030-025 オーディオのアンプの出力って数値どおりに比較していいの? 2007.2.4修正
メルマガ「クルマとカー用品の常識 ウソ? ホント?」第14号掲載
オーディオのアンプの出力ってカタログ数値どおりに比較していいの?
 オーディオを購入しようとするときに、店頭でチラッと眺めて買う人、事前にカタログを山ほどかかえて帰ってからじっくり研究する人など様々だと思いますが、わりと細かなスペックを気にされない方でも、アンプの出力というのは気にされることが多いのではないでしょうか?
 そこで、カタログをパラパラとめくってみると、オーディオ本体に60W X 4chのアンプが内蔵されていて52,800円という商品があったと思うと、ちょっと前までは50WX 4chのアンプだけの商品が49,800円もしていたりという不思議な状況がありました。
 普通、アンプの出力が大きくなれば、値段も高くなると思えるだろうし、同じ程度の出力ならスペースの要らないアンプ内蔵式のオーディオでいいじゃないかと思えてきます。
 実際にはどうなんでしょうか?

 さて、どう判断すればいいでしょうか?
 実は、一口に出力と言っても、その表示されている出力の測り方はマチマチなのです。
 一般的に同じアンプで出力を大きくしていくと、あまり低い出力の範囲は別として、出力が大きくなればなるほど”ひずみ”が大きくなって音も濁ってしまいます。
 その、ひずみ成分が、どの程度になったときの出力を表示しているかによって、全く条件が違うのです。
 もし、各社のカタログをお持ちの方であれば、そのワンボディに内蔵されているアンプと外付けのアンプのひずみ率の違いにお気づきになることがあると思います。(一緒の基準の会社もありますが、例えば0.08%だったり8%だったりしています)
 それによって、例えば、あるアンプは”歩いている状態”の速度(出力ですが)を測定して、別のアンプは”ジョギングしている状態”の速度を測定してあるのです。
 したがって、これではカタログの出力の数値だけではアンプ性能の比較などはできないことはおわかりになると思います。

 そのほか、カタログでは判断できない違いもあります。
 それは、実際に搭載する車の電源系によって性能が大きく左右されるかされないかという違いの部分です。
 もちろん、全ての商品は、そういった影響を受けるのですが、電源部分などをどこまで考えて作ってあるかによって、実際に搭載してみると、スペックの半分程度しか実力を発揮できなかったという例はたくさんあるのです。
 これは、カタログ値が平坦なところを走ったり歩いたりしたときの数値とすれば、実際に車に搭載してみた時には、坂道を同じように走ったり歩いたりすることと似たような環境があるために、カタログ値とは全く違った特性になるのです。
 そういった部分にも強いのが、真の優秀で高出力のアンプなのですが、傾向としては小型であるにも関わらず、高出力をうたっている商品は、実際の搭載条件での影響を受けやすく、したがって同じ出力表示であれば、オーディオ内蔵タイプよりは、外付けタイプのほうが底力のあるアンプという言い方もできます。
 ただし、こまかな背景を多く知っていただけないと、実はこれだけで断定できませんので、1つの傾向だと理解してもらえばいいのではないでしょうか?(オーディオの世界は奥が深いのです・・・底なし沼とも言います!?)

 というワケで、今回の疑問への回答はウソでした。

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