010-022 | ラジアルタイヤのローテーションってタイヤの回転方向を変えてはいけないってホントなの? |
メルマガ「クルマとカー用品の常識 ウソ? ホント?」第9号掲載 |
ラジアルタイヤのローテーションってタイヤの回転方向を変えてはいけないってホントなの? |
今回は本当によく聞くテーマですよね。 例えば右前に装着したタイヤは、ローテーションをする時には、右後に装着し、決して前進するときの回転方向が逆になる左側に装着してはいけないというのは、結構有名な話で、クルマの取扱説明書にも書いてある場合もあります。 昔はバイアスタイヤという種類のタイヤが使用されていて、クルマの取扱説明書にもXローテーションと言って、回転方向を変えるX字のようなローテーションを推奨してありました。 ところが、ラジアルタイヤは一度タイヤの回転方向を決める(使用し始める)と、逆回転で使用してはいけないと言われはじめ、次第にお客さんが知っているのに専門家であるべきディーラーやカーショップの作業者が知らなかったなんてことでトラブルまで発生していました。(人間関係的トラブルです) 私も、カー用品などの仕事に携わり始めたときに、回転方向を変えてはいけないということは教えられ、ずっと守っていました。 ところが、ひねくれ者のせいか、なぜ回転方向を変えてはいけないのだろう?という疑問は次第に自分の頭の中で大きくなってきたのですが、地域のタイヤ販売会社の営業マンを含めて、誰もその質問に回答してくれませんでした。 そして、今をさかのぼること10年前に、当時在籍していたディーラー各社の西日本の担当者を教育する研修会を主催するときに、某タイヤメーカーの技術員と事前にいろいろ教育内容を打ち合わせたのですが、そこでこの疑問をぶつけてみました。 すると返ってきた返事は、「関係無い」という驚く内容だったのです。 ラジアルタイヤが登場した頃のテキスタイル・ラジアルはともかく、現在のスチール・ラジアルであれば、構造的にまったく根拠が無く、必要があれば回転方向を変えるローテーションをしても差し支えないということなのです。 厳密に言えば、ジョイントレス構造になっていないベルトを採用しているタイヤで、超高速走行をするとつなぎ目がはがれるという危険もあるのですが、それは許容速度を超えた領域ですし、その問題は途中からの回転方向の変更で生じることではなく、最初からある方向に回転させると生ずる問題なのです。 私も、当時は少しばかりタイヤの構造などに詳しくなっていましたから、どういう根拠なのかとっても疑問だったのですが、真相が理解できてスッキリしたのです。 どうやらラジアルタイヤという同じ名称を使っているために、いまだに有効な常識として一人歩きをしているというのがホントのようで、ルールを作ると、作ったときと背景が変化しているのに昔ながらのルールを守ることが重要だと勘違いしてしまうという、世間によくある問題と同じだったワケです。 それを知るまでは、私も自分のホイールの内側に回転方向なんかを書き込んでいたりしていたのですが、それからは当然やめてしまいました。 でも、仕事としてローテーションをおこなう場合に、不用意に回転方向を変えるローテーションをやっていると、それをご覧になった方やお客さんが、「この店は、こんな常識さえも知らないのか!」と誤解される可能性もあったために、原則的には回転方向を変えない作業をおこない、どうしても回転方向を変える必要があったときにだけ、詳しくお客さんに説明して作業するようにしていました。 ただし、ここで注意をしていただきたいのは、タイヤのトレッドパターンに回転方向があるタイヤは絶対に回転方向を変えないでください。 そうしないと、走行性能や雨の日の水はけが低下して危険になることがありますから。。。。 みなさん驚かれませんでしたか? 今回は、車やタイヤのことをよくご存知だった方がビックリされたのではないでしょうか? というワケで、今回のテーマは、そのタイヤのトレッドパターンに回転方向や内側・外側の区別が無いタイヤであれば、今回のテーマは「ウソ」でした。 |