過して冷えた空気が、摂氏5度になればエアコンが入り、1度まで下がればエアコンがオフになるような具合です。
 ここでいうエアコンの動作というのは、冷媒を圧縮するコンプレッサーの動作のことで、吹き出し口からは常に冷気が出ています。
 これと同じように、冷蔵庫でも設定温度以上になるとコンプレッサーが作動して、設定温度以下になれば停止するのは、ちょっと古い冷蔵庫の音を聞いたことがある方ならご存知だと思いますが、冷蔵庫とカーエアコンは、おおむね似たような構造なのです。
 
 そして通常の設定が、先ほどのように摂氏5度で作動し1度まで下がると停止する設定であれば、エコノモードにすると摂氏8度で作動し4度で停止するように変更されたりするのです。
 そうなると同じ環境で使用するときに、コンプレッサーの作動する時間が短くなるので、当然エンジンへの負担が少なくなり、走行性や燃費という面で改善が見られることになるのです。

 ただし、いつでも効果があるかというと、実は違います。
 真夏の日差しガンガンの時にエコノモードにしても、通過させる空気の元々の温度が高いだけでなく、冷媒を圧縮した後に十分に冷却できないために、なかなか作動が停止する空気温度まで下がらないことがあります。
 そうなると、エコノモードにしても結局コンプレッサーを停止させるまでの温度に空気温度が下がらないために、連続してコンプレッサーが作動しつづけることが珍しくありません。
 そうなると、燃費が良くならないどころか、マニュアルエアコンやセミオートエアコンの場合、十分に室内が冷やせないという、実に中途半端なエアコンになってしまう可能性が高いのです。(フルオートエアコンのオートモードの場合は、状況に応じてモードを自動的に切り替えています)
 夏に冷えが悪いときに、内気循環に切り替えておくほうが室内温度を低く保ちやすいことは割と知られていますが、エコノモードを通常モードにするほうが低く保ちやすいということを、これまでのみなさんの知識に、さらに加えて、来年の夏には是非活用してください。
 というワケで、真夏の昼間で日差しが強いときには、基本的にエコノモードのメリットはありませんから、通常モードに切り替えられることをオススメします。

 ただし、エコノモードというのは、自動車メーカーや時代ごとで若干の違いがあります。
 それは、通常モードとの機能の差に、加速時やパワステ動作時にコンプレッサーをオフする機能や、可変負荷タイプのコンプレッサーを使用している場合などでやや状況が違いますから、その車での機能の差を確認して対処するのが1番です。
 現在の排気量が小さい車は、通常モードでも加速時のコンプレッサーオフ制御が取り入れられている車が多いようです。

 ただ、大まかに言えるのは、エコノモードの効果が発揮できるのは、夜間やエアコンをかけなければちょっとだけ暑いような状況の時が中心になりますから、そういう状況に限ってのみ燃費が改善されるのはホントです。(チョッピリだけですが)

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